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お堅い?難しい?そんなことない!アートの世界: 上級編「違う視点で展示を見る」

「美術館って静かにしなくちゃいけないお堅い場所じゃないの?」「芸術って難しくてよく分からない…」と思っているそこのあなた!アートって、意外ともっと簡単に楽しめる分野なんです。

ちょっと変わった視点でアートを見てみたいあなたへ

こちらのページは、「美術館には頻繁に足を運んでいて正直マンネリ化してきた。もっとアートの違った楽しみ方を知りたい」という方に向けたページです。

目次

はじめに

  • 「アート」ってどんなイメージですか?
  • 私がなぜ、アートに興味を持ってもらいたいのか

 

初級編「美術館ってどんなところ?」

  • 展覧会を楽しむ
  • 展示室以外を楽しむ
  • 関連書籍

 

中級編「もっとアートを身近に感じよう」

  • 身の回りにアートを取り入れる
  • アート関連の本を読む

 

上級編「違う視点で展示を見る」

  • 作品を「商品」として見る
  • 「学芸員」の視点で見る
  • 関連書籍

 

おわりに

  • ここまで読んでくださった皆さんへ

このガイドの作成者

Profile Photo
佐藤 由菜
連絡先:
本ガイドは図書館TA(Cuter)として勤務した際に作成したものです。

勤務期間 :2024年4月~
作成時身分:大学院生(修士課程)
作成時所属:九州大学大学院工学府土木工学専攻

作品を「商品」として見る

おそらくこのページを読んでくださっているヘビー美術館ユーザーの皆さんは、展示作品そのものの美しさに興味があったり、美術館の空間に行くことが好きだったりすると思います。美術館のキャプションにはその作品の価格なんて書いてはいないので、考えたこともないと思いますが、実際売買する場合には、一体どれくらいの価格がつけられるものなのでしょうか。アート作品の売買はオークションのイメージが強い(バンクシーの作品が落札直後シュレッダーにかけられ断裁された映像を見たことがある方は多いのでは?)と思いますが、学生でも気軽に立ち寄れる場所でも意外と販売されているんです。


画廊(ギャラリー)

私はみぞえ画廊(福岡店)に行ったことがあるのですが、価格はついているものの、絶対に買わなければいけないというわけではありませんし、むしろ美術館よりも人が少ない分、作品について職員の方に質問しやすい雰囲気がありました。開催されている展覧会の内容にもよりますが、日本でも有名な海外の画家(ピカソ、シャガール、ルノワールなど)の作品や福岡にゆかりのある作家(野見山暁治や坂本繁二郎など)の作品など、様々なジャンルの作品が集められていて単純に展覧会としてもおもしろかったです。


画廊の他にも、デパートやイベント会場で行われている展示即売会だったり、ギャラリーの機能を持ち合わせたカフェだったり、アート作品が販売されている場所は意外と沢山あります。学生でも頑張れば購入できる作品が販売されていることもあるので、気に入ったものを持ち帰って自宅にアートを取り入れてみるもの良いかもしれません。

「学芸員」の視点で見る

実は九州大学は、文化庁によって「学芸員養成課程開講大学」に指定されています(2025年2月時点)。つまり、指定の単位を取得して卒業すれば学芸員資格が取得出来ます。(注:学芸員になる資格を得ただけで、学芸員になれるわけではありません。学芸員になるための就職活動をしなければならないわけですが、採用枠はかなり狭いです。)

下の表は、文学部のHPに掲載されている(2025年3月時点)、学芸員資格取得に必要な単位の一覧です。実習に関しては理学部でも別の講座が開講されていたり、実際に美術館・博物館・科学館などに赴いて実習を行ったりすることも出来ます。

実際に私も授業を受けているのですが、受講して良かったなと思うことがいくつかあるので紹介します。

①普段の専門講座では考えられないような体験が出来る

(これは「私が工学系の学生だから」というのもあるかもしれないですが、)実習やミュージアム見学で普段入れない場所に入れたり、実際に自分で展示を設置してみたりするという初めての体験が沢山出来ました。(例えば、化石の整理・他校の学生とのイベント準備・箱崎キャンパスでの標本見学など)講座内容は年にもよるそうなので、担当の先生に確認してみて欲しいですが、先生方の専門分野もバラエティに富んでいるので、本当に色々なことを授業で扱っていただけます。

②他学部/他学府の学生と交流出来る

受講してみた印象では、理学部と文学部の学生が多く、そこにその他の専攻の学生が少しだけ混ざっているようなバランスでした。少人数のグループで話し合う時間がよくあり、全く異なるバックグラウンドを持つ他の学生から普段どんな研究をしているのか聞くことが純粋に楽しく、とても刺激になりました。特に修士の学生は、基幹教育のように他学部の学生と一緒に授業を受けることがほとんど無いと思います。息抜きにもなるので、かなりおすすめです。

③「美術館運営側」の視点が持てる

資料の保存方法や展示方法、美術館の経営について知識を得ることで、展覧会に行った時に注目するポイントが変わりました。作品そのものだけでなく、照明の当て方や作品の設置方法も楽しむことが出来るようになったんです。講義では、実際に学芸員として働かれている方やディスプレイを手掛ける企業の方にお話を伺う機会もあり、「見せる側」がどのような意図で展示空間を作り上げているのか教えていただきました。本当に細かい部分にまで工夫が施されていてとても興味深く、それ以降、展示を見る際により一層注意深く会場中を見るようになりました。

関連書籍

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