口にすれば、どんな内容でも楽しそうに聞こえるイタリア語。音はフラットな日本語と比べると、まるで歌のような美しい言葉です。
喋るのが難しそう......ですが、日本人にとって意外と発音しやすい言語かも?
主語の省略とか目的語の位置とか、日本語と似てるっちゃあ似てる?
このページで、イタリア語の世界をちょっと覗いてみましょう。
イタリア語の学習を始めてみると、僕は「あれ?」とあることに気付きました。
「もしかすると、日本人にとってイタリア語は勉強しやすい言語なのかもしれない......」
勉強を始めて一週間も経たぬ間に、僕はイタリア語と日本語の類似点を発見したのです。
勉強したての僕が気付いたくらいなので、お察しの通りそんな大層な発見ではなく、イタリア語に少しでも触れれば誰でも発見できるものなのですが、ここでは声ならぬ文字を大にしてお伝えします。
それは......
発音の仕方がすんごく似ている
Ta-Da なんということでしょう。
イタリア語の発音は、ほとんどローマ字読みでいけるんです。
例えば、「私の名前は隆太です」はイタリア語で "Mi chiamo Ryuta" ですが、
読み方は "ミ キアーモ リュウタ" です。ほとんどローマ字読みですよね?
この文ではchiが「チ」ではなく「キ」であることを知ってさえいれば発音が出来ちゃうんです。
また、日本でもたまに耳にする「愛してる」の気取った言い方 "Ti amo" こちらもイタリア語です。
読み方は "ティ アーモ" ほとんどローマ字読みですね。Tiを「チ」よりもちょっとカッコよく発音するだけでイタリア語に。
発音と読み方が大変似ているおかげで、勉強したての僕も
という境地に。日本語を習得した人びとなら享受できる利点だと思います。
というわけで、意外とすんなり発音やリスニングは出来るようになりました。
皆さんもチャレンジしてみては!?
おまけ
そんな発音の似ているイタリア語ですが、単語によっては、イタリア語本来の読み方と日本での読み方で異なるものも数多く存在します。ここではいくつか例を挙げたいと思います。
発音こそ日本語に近いイタリア語ですが、文法は英語に近い......かと思いきや、ちょっと日本語と似ている部分もあります。
勿論、日本語にも英語にもない独特な面もあり、一苦労することも。ですが、1年使ってみた僕のイタリア語に対する見方は「面白い言語だな」。
そんなイタリア語の文法をちょっと覗いてみましょう。
・動詞の活用がすんごい
まずは何と言ってもコレ。動詞が死ぬほど変化します。これはフランス語やスペイン語とも共通する部分ですが、まーイタリア語は凄い。
主語、時制によって変化するだけでなく、話す場面や接続法(≒仮定法)でも変化させる必要があります。
まず「行く」という意味のandareという動詞を例に、変化の仕方を見てみましょう。
お、多い......。
次に、英語でいうbe動詞に当たるessereという動詞の活用表を見てみましょう。
be動詞ですらこんなに変化しちゃいます。簡単な文章を作るにしても、初めはちょっと一苦労です。
ちなみに、お気づきの方もいるかもしれませんが、過去形の欄が「直接法半過去」と表記されています。
実は、過去形にも半過去の他に近過去というものもあり、さらに言えば、遠過去というものも存在します。
遠過去の活用は憶えていません。笑
イタリア語学習を始めた誰もが動詞の活用の多さにビビッてしまうんですが、この活用によるメリットも存在します。そのメリットとは、次で述べる「主語が省略できる」という点です。
・主語が省略できる
英語の口語文ではたまーに省略され、日本語では省略されがちな主語ですが、
イタリア語では、人が主語であるならば、ほとんどの場合において省略されます。
「え、省略していいの?」と初めは驚きましたが、これがまー楽なこと楽なこと。
例えば、「本を持っている」と主語を省略せずにイタリア語で書いてみましょう。
主語が私 (io):Io ho un libro
主語が君 (tu):Tu hai un libro
主語の次に置かれているhoとhaiは、英語のhaveに当たるavereという動詞の変化したものです。
主語に応じて変化しているのですが、これはつまり、動詞さえ見れば主語が何であるか分かるということです。
そんなわけで、上の文は
Ho un libro
Hai un libro
と書き直すことができます。HoとHaiから「あー、一人称か」「二人称か」と主語が自ずと分かるんです。
そして、ほとんどの場合、このように主語は省略されます。
主語をあえて入れる場合もありますが、このときは主語の強調を意図しています。
また、これまた面白いところに、主語を強調する場合、主語は文頭ではなく文末に置かれることもあります。
Mi piaci tu
この文の主語は、文末のtuです。訳は「僕が好きでたまらないのは、まさに君なんだ!」といったところでしょうか。
・目的語が代名詞のときは動詞の前に出てくる
この特徴は日本語と似ていて、英語とは異なるものです。
「私はこの本をあなたにあげる」という例文をみましょう。
日本語では、「あげる」という動詞の前に「この本」と「あなた」が置かれていますね。
これを英語にすると、I give you this book.(未来形の方が良さそうですが、分かりやすくするため現在形で)
"give"という動詞の後に you と this book が置かれています。
この文をイタリア語にすると、Ti do questo libro.
