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私の卒論ができるまで: 熊井哲斗(九州大学工学部・2023年卒): できるまでの道のり

九州大学の図書館でティーチングアシスタントとして働く院生が学部時代に卒業論文にどのように取り組んだか紹介します。

目次

初めに

  • 私の卒論シリーズ
  • 今回の先輩は熊井哲斗さん

 

できるまでの道のり

  • 卒論の内容と長さ
  • 最終提出までのスケジュール
  • ここがポイント

 

Q&A

  • 普段の生活との両立
  • 活用したツール
  • 研究で苦労したこと
  • 先行研究

 

終わりに

  • オススメ本
  • 後輩へのメッセージ

 

おまけ

  • 卒論の内容をもっと詳しく

卒論の内容と長さ

卒論内容について

みなさんはZEHという言葉をご存じでしょうか?

ZEHというのは、Net Zero Energy Houseの略で、言葉の通り、一年間で消費するエネルギーが正味でゼロの住宅を指しています。(正確には、そのような住宅が満たすべき基準を指します。)

消費するエネルギーがゼロと聞くと、エアコンは使えない、お湯も作れない、スマホの充電もできない、とんでもなく不便な家のなのではと思う人も居るかもしれません

しかし、ZEH住宅はそのような不便な住宅ではありません。むしろ、快適性は普通の家より高い場合が多いです!

「正味で」というのがキーワードで、ZEH住宅とは機器を高効率化させたり、家の断熱性能を高めたりすることで、極力消費エネルギーを抑えつつ、消費エネルギーよりも多い量のエネルギーを太陽光発電等で創る、という住宅です。

私の研究はこのZEH住宅を対象としたものでした。

       ZEHイメージ図

経済産業省資源エネルギー庁ウェブサイトより:https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/housing/index03.html (2024/8/23参照)

 

論文のタイトルについて

私の卒論のタイトルは「運用段階におけるZEH住宅のエネルギー消費に関する研究」です。

地球温暖化やエネルギーの枯渇が問題となっている今、国によってこのZEH住宅が推進されていて、家主にとってもZEH認定を受けることで家を建てる際に補助金がもらえるなどのメリットがあります。

このZEH認定は、家を建てる前に行われるため、住宅が一年間でどれくらいのエネルギーを消費するか、どれくらいのエネルギーを創ることができるかは、計算ソフトを用いて算出されています。

私の研究では、この計算ソフトによる計算結果と、実際に人が住んでいるときに計測した結果にどのような違いがあるかを調べ、ZEH認定の計算の正確性や改善点について検討しました。

 

卒論の分量について

卒論の長さは表紙や目次を合わせて63ページ、字数にすると約2万4千字となりました。

理系の卒論は図や表が多くなるのでページ数の割に字数は少なくなる傾向があります。

最終提出までのスケジュール

完成までのスケジュール

完成までのスケジュールは以下のようになります。

時期   やったこと

学部4年生4月

5月

6~8月

9~11月

12月

 

2月上旬

2月中旬

研究室配属

研究テーマ決定、計測データを入手して分析を行いながら月数回のペースでゼミを行った

院試勉強(この期間はゼミの頻度はかなり落としました。)

研究が本格化し、ゼミを週1のペースで行った。

解析にある程度めどがつき、梗概と本論の作成を開始

年末ごろに添削を開始

卒論提出

卒論発表

 

ゼミの頻度は教授がご多忙なこともあり、かなり少ないほうだと思います。(ゼミを全くしない月もありました。)そのため、何か疑問点や報告があれば、教授室に行って5~10分くらい話をして進めるということが多かったです。

ゼミの頻度や長さは研究室によってかなり差があるので、研究室選びの際は研究内容だけでなく、自分にとって適切な忙しさかどうかも考慮に入れることをお勧めします!

 

研究室配属について

建築学科の研究室配属は4年になってからあり、研究室は大きく分けて以下の3つの系統があります。

・計画系(意匠、都市、歴史等の研究室)

・環境系(熱、エネルギー、光等の研究室)→私の所属する研究室もこの系統に分類されています。

・構造系(構造、材料、防災等の研究室)

大規模な建築物の設計に携わりたいという理由で建築学科に入ったものの、どのような形でその仕事に関わるかということはぼんやりとしていました。入学後、授業、設計演習、先輩の話などを通して建築物の快適性に直結する環境系に興味が湧き、その中でも熱やエネルギーを扱う研究室を選びました。

 

研究テーマ選びについて

私が所属する研究室では、ゼロから自分で研究テーマを決めることはなく、教授から複数のテーマが提示され希望する研究を行うというスタイルでした。提示されたテーマは、商業施設を対象としたもの、温熱環境シミュレーションソフトの改善、将来気象等、多岐にわたっていました。その中でも、私たちにとって最も身近で、生活の基盤となる住宅の性能・環境について関心があったためこの研究を選びました。

ここがポイント

なるべく早めに取り組み始めること

研究に限らず、院試、就活等どんなことにも当てはまると思いますが、私はこれが一番大事だと考えています。

研究を早めに進めることで、精神的な余裕が生まれる、不測の事態へ対応しやすい、論文のクオリティが上がる等多くのメリットがあり、締め切り間近で徹夜するということもなくなります。

先輩や先生に相談するときもギリギリで相談するより時間的な余裕のある方が、相談される側の負担も小さくよいアドバイスがもらえると思います!

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普段の生活との両立

活用したツール

研究で苦労したこと

先行研究