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私の卒論ができるまで: 雜賀翔平(九州大学工学部・2017年卒) : おまけ

九州大学の図書館でティーチングアシスタントとして働く院生が学部時代に卒業論文にどのように取り組んだか紹介します。

目次

初めに

  • 私の卒論シリーズ
  • 今回の先輩は雜賀翔平さん

どんなことを書いたか

  • 卒論の内容と長さ

できるまでの道のり

  • 最終提出までのスケジュール
  • ここがポイント

Q&A - 終わりに

  • 普段の生活との両立
  • 活用したツール
  • オススメ本
  • 終わりに 後輩へのメッセージ

おまけ

  • 今回使ったロボットはこちら!
  • 卒論の内容をもっと詳しく

このガイドの作成者

Profile Photo
雑賀 翔平
連絡先:
Contact:
本ガイドは図書館TA(Cuter)として勤務した際に作成したものです。
勤務期間 :2017年4⽉〜2019年3月
作成時⾝分:⼤学院⽣(修⼠課程)
作成時所属:九州⼤学⼤学院工学府航空宇宙工学専攻
分野: A12_工学府

今回使ったロボットはこちら!

この動画は卒論時に使ったロボットのプロトタイプになります.

動画のリンクはこちら

卒論の内容をもっと詳しく

私の卒論に興味を持っていただいてありがとうございます.

私の卒論タイトルは「ワイヤー駆動を用いたマイクロサージェリ用5指ハンドロボット」です.

 

〇そもそもマイクロサージェリとは何なのか?

マイクロサージェリとは,顕微鏡を使って神経や指の縫合などを行う精密な動作が必要な手術のことです.

今まではロボットではなく手作業で行われてきました.そこで,ロボットであればより正確な手術ができるのではないかということで研究されています.

 

〇ハンドロボットについて

今回用いたロボットは,病院キャンパスの中楯先生という方が開発したハンドロボットです.このロボットは,人が手袋をはめてハンドロボットを操作するマスタ・スレーブシステムを搭載しています.(マスタが手袋,スレーブがハンドロボット)

自由度は各指3自由度,合計15自由度の指と肩・肘・手首各2自由度ずつの合計6自由度,計21自由度です.

(上の動画はプロトタイプなので腕がついていないものです)

サーボモータでワイヤを押し引きすることでスレーブの指の伸びと曲げを行っています.

このロボットはスレーブの指を全開にした時に手首から先の部分がだいたい500円玉くらいの大きさになります.

手の形によっては直径10mmの穴の中に手を入れることもできます.

 

手を横に置けばロボットがどれくらい小さいかがわかりますね.

 

〇機械的評価って?

病院キャンパスの中楯先生が開発したハンドロボットの性能がどれくらいあるかの実験をまだやっていなかったので行いました.性能評価としては,どれくらいの精度で所定の位置に指の先端を合わせることができるのかという位置決め精度,ハンドロボットの指がどれだけの力を出すことができるのかという出力測定,マスタを動かしてからスレーブが動き始めるまでの時間を計測した時間応答性を高速度カメラで計測しました.

 

〇錯覚って?

私の研究室ではロボットをまるで自分の手の様に感じることができれば操作性が上がるのではないかと考えて研究を行ってきました.つまり,ロボットを自分の手と錯覚することができれば操作性が向上するはず,,,という考えです.これはRubber Hand Illusionというものを利用しています.

  

Rubber Hand Illusiionとは,こちらの動画の様に衝立の手前にラバーハンドを置き,見えない側に被験者の手を置きます.そこで筆などの柔らかいもので同じ場所に同期した刺激を与えてあげることでラバーハンドを自分の手の様に感じてしまう,錯覚現象が生じます.この動画ではラバーハンドをハンマーでたたくことで一瞬被験者は自分の手を叩かれたと思ってしまい,反応してしまっています.これが錯覚が生じていた証拠です.


 

実際に先輩の先行研究(把持動作可能なピンセット型のロボット)では錯覚が生じたほうが操作性は向上したという結果が出ています.

しかし,私が扱ったハンドロボットに対して錯覚が生起されるか,生起するとしたらピンセット型のロボットよりもハンド型のほうが錯覚が強くなるか,ということは実証されていませんでした.

そこで,錯覚が生起するか,生起するとしたらピンセット型のロボットとどちらが強いかという実験を行いました.

 

実験結果についてはまだ公開することができません.ご了承ください.