このページまで見ていただき、ありがとうございます。ここでは、私の卒論についてもう少し詳しい内容を記したいと思います。参考になるかどうかわかりませんが、こういうタイプの卒論もあるんだという一例として見てもらえれば嬉しいです。実際に書いた構成も含めて書きます。
表紙・目次
表紙のタイトルがとても重要です。タイトルだけを見て、ある程度どのような内容なのかがわかるようにしなければいけません。かといって長すぎても…キーワードが多かったので、タイトルをまとめるのに少し苦労しました。
目次はどのページにどの内容が書いてあるか示したものです。タイトルと目次を見るだけである程度の研究内容はわかると思います。
1.はじめに
いきなり成層圏の話をしてもわからない方も多いので、現在の時代背景から述べました。例えば地球温暖化や気温上昇などです。この研究をすることで社会にどのような形で役に立つのか、というところを説明しました。
また、私の研究で主に取り扱う現象が、「成層圏突然昇温」というもので、この定義もここで述べました。そして研究の目的を背景と絡めて述べることで一貫性を持たせました。ここは実験レポートの背景や原理・目的と同じ構成ですね。
私の研究は、気象庁の再解析データ(観測データ)から1980年代の10年間と、2000年代の10年間の風や温度の分布を調べて比較しました。
2.使用データ
私の研究では、あるデータから計算・作図をし、その結果を考察するという手法だったので、使ったデータを明示する必要がありました。また、そのデータがどういうものなのかを説明したり、そのデータに関する論文なども参考にしました。表を用いて見やすくしました。
3.解析方法
ここでデータをどのように処理したかを書きました。今回はフーリエ解析を用いたので、フーリエ解析の式や意味も説明しました。ここで学部時代の勉強が役立ちます。もう一度教科書やノートを見直しました。
4.結果
今回は3種類の図を自分でも混乱するほどたくさん作りました。上記の解析方法と対応するように結果も整理して書きました。また、図の軸の説明も忘れずにしました。ちなみにその3種類というのは、緯度-高度分布図・時間-高度分布図・北極点を中心とした世界地図(polar map)です。軸の意味が違うと全く結果も変わってくるので注意が必要でした。
5.結論・今後の課題
研究期間が短かったので、課題はたくさんありました。研究している最中は気付かなかったことも、他の人の研究発表を聞くことで気付いたこともありました。また、論文執筆よりも発表が先だったので、発表の場でもらったアドバイスなどをここで反映しました。
1980年代と2000年代の気候を比べると、2000年代の方が気温の変化などを引き起こす大気現象が強く発生していることがわかりました。これが異常気象などを引き起こしている原因の一つかも知れません。これからはより詳しく調べていき、異常気象や地球温暖化などの原因が少しずつ理解できるといいなと思っています。
6.謝辞
謝辞というものを初めて書きました。協力してくれた研究機関や企業などがあれば迷わずここへ書くべきでしょうが、私は先生や先輩方、同期に感謝の意を述べました。こういう項目があるということは、研究は一人ではできないということです。様々な協力があって、研究成果が出ていることを改めて感じました。
7.参考文献
当時は書き方がわからなかったので、先輩の論文や先行研究論文などを参考にしました。普段の授業でも参考文献は書きますが、特に雑誌論文の書き方がわかりませんでした。今ではCuterによる「レポートの書き方講座」の中で参考文献の書き方をお教えしていますが、そのときに初めて雑誌論文の書き方や、研究分野によって参考文献の書き方が違うことを知りました。「レポートの書き方講座」をまだ受講したことがない方、ぜひオススメです。
このような流れで卒業論文を書きました。基本的な構成は実験レポートとほぼ同じだと思います。卒業論文を書くことに関しては、実験レポートにきちんと取り組んでおけば何も心配ありません。
また、卒業研究をしている間は(し終わった後もですが)いろんな人に「どんな研究してるの?」と聞かれます。基礎知識がある人にもない人にもです。どんな人にも自分の研究が簡潔に説明できるようになっておかなければなりません。そのためには内容を自分で十分に理解していること、難しい内容でも噛み砕いて話せることが重要です。これは自分自身も研究内容をより深く理解することができますし、わからないところを質問されることで新たな視点を得られるかもしれません。
あなたも機会があれば、どのような研究をしているのですか?と積極的に聞いてみてください。あなたの視野が広がるのももちろん、聞かれた方もプラスになることが多いです。他の人にもきちんと研究の面白さを説明できるようになるためにも、卒業研究に楽しんで取り組んでください。応援しています。ここまで読んでいただき、ありがとうございました!