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私の卒論ができるまで: 林 萌英(九州大学理学部・2020年卒): おまけ

九州大学の図書館でティーチングアシスタントとして働く院生が学部時代に卒業論文にどのように取り組んだか紹介します。

目次

初めに

  • 私の卒論シリーズ
  • 今回の先輩は林萌英さん

 

できるまでの道のり

  • 卒論の内容と長さ
  • 最終提出までのスケジュール
  • ここがポイント

 

Q&A

  • 普段の生活との両立
  • 活用したツール

 

終わりに

  • オススメ本
  • 後輩へのメッセージ

 

おまけ

  • 卒論の内容をもっと詳しく

卒論の内容をもっと詳しく

私の卒論に興味を持っていただいて有難うございます。

ここでは、卒論の内容について質問形式で少し詳しく説明しようと思います。

タイトル:「イオノグラム 画像の自動読み取り手法の開発」

 

【なぜこのテーマにしたの?】

電離層の長期変動や季節変動を研究するにあたって、現在大量にあるイオノグラムを自動で読み取る有効な方法がなく、一つ一つ手動で読み取っていては時間がもったいないので、まず新しい自動読み取り手法を開発し、今後の研究に活かそうということでこのテーマになりました。

 

【自動読み取りとは?】

図1のようなノイズを多く含んだイオノグラムから、データの線のみを抜き出し(図2)、さらにいくつかのパラメータ(図3)を自動で読み取る手法のことです。

     図1:イオノグラム の元データ             図2:ノイズ処理後のイオノグラム 

図3:イオノグラム のパラメータ

 

【どうやって自動読み取りしたの?】

pythonというプログラミング言語を用いての画像処理技術を使ってイオノグラムの自動読み取りを行いました。

これまで、自動読み取り手法はいくつか研究されてきましたが、正確性に欠けたり、読み取り速度が遅いなどの問題がありました。pythonでは画像から素早く輪郭を抽出したり、線を検出したりする手法がいくつか開発されていたので、この手法を読み取りに応用できないかということで今回の手法を開発しました。

詳しい手順についてここでは説明しませんが、簡単に図で表すとこんな感じです

 

【研究の進度について】

pythonも画像処理も今まであまり経験がなかったので、初めの頃は苦労しました。そこで7月頃勉強のためにデータ解析の集中講義を受けたところ、そこで色んなアイディアを学ぶことができたので一気に研究が進みました。

ただ、本来の画像処理技術と今回の自動読み取りは少し用途が異なるため、その細かい調整をする所で1ヶ月ほど費やしてしまいました。

 

【結果】

これまでの手法に比べて、十倍の速度で読み取れるようになりました。正確性については、今回用いたデータが私たちの研究室の観測機で得られた独自のデータで、他の自動読み取り手法と比べることができなかったので、今回は議論しません。