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私の卒論ができるまで: 石川千絵里(九州大学医学部保健学科・2024年卒): できるまでの道のり

九州大学の図書館でティーチングアシスタントとして働く院生が学部時代に卒業論文にどのように取り組んだか紹介します。

目次

初めに

  • 私の卒論シリーズ
  • 今回の先輩は石川千絵里さん

 

できるまでの道のり

  • 卒論の内容と長さ
  • 最終提出までのスケジュール
  • ここがポイント

 

Q&A

  • 普段の生活との両立
  • 活用したツール

 

終わりに

  • オススメ本
  • 後輩へのメッセージ

 

おまけ

  • 卒論の内容をもっと詳しく

このガイドの作成者

Profile Photo
石川 千絵里
連絡先:
本ガイドは図書館TA(Cuter)として勤務した際に作成したものです。

勤務期間 :2024年4月~
作成時身分:大学院生(修士課程)
作成時所属:九州大学大学院医学系学府保健学専攻看護学分野助産学コース

卒論の内容と長さ

私の卒論のテーマは「乳児期のベビーマッサージが母親と児へ与える効果」です。
テーマの通り、ベビーマッサージが母児に与える効果についての研究を行いました。


そもそも、ベビーマッサージとは何か、知っていますか?

<ベビーマッサージとは?>
赤ちゃんと、ママ・パパのスキンシップの1つです。ベビーオイルやベビーローションを用いて行われることが多く、赤ちゃんの肌を撫でたり、さすったりします。方法や手順は様々で、多くの団体や協会、個人が提唱したベビーマッサージがあります。日本では、子育てサロンや育児サークル、病院や産院など、たくさんの場所でベビーマッサージ教室が開催されています。また、インストラクターには特別な資格は求められていないという特徴もあります。


現代日本においてはライフスタイルや人々の価値観の変化が生じており、晩婚化や未婚者の増加、少子化・核家族化の進行、共働き世帯の増加などが見られます。これらより、妊娠・出産をするまで乳児と接したことがない母親も増えており、身近に気軽に頼ることができる人が少ない状態で子育てを開始することとなります。こうした状況下では、退院後に地域で行われる子育て支援や産後ケア事業の必要性が高まっています。
また、ベビーマッサージ教室は、病院や産院・地域など様々な場所で開催されていますが、ベビーマッサージを産後ケアサービスとして希望する母親は多いということが明らかになっています。

ベビーマッサージが母親と児へ与える効果を明らかにし、看護ケアとしてのベビーマッサージの意義について検討することを目的に、文献研究を進めていきました。九州大学の看護学専攻は、学部生の卒論では原則文献研究を行うことになっています(他大学では実際にアンケート調査や実験・介入研究を行うところもあるそうです)。テーマに合致する内容の文献を収集し、それらを読み、まとめていくという形で研究を進めていきました。

 

総ページ数は 22ページ24,031文字(引用文献リストなどを除いた本文部は19,541文字)でした。
せいぜいA4で2~3枚程度のレポートしか書いたことがなかったので、卒論を書く前は書きあげられるか不安に思っていましたが、約1年かけて書いていくので、意外と苦戦はしませんでした。今振り返って見てみて、22ページもあったんだってびっくりしています(笑)。

最終提出までのスケジュール

<完成までのスケジュール>
スケジュールは、以下の通りです。想像以上にあっという間に時間が進んでいったので、スケジュール管理は大事だと感じました。私は特にテーマ選出に時間がかかってしまったので、考察にかける時間が短くなってしまったことが反省点です。

完成までのスケジュール
時期   やったこと

2023年4月

2023年5月

2023年6月~8月

2023年9月上旬

2023年9月中旬

2023年10月~

2023年10月下旬~11月上旬

2023年11月末

ゼミ開始。担当教員と相談しながら、関心のあるテーマに関する文献を読み進めていく。

研究計画書を提出

文献の選出と文献クリティーク。文献から得た情報をExcelシートにまとめていった。

結果のまとめ作業

領域内での中間発表(母性看護、小児看護、急性期看護…などと領域が分かれています)

考察を進めていく。論文の執筆にとりかかる。

発表会資料(PowerPoint)作成。抄録の執筆。

看護研究最終発表会。抄録と論文の最終提出。

 

<ゼミについて>
ゼミは週に1回程度行われていて、各自で文献を読み進めながら進捗を報告し、指導してもらう形でした(看護は研究室によっても頻度や進め方は様々だったので、あくまで私の一例です)。先生にもよると思いますが、自分で調べて、自分で考えるという自主性が問われるので、自分が研究をしているんだという主