九州大学の1~3年生のみなさん、卒論ってイメージできていますか?そんなことまだ考えたことも無いよ・・・という方もいれば、がんばりたいけど・・・長い文章など書いたこと無いし・・・と漠然とした不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
「私の卒論ができるまで」シリーズでは、本学の大学院生である図書館TA(Cuter)が、学部時代に卒業論文にどのように取り組んだか語ってくれます。備えあれば憂いなし。先輩の様々な事例を参考にして、準備を進めましょう。
皆さんはじめまして!
九州大学大学院人間環境学府行動システム専攻心理学コース修士課程1年の大坪 快(おおつぼ かい)といいます。
所属が長すぎてよくわからないと思いますが、一言で言うと心理学専攻の大学院生です。
学部時代は九州大学教育学部に所属しており、今年4月に大学院人間環境学府に進学しました。
趣味は音楽鑑賞で、特にThe Beatlesの楽曲をよく聞いています。
恐らくどんな音楽が好きな人でも好きな要素があるので(何しろ世界一売れたバンドです)、これまで洋楽にあまり触れてこなかった人にもぜひ一度聞いてほしいです。
さて、私の研究テーマは、「集団間紛争状況における外集団攻撃行動の生起メカニズムの解明」というものです。
具体的には、集団間の紛争状況におかれた人々が、自らの所属していない集団(心理学では「外集団」といいます)のメンバーを攻撃する行動に興味を持っています。
人類はその誕生以来、集団同士の争いを繰り返してきました。
私たちが暮らす現代でも、世界各地で数多くの紛争が人々の生活に甚大な被害をもたらしています。
例えば、1994年のルワンダ内戦では、民族間の争いで100万人もの人々が殺されたと言われています。
なぜ、普段は他者と協調し、手を取り合って暮らしている人々が、紛争状況になった途端、外集団のメンバーに対して、外集団のメンバーであるという理由だけで敵意をいだき、時に命を奪うほどの強烈な攻撃を加えるようになるのでしょうか。
また、この行動は、進化的に見てもとても不思議なものです。
集団間の紛争に積極的に参加することは、個人の生命を危険に晒し、子孫を残す確率を大幅に下げると考えられるからです。
なぜ、進化の過程でこのような性質が生き残り、人間に根付いているのでしょうか(そもそも、このような性質が私たちに「備わっている」と本当に言えるのか、というのも難しい問題です)。
このような問いに対して、主に行動実験と呼ばれる手法を用いてアプローチしています。
皆さんは卒論に対してどのようなイメージを持っていますか?
恐らく、先輩などの経験談を聞き、「きつい」や「つらい」といった印象を抱いている方が多いのではないでしょうか。
実際には、卒論は「きつい」ものでも「つらい」ものでもありませんし、むしろ大学4年間で一番楽しい経験と言っても過言ではありません。
(大学生は挨拶代わりに学業がきつい/つまらないと愚痴る生き物です)
このガイドは、これから卒論を書くであろう皆さんに僕の経験を簡単に伝え、「なんだ、できそうじゃん!」
と思ってもらうことを目標としています。
ガイドを読み終わった後に、皆さんの不安が少しでも軽くなっていたら嬉しいです。
厳しい大学受験を乗り切った皆さんならきっとできるはずです。
やればできる!
本編に入る前に、私が所属する人間環境学府行動システム専攻心理学コースの宣伝をさせてください。
心理学は良くも悪くもメジャーな学問なので、大学院ではたくさんの学生が心理学の研究をしているようなイメージをお持ちの方もいるかもしれません。
しかし、実際は、心理学の研究を目的として大学院に所属する学生の数は決して多くなく、認知心理・発達心理・教育心理・社会心理など幅広い分野の研究室がある行動システム専攻心理学コースには、1学年に5〜10人ほどの院生しかいません。
そのため、みんなでわいわい楽しみながら研究をする、という雰囲気は残念ながらあまりありませんが(研究室にもよります)、その分先生方からの手厚い指導を受けられたり、設備を贅沢に使えたりするなどメリットもたくさんあり、研究の環境としてはかなり充実していると思います。
これを読んでいる学部生の方で、少しでも心理系の大学院進学に興味がある方がいらっしゃいましたら、ぜひCuterデスクまで話を聞きに来てください!