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お堅い?難しい?そんなことない!アートの世界: 初級編「美術館ってどんなところ?」

「美術館って静かにしなくちゃいけないお堅い場所じゃないの?」「芸術って難しくてよく分からない…」と思っているそこのあなた!アートって、意外ともっと簡単に楽しめる分野なんです。

美術館にあまり行ったことがないあなたへ

このページでは、美術館をあまり利用したことがない方に向けて、美術館の楽しみ方をご紹介します。展覧会だけでなく、カフェや美術館建築など、アートに対しての興味がそんなに無い方にも読んでいただけると嬉しいです。

目次

はじめに

  • 「アート」ってどんなイメージですか?
  • 私がなぜ、アートに興味を持ってもらいたいのか

 

初級編「美術館ってどんなところ?」

  • 展覧会を楽しむ
  • 展示室以外を楽しむ
  • 関連書籍

 

中級編「もっとアートを身近に感じよう」

  • 身の回りにアートを取り入れる
  • アート関連の本を読む

 

上級編「違う視点で展示を見る」

  • 作品を「商品」として見る
  • 「学芸員」の視点で見る
  • 関連書籍

 

おわりに

  • ここまで読んでくださった皆さんへ

このガイドの作成者

Profile Photo
佐藤 由菜
連絡先:
本ガイドは図書館TA(Cuter)として勤務した際に作成したものです。

勤務期間 :2024年4月~
作成時身分:大学院生(修士課程)
作成時所属:九州大学大学院工学府土木工学専攻

展覧会を楽しむ

展覧会の種類

まず、一言で「展覧会」といっても、大きく2つに分けられます。

・常設展/コレクション展 → 美術館が所蔵する作品で構成された展覧会

・企画展/特別展 → あるテーマに基づいた作品や特定のアーティストの作品が一堂に会する展覧会

  メリット デメリット

常設展/コレクション展

・その館らしさが味わえる

・チケットが安い(大学生約200~300円のイメージ)

・何度も行く美術館だと見慣れて飽きる可能性がある
企画展/特別展

・ある軸で集められた作品なので、自分の好みに近い作品と出会いやすい

・普段海外に所蔵されている作品を見ることが出来る

・常設展と比べるとチケットが高い(大学生約800円~1200円のイメージ)

・人気なので混雑している

こんな感じで、それぞれメリットもデメリットもあるので、自分にあった展覧会を選んで行くことをおすすめします。

 


どんなことを考えながら作品を見れば良いの?

「色合いがきれいだなぁ」「ここに描いてある生き物は一体何なんだろう」「何の材質で出来た彫刻なのかな」「この作品はそんなに好きじゃないかも」など、何を考えても思っても、そこに正解は無いので、本当に自由に見てほしいです。ですが、「自由に」と言われると逆に何を考えれば良いか分からなくなる人もいますよね。(過去の私がそうでした・・・)なので、実際に私が展覧会に行くときにやっていることを3つ紹介します!

 

キャプションを読みながら作品を見る

多くの展覧会では、作品の近くに小さな説明書きがセットで展示してあります。このキャプションには、作品製作時の作者の状況(誰の影響を受けた作風の時期なのか、何歳頃の作品なのかなど)や歴史的背景、作品の材質や技法などの情報がぎゅっと詰まっています。キャプションの内容を受けて作品を見ることで、また違った見え方をしてくることもあります。

また、特に常設展/コレクション展のキャプションには、その館らしさがとてもよく表れます。個性的なキャプションを掲示している美術館もあるので、せひ注目してみてください!(私のオススメは福岡市美術館です。いくつかの作品に、通常のキャプションとは別に学芸員さんの個性あるキャプションが添えてあります。堅苦しくなくて親近感が湧くような、とても読みやすい文章なのでぜひ実際に足を運んでみてください!)

 

 

色んな距離から眺める

例えば、有名なモネの連作「睡蓮」にこのような作品があります。

ふんわりとした雰囲気で絶妙な色合いですね。こちらの絵をアップで撮影すると、このような部分が見えてきます。

   

近づいて見てみると、意外と濃い色も使われていることや、何色も重ねて塗った筆の跡があることが分かります。また、睡蓮を細部まで描き込んであるわけではないことも分かりますね。引きで見たときとは印象が変わって感じませんか?近くで見ると絵の具の質感や作品の細部が伝わってくるので、どのような過程を経て完成してきた作品なのか感じることが出来ます。

この後もう一度離れて絵を見てみると、近くでは色の集合のように感じる絵が、きちんと風景全体を表現していることにもう一度気付きます。

 

1枚だけ、好きな絵を厳選する

なんとなくで作品を見ていると、グッズショップでどの作品のグッズを買おうか迷ってしまうことがあります。気に入った作品のグッズを全て購入する訳にはいかないですし、後からやっぱりあっちにしておけば良かったと後悔してももう既に展覧会の会期が終了していて買えないなんてこともあるかもしれません。自分が「これだ!」と思う1つを選ぶ必要がある訳です。そこで、注意深く作品を見て、展覧会会場から出るときにはもう心を1つに決めておくのがオススメです。特に、長時間作品を見ることに疲れを感じるという人は、「自分はどれが好きか」という基準だけを持って作品を見ていくと、難しいことを考える必要もなく、わくわくした気持ちで展覧会を見終えることが出来ると思います。

展示室以外を楽しむ

「美術館=展覧会を見る場所」と思っていませんか?実は、展覧会を見た後にも楽しめるポイントが沢山あるんです!


カフェ

美術館にはカフェが併設されていることが多く、展覧会に関連した限定メニューやその美術館ならではの内装を楽しむことが出来るカフェが多いんです。ここでは、私が実際に行ってみて印象に残っている美術館カフェを2つご紹介するので、興味が湧いた方はぜひ行ってみてください!

杉本博司ギャラリー 時の回廊(@香川県香川郡直島町)

アートの島として有名な、瀬戸内海に浮かぶ直島にある展示施設です。この施設のために制作された「三種の神樹」というテーブルで、屋外に設置してあるガラスの茶室「聞鳥庵」を鑑賞しながらお茶をいただくことが出来ます。ここでしか体験できない特別な時間を過ごすことが出来ますよ。

 

箱根ガラスの森美術館(@神奈川県足柄下郡箱根町)

ヴェネチアン・グラス専門の美術館なので、カフェの内装にもガラスが使用されており、この場所ならではの空気感を感じられます。緑豊かな庭園やかわいらしい食器を楽しめるのもポイントです。


建築

展示室に入らなくとも、「美術館建築」を楽しむことも出来ます。設計者によって美術館全体がかなり違った印象になるので、色々な美術館をめぐってみて比較するのも面白いですね。こちらは、福岡県内にある美術館建築をいくつかご紹介します!

福岡市美術館(@福岡県福岡市中央区)

近代建築の巨匠と呼ばれる前川國男さん設計です。赤茶色の外壁が特徴的な福岡市美術館ですが、個人的には館内の照明がなんだかおしゃれでとても気に入っています。

後に東京都上野にある東京都美術館に訪れた際、一目で同じ設計者の建築に違いない!と気付きました。どうですか?雰囲気が似ていますよね。人混みの中たどり着いた東京の美術館で地元・福岡を感じて、少し安心した記憶があります。

 

九州芸文館(福岡県筑後市)

建築に興味が無い人でも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。隈研吾さん設計のデザインです。

   

特徴的なデザインですよね。2029年には、福岡県立美術館も隈研吾さん設計の建物に建て替わる予定です。そちらにも注目しておきましょう!

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