私の卒論に興味を持っていただいてありがとうございます。
ここでは、私の卒論のより詳しい内容を紹介いたします。
卒論の目次はこんな感じです。
1章 緒言
2章 コンテナターミナルの現状について
研究対象とした港のコンテナ取扱量の推移や、ターミナルの施設・設備についての説明
3章 シミュレーションモデルの構築
今回の研究で作ったシミュレーションモデルについて、詳しく説明する。各荷役機器の性能設定値の紹介など。
4章 荷役プランデータの作成
5章 解析結果と考察
シミュレーションの計算結果を示して、考察を述べる。
6章 結言
コンテナターミナルには、色々な種類があります。
私が扱ったのは、岸壁並行・トランスファークレーン方式というものです。
まず、コンテナターミナルを上から見てみましょう。
奥の方にはコンテナ船が泊まっていて、手前の方にはカラフルな細長いかたまりが見えますね。
このカラフルなかたまりは、たくさんのコンテナを並べているものです。
コンテナ船が泊まっている岸壁と、平行にコンテナを並べているので、岸壁並行方式といいます。
コンテナターミナルの基本的な役割は、コンテナを船から揚げ降ろしすること、コンテナを保管しておくこと、そしてコンテナを
陸の業者に受け渡すことです。
海と陸の物流を結んでいるんですね。
荷物をおくるときには、陸の業者がコンテナを持ち込む→保管→船が来たらコンテナを積み込む
荷物をうけとるときには、船からコンテナを降ろす→保管→陸の業者が取りに来る
という流れになります。
私が卒論で扱ったのは、その中で、船からコンテナを降ろす→保管 の部分の作業になります。
では、詳しい作業の流れを見てみましょう。
まずはこの、ガントリークレーンという大きなクレーンが、船からコンテナを降ろします。
ガントリークレーンの下では、シャーシが待っています。
これがシャーシ。コンテナを積んで走るトレーラーです。
道路を走っているのを見たことがある人もいるのではないでしょうか?
そしてシャーシは、コンテナを保管する場所まで、コンテナをのせて走っていきます。
保管場所で働いているのは、トランスファークレーンです。
この門型のクレーンが、トランスファークレーンです。
トランスファークレーンが、シャーシからコンテナを受け取り、保管場所にコンテナを積み上げます。
私の卒業論文は、この一連の作業を、シミュレーションソフトを使って、コンピュータ上で再現するところから始まりました。
実際のターミナルに行って、クレーンが動いている様子をビデオに撮ったり、ターミナルの人に話を聞いたりして、
クレーンの速さや、使われ方を細かく調査します。
現実のターミナルをできるだけ細かく再現し、異なるところがないようにすることが重要です。
このディテール次第で、シミュレーションによって得られる結果の正しさが決まるといっても過言ではありません。
次に、いろいろなパターンを試してみます。
コンテナターミナルを上から見た図には、4つの細長いカラフルなかたまりがありましたね。
このひとつひとつを、蔵置レーンといいます。
さて例えば、この蔵置レーンを、船に近い1本だけ使うようにしたらどうなるか考えるとします。
まずは、蔵置レーンを1本だけ使うようにしたシミュレーションモデルを作ります。
そして、条件を決めて、シミュレーションを回します。
例えば8時間、ずっと船からコンテナを降ろす作業をすると設定します。
さらにシャーシの数も色々変えてみます。
そんな感じで、いろんなパターンを試したあとは、それを評価していきます。
シミュレーションが終わったら、たくさんの計算結果が出てきます。
8時間で何個のコンテナを扱うことができたのか?
ガントリークレーンは、何時間働いて、何時間休んでいたのか?
シャーシは8時間で何キロメートルぐらい走ったのか?
などなど。
さっき、蔵置レーンを、海から近い1レーンだけにしてみたと書きましたね。
コンテナを運ぶ場所が、船に近くなるわけですから、シャーシが走る距離は短くなりますよね。
そして走る距離が短くなれば、使う燃料の量も少なくなるわけです。
シミュレーションの計算結果を使えば、例えば1年間で、何円ぐらいの燃料の節約ができるのか?
ということが分かります。
これらは単純な例ですが、実際の卒業研究では、もっといろいろな要素を組み合わせて検討しました。
蔵置レーンの使用パターンや、トランスファークレーンを何台使うのか。
シャーシの台数の増減など。
そして、その結果を分析する方法を考えます。
例えば、シャーシの台数を増やせば、効率は上がりますが、お金がかかります。
どこかにちょうどいい台数というものがあるはずで、それを求めるための方法を考える必要があります。
まずは、現在のターミナルの状況を知る。そして、それをコンピュータ上で再現する。
様々な工夫を加えてみて、それを評価する。
これを繰り返して、研究を進めていきました。