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日本語能力試験N1に合格しよう: 漢字・語彙・文法

日本語能力試験の上級レベルであるN1を受験する留学生向けに作られたガイドです

漢字

N1も日本語能力試験の他のレベルでも同じですが、最初に出る問題は「漢字」問題です。内容は漢字の「読み方」を解く問題で、「6つ」出されます。

この問題では、下線の漢字の読み方を1・2・3・4の中から正しい答えを選択しなければなりません。

問題例:

 

九州大学に附属する図書館の数は6つです。

 1.しょぞく  2.きぞく  3.ふぞく  4.そうぞく

 

捜査機関が被疑者に対して拷問を加えてはなりません。

 1.ごもん    2.ごうもん   3.ことい   4.こうとい

 

★ここがポイント!!!

・問題として出される漢字の多くは日常生活で使われる漢字です。そのため、日常生活の中でよく使われる漢字を常に意識するようにしましょう。

・漢字を覚える際にその漢字と一緒に使われる漢字も覚えておくことはとても重要です。

・漢字を覚えるいい方法はできるだけ量が多くて難易度が難しい文章を読むことです。そうすることで漢字に対して目が慣れやすくなり、漢字の文の中での使い方にも慣れていくでしょう。

語彙

N1に出される語彙問題は3つの構造から形成されています(参考:伊能裕晃ほか著『新完全マスター語彙 日本語能力試験N1』スリーエーネットワーク、2014年、viページ)。

 

文脈規定:要するに前後の文脈から空所に入る単語を選ぶ問題です。

問題例(著者作成)

 

留学生の大学生活はやや大変だと思います。日本語も勉強しながら主専攻の勉強もしなければなりません。そのような状況でタイム(    )を行わないと両者のバランスは崩れるでしょう。

1.コントロール  2.コンプレックス  3.マネジャー  4.マネジメント

 

私は日本へ留学にきた最初の頃は日本人友達と話すと話全体が整理されず(  )になりやすかった。それに気づいてから話全体が整理されるよう丁寧に話すように意識するようになった。

1.ごちゃごちゃ  2.めちゃめちゃ  3.ごろごろ  4.べたべた

 

言い換え類語:要するに、出題された単語と意味的にもっとも近い単語を選ぶ問題です。

下線の単語ともっとも近い意味の単語を問題の中から選ばなければなりません。

問題例著者作成

 

先生:この問題は試験に繰り返し出される問題なので覚えて置いてくださいね。

学生:はい、わかりました。ありがとうございました。

1.繁殖  2.頻繁  3.進捗  4.出身

 

夕方になると仕事から帰る人が多くなり、車線が多い車道でも車が滞りやすくなります。

1.中止  2.見送る  3.渋滞  4.破壊

 

用法:要するに、複数の文の中から語が正しく使われている文を選ぶ問題です。

問題例著者作成: 

 

いまいち

1.私はオーストラリアへ留学したいのですが、英語がいまいちです。

2.「いまいちそんなこと言われても困るだろうが、何いってるの?」

3.今日は休日だが、電話で社長に急に呼ばれたから、いまいち出発しないといけません。

4.「バミューダトライアングルを通った船や飛行機はいまいち発見されていないらしいね。」

 

ずにのる

1.ずにのっていない国はこの世界では存在しないでしょうか。

2.サーカスで人のずにのって踊っているサルを見てみんな笑いました。

3.「人々の中にずにのる人が結構いるようだが、私はそのような人が好きではありません。

4.「アフリカやインドでずにのっている人をよくみかけます。格好いいですね。」

 

★ここがポイント!!!

