九州大学の1~3年生のみなさん、卒論ってイメージできていますか?そんなことまだ考えたことも無いよ・・・という方もいれば、がんばりたいけど・・・長い文章など書いたこと無いし・・・と漠然とした不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
「私の卒論ができるまで」シリーズでは、本学の大学院生である図書館TA(Cuter)が、学部時代に卒業論文にどのように取り組んだか語ってくれます。備えあれば憂いなし。先輩の様々な事例を参考にして、準備を進めましょう。
皆さん、初めまして!画面越しに失礼いたします。
九州大学大学院 人間環境学府 実践臨床心理学専攻 専門職学位課程2年 の火ノ口史野 (ヒノクチフミヤ) と申します。
漢字が羅列しており、漢文みたいですね...。簡単に言えば、臨床心理学を研究する大学院生です。
学部時代は、共創学部に所属しており、2023年の4月に大学院へ進学しました。
元々、教育哲学系の研究室に所属していましたが、大学院を機に臨床心理学の道を進み始めました。
趣味は、自転車を漕ぐことで、毎日往復10数キロの道のりを、かれこれ5年以上漕ぎ続けています。
雨ニモ負ケズ風ニモ負ケズ。
太陽に当たるのが好きなので、日光浴も好きです。通学路の海辺でよく寝転んでいることがあります。
その他には、テニス、釣りや野球観戦などスポーツやアウトドアも大好きです。
私の卒論のタイトルは、「故人と共に心理的柔軟性を育む ―ACT を使った遺族の悲嘆と喪失経験の包括的理解のための質的研究―」というものでした。これまた長いので、簡単に言えば、ACT (Acceptance and Commitment Therapy) という心理療法の原理を使って、大切な人を亡くした遺族の方々の悲嘆の心理を分析するというものです。
私たちは、生きていれば必ず大切な人の死に向き合うときが訪れます。
生きるということは、死と向き合うことでもありますね。通常、人間は大切な人の死に直面した時には、「喪の作業」と呼ばれる立ち直りのプロセスを踏むとされています。この喪の作業が健康的に踏めればよいのですが、中には長い時間ずっと大切な人の死から立ち直れず、抑うつ感や悲壮感などを抱えながら生活している方々も一定数いると推測されています。このような状態は、昨今では「複雑性悲嘆」と呼ばれる精神疾患として精神医学/臨床心理学では知られており、何らかの介入 (心理療法) によって立ち直りを促進することが求められています。現在、様々な心理療法が開発されつつありますが、死という特殊な経験から引き起こされるこの症状に効く心理療法は数えるほどしか体系化されていません。そこで、大切な人を亡くした遺族の方の経験を分析することで、今後の心理療法の発展に貢献しよう!というのが私の卒論です。
皆さんは、「ソツロン」という言語刺激を知覚したとき、何を連想しますか?
「キツイ」「キビシイ」「シンドイ」「アタマイタイ」など、ネガティブな言葉と経験を鉛のように重く感じているかもしれませんね。
または、「オモシロソウ」「コウフンスル」「タノシソウ」「ヤッテヤルゼ」などポジティブな言葉と経験を心地よく感じる人もいるかもしれません。もちろん、不安だという感覚は全くおかしくないですし、私もそうでした。
今回のガイドでは、このような不安を抱えながらでも、私が卒論を完成させた道のりを振り返っていこうと思います。
私の道のりを共有することで、少しでも「ソツロン」のイメージを軽くすることができれば幸いです。