テレビやラジオで、通常では受信されるはずがない、はるか遠方の(時には海外の)電波が受信されることがあります。これは実は電離層の影響なのです。たまたま上空に発信した電波が電離層で電波が反射されることで、はるか遠くの電波が届くという仕組みになっています。
[月刊FBニュース:第7回 「電波はどうやって海外や宇宙に届くの?」より引用]
この仕組みを応用して、電離層の様子を捉えたのがイオノグラムです。電離圏は下からD層・E層・F層の電子密度の異なる3つの層に分かれており(なぜA~D層がないの?と思った人はこのページで説明してます)、地上から周波数の異なる電波を発信すると、各層の電子密度に対応した周波数の電波が反射されます。この時の反射した電波の周波数と、電波が行って帰ってくるまでの時間からそれぞれの層の電子密度と高度を推定できるというわけです。
<NICTホームページ:http://wdc.nict.go.jp/IONO/HP2009/contents/Ionogram.html より引用>
イオノグラムは電離圏の重要な情報を与えてくれますが、電離圏は上層の磁場・下層の大気・地震・火山など様々な要因によって変化し、それらの影響が合わさって電離圏変動に現れるため、その構造の複雑性や変動パターンの多さから読み取りが非常に難しく、熟練の研究者が手動で読み取ることが主流となっています。観測技術の向上で年々データの量は膨大に増える一方、手動読み取りは時間と手間がかかるため、データの活用は進んでいませんでした。そこで、速くて正確な自動読み取り手法を開発することで、イオノグラムをより活用しやすいものとし、電離圏研究に役立てようという目的でこの研究をしました。
卒論の分量は
A4 30ページ 10761文字 でした。
私の学科は分量何ページ以上という決まりはありません。短くても研究内容を正確にわかりやすく書いていれば良い論文となります。分量はそこまで気にしなくてもいいですよ。
時期 | やったこと |
3年生の10月 4年生の4月 5月 6月 7月
8月 9月 11月 1月 3月 |
研究室に仮配属 正式に配属決定 研究室の先生方から、卒論のテーマを提示される 指導教員と研究テーマが決定 先行研究の論文を読んで勉強 & 卒論の要点を整理し、研究を開始 先行研究について研究室のゼミで発表 大学院入学試験を受ける 研究の初期結果を研究集会で発表 研究室のゼミで中間発表 卒論発表会 & 卒論執筆開始 卒論提出 |
<3年生:研究室選び>
研究活動を行う上で、研究室選びも大切です。私が選ぶときに考慮したのは、研究内容の他に、研究室の雰囲気・担当の教授についてです。今の指導教員は海外にいることが多く、進捗報告や相談はあまりできませんでした。私は自分で自由に研究を進めたかったので今の先生が合っていると思いますが、自分でスケジュールを管理するのが苦手だ、初めての研究で不安なのでたくさん相談したいという人は面倒見の良い先生につく方がいいかもしれません。
<3年生後期:仮配属>
3年生の後期は研究室のゼミや観測に参加し、研究室の雰囲気になれる期間でした。主に仮配属先の研究室で活動しますが、他の研究室と迷っている場合は他の研究室も見に行くと良いですね。
初めてゼミに参加すると、専門用語が多くてわからない事がたくさん出てくると思います。私は空いた時間に同期と基礎的な知識を学ぶ時間を作り、ゼミについていけるように勉強しました。
この期間に研究室が合うか合わないかを考えて、4年生の4月に改めて研究室配属を行います。仮配属と違う研究室に行くことも可能です。
<4年生:テーマ選び>
私は将来電離圏の研究をしたかったので、その第一歩として電離圏データであるイオノグラムの自動読み取り手法開発を行いました。
テーマの決め方も色々あります。悩んでいる人は以下のポイントを参考にしてみてください。
・1年である程度結果が得られる内容なのか
→修士以降も引き続き同じテーマをしたい人は、色んな視点で長く研究できる大きめのテーマや、他の研究とつながるテーマもいいと思います。(⇦私はこっち)修士に進学しない人・修士では違うテーマをしたい人は、短い期間で結果が得られそうな内容がやりやすいかもしれません。
・先輩の研究を引き継ぐのか
→先輩の引き継ぎや、似た内容だと相談しやすいです。
・就活につながるか
→私の研究室はSE(システムエンジニア)になる人が多いので、”システム開発”に関連するテーマや、メジャーな言語(最近ならpythonなど)を使った研究だと就活に有利になることがあります。自分の将来につながるテーマ選びもいいですね。
私は自分の研究を始める前に、先行研究や研究テーマに関する論文をよく読んで要点をまとめました。そうすると、自分のやるべきことがより明確になって研究計画が立てやすくなります。
ここでこれから論文を読む人向けに、論文の読み方のポイントを紹介したいと思います。
1. 導入を読み、問題点を探す
2. 研究背景を簡潔にまとめる
3. この論文が取り組む問題をまとめる
4. 方法を読む(実験は図でまとめると◎)
5. 実験結果をそれぞれまとめる
6. 結果と問題が対応しているか確認する
7. 結論・議論・解釈を読む
8. 最後に要旨を確認する
これは先輩に教えてもらった方法ですが、この順番で読むと普通に読むより内容が理解しやすく感じたので、是非参考にしてみてください!
9月頃ある程度結果が出ていたので、研究集会で発表する機会をいただきました。研究集会にはいろんな分野の研究者が集まるので、研究室のゼミとは違う新しい意見をたくさんいただき、とても参考になりました。他の発表で、自分の研究の参考になりそうな話も沢山聴くことができるので、研究集会や学会は機会があれば積極的に参加した方がいいと思います。
地球惑星科学科では、まずポスター発表を行い、その後卒業論文を書きます。
(ポスターのサイズは841mm×1,189mmです)
卒論発表会は同じ分野の人だけが聞きに来るわけではないので、あまり専門知識のない人でもわかるように専門用語や研究背景をわかりやすくまとめることに注意しました。
ポスターは少し工夫するだけで仕上がりが大きく変わってきます。私は本やインターネットでポスターの書き方やわかりやすい資料のまとめかたを調べ、図の配置や、グラフや表の色や形、文章のまとめ方など細かい所を直していきました。この時参考にした本は後ほど紹介します。
ポスターを作った後いろんな人にチェックしてもらいました。研究した本人は理解できても、その背景を知らない人が読むと伝わりにくいことはよくあります。今の説明で不足がないか、他の人に確認してもらうことは大切だと思います。
いざ卒論を書こうとすると気が重く、なかなか始められません。でも書く前に、書く内容を箇条書きや図で簡単にまとめて、それを膨らませ、説明するように書いていくと意外と簡単に書けます。また、一旦まとめた後に書くと一貫性のある文章になってよりよい卒論になりますよ。
わからない時、迷った時は積極的に相談しましょう。
私は一人で勝手に突き進んでしまうタイプなので、研究を始めた頃善かれと思ってやっていた方法が、目的と少しずれてしまっていたなんてこともありました。これを繰り返していては時間が勿体無いですよね。
研究始めたばっかりの学生ですから、わからないことも多いですし、要領を得ないこともあります。自分で考えて進めることも大事ですが、先生や先輩に沢山相談して軌道修正してもらうのがうまくいく近道ではないでしょうか。