・漢字と同じように、難易度の高い文章を読み語彙の文の中での使い方に注意して理解しましょう。

・語彙を覚えるときに、その語彙の類語も調べて覚えておくことは、語彙問題だけでなく、読解の問題を解くときにも役に立ちます。

・問題を解く際にどの語彙が当てはまるか分からない場合は、文の前後の単語や文法を見て判断しましょう。

文法

N1の文法問題は、「文の文法(文法形式の判断・文の組み立て)」の問題と「文章の文法」の問題から構成されています(参照:友松悦子ほか著『新完全マスター文法 日本語能力試験N1』スリーエーネットワーク、2012年ページ?)。

 

①文の文法(1)文法形式の判断:要するに、文の意味を考えてそれに合う文法形式を判断する問題です。

文の(    )の中に入る最も適切なものを1・2・3・4の中から選ばなければなりません。 

問題例著者作成

この種の蛇にかまれた(   )、数分で死ぬでしょう。

1.ものの    2.が最後    3.とたんに    4.としても

 

11月の試験を合格すると両親に約束した手前、(    )。

1.無理しすぎるのも良くないです   2.親戚にも約束してしまいました

3.良く考えなければなりませんでした   4.たくさん勉強しなければなりません

※一つ目の文法問題は、文の内容に合う文法形式を選択する問題で、二つ目は、文の内容に合う使い方をしているものを選択する問題です。

 

文の文法(2)文の組み立て:要するに、多数の語句を並び替えて文法的に正しくて意味のとおる文を作る問題です。

四つの選択肢の中から★のところに当てはまるものを選ばなければなりません。 

問題例著者作成

大統領 ____ ____ ____ ____ 耳を傾けなければならない

1 ちゃんと 2 声に 3 たるもの 4 国民の

 

親が養育 ____ ____ _____ ____ 子どもをみかけた

1 極まりない 2 しているだろうか 3 失礼 4 と思うほどの

 

②文章の文法要するにある程度の長さの文章の中で、その文脈に合う文法の形式などを選択する問題です。

文章を読んでから、その文章の全体の趣旨を踏まえた上で、【1】から【5】までの番号に入るものを1・2・3・4の中から選ばなければなりません。

 

問題例(参照:友松悦子ほか著『新完全マスター文法 日本語能力試験N1』スリーエーネットワーク、2012年、131ページ):

 

「いまから17年ぐらい前に、ユネスコ・アジア文化センター(ACCU)から、『識字教育のための[ 1 ]のですが、やってくれませんか』という話がきました。識字というのは文字の読み書きや、簡単な計算能力のことで、文字が読めない人たちが、勉強することの大切さをアニメで知ってもらおう、というのが識字アニメ制作の企画意図です。

 ACCUは、アジア地域において、有形・無形文化遺産の保護や、平和や教育の[    2   ]活動をしていて、特に識字に[ 3 ]。それは、アジア地域に6おくもの字が読めないために貧しい生活を強いられていました。そこでACCUが識字アニメ制作を企画したのです。

 ぼくはこのような活動をきっかけにして、アニメーションが世界に[ 4 ]のもいいんじゃないかな、と思ったので、その仕事を引き受けすることにしました。アニメと関係のなさそうな一般の人たちのために、日本語得意とするアニメで[ 5 ]のなら、こんなうれしいことはないと思いました。

(鈴木伸一『アニメが世界をつなぐ』岩波ジュニア新書による)」

1  ]

1 アニメができる  2 アニメを作りたい  3 アニメを読む  4 アニメを頼まれる

2  ]

1 大切さを広める          2 大切さが広まる 

3 大切さが広められる        4 大切さが広まっている

3  ]

1 力が入りました           2 力が入ってきました 

3 力を入れていました         4 力が入れてありました

4  ]

1 広げていく  2 広げてくる  3 広がってくる    4 広がっていく

5  ]

1 お役に立つ             2 お役に立てられる 

3 お役にたっている          4 お役に立てている

 

★ここがポイント!!!

・たくさん文章を読むことは文法能力を向上させると思いますので、試験の準備の際にたくさん文章を読んでわからない文法がでたら、それを探して覚えることは重要です。

・他動詞・自動詞に関連する問題がよく出題されるので、この両方をちゃんと理解しておくことは文法問題を解く際に重要です。

・文の組み立ての問題を解く際に、に・が・をなどの「助詞」に注意しながら文を読みましょう。

・あまり時間がかからないため、文章を目で追って早めに読む程度にし、問題箇所の文だけに集中しましょう。

・選択肢の中の答えがわからない場合は、問題箇所の前と後の単語や接続詞をちゃんと見ることが正解の鍵となることが良くあるので、ちゃんと意識するようにしましょう。