Ti は you、questo libro は this book に相当します。doは動詞「与える」dareが変化したもので、主語が一人称のときの形です。この文より、間接目的語のTiが動詞の前に出ているのがお分かりいただけると思います。
さらにquesto libroがお互い周知で何を指すのか分かっているとして、questo libroをlo(これ)という単語で言い換えると、
Te lo do.
発音は「テ ロ ド」です。他の言語を寄せ付けない圧倒的な短文を作ることができます。
「めっちゃ便利じゃん」とお思いの方もいらっしゃるでしょう。が、イタリア語の学習中だった僕がいざ会話で使おうとすると、頭の中で変化の仕方や単語の位置を考えてしまい、そのせいで会話に妙な空白が生まれていました。使いこなすにはもっとイタリア語に慣れる必要があったんでしょうね......。
イタリア語を勉強するために学習本を買いましたが、買ったのはたった三冊。単語帳と文法書と入門書だけです。
そこから先はあまりお金を出さず、誰でもアクセスできるものを使用して学習を進めていました。
この学習方法は、イタリア語のみならず、大抵の言語にも使えるものなので(もちろん英語にも!!)、是非参考にしてください。
・YouTube
言わずと知れた動画サイト。検索ワードさえ工夫すれば、どんな動画でも見ることができます。
イタリア語の学習者に向けて、非常にゆっくりと分かりやすいテーマで話してくれる動画や、基本的なフレーズをただただ読み上げる動画などがあり、その中から自分のレベルに合ったものを選んで毎日のように観ていました。コンテンツの質も高く、楽しみながら学習することができました。
こういった言語学習のための動画は、あらゆる言語向けに作られており、検索次第でいくらでも発掘できます。イタリア語の動画数は決して少なくはなかったんですが、英語やフランス語、スペイン語といった、より話者の多い言語の動画数にはとても及びませんでした。やる気さえあれば、YouTubeの動画だけで勉強することも十分可能なのでは?
・Podcast
Podcastは、動画というより音声を聴くために活用していました。
YouTubeと学べる内容はほとんど同じですが、使い分けは「どこで観るか・聴くか」。
家の中やWi-Fiの使える環境ではYouTubeがバンバン観られるんですが、外で携帯の通信に頼ってみるのはちょっと......。
というわけで、外出している間はひたすらPodcastを聴いていました。
音声データなので、ストリーミング再生してもデータ量はそんなに消費しませんし、また事前にWi-Fi環境下でダウンロードしておくことも可能。Podcastを使いこなすことで、いつでもどこでも勉強することが可能となりました。
・Netflix
ここ2、3年で一気に普及した動画配信サービス。Netflixは月額の会員料がかかりますが、動画を楽しめるだけでなく、語学勉強にも適したサービスだと断言できます。
その理由は、映画やドラマに対する音声や字幕が豊富に用意されているからです。有名なドラマであれば、オリジナル音声に加えて、フランス語やスペイン語、イタリア語や日本語、ハンガリー語など大量の吹替音声が用意されており、また音声に合わせて字幕も変更することが出来ます。
僕はこのヴァリエーションの豊富さを活かし、超大人気ドラマ「Friends」をイタリア語音声、イタリア語字幕でずーっと観ていました。分からない単語や言い回しが出てくれば、一時停止して辞書を開いたり検索したりして、語彙を少しずつ増やしていきました。
ドラマで勉強をするメリットは、レストランやカフェなど日常的なシーンが多く出てくるため、場面に合った軽い話し方や注文の仕方なども学べること。そして、ドラマを観ることが全然苦にならないので、毎日続けることが出来ることが最大のメリットかと思います。
簡単にYouTubeなどの活用法について紹介しましたが、この他にも小説や興味のある本を買ったりネットでニュースを読んだりと、お金をほとんど掛けずに勉強する方法はいくらでもあります。
勉強したいというやる気と、ネットや本といった媒体を上手く組み合わせれば、どこに居てもどんな言葉でも勉強できるんだな~、とイタリア語の勉強を通して学びました。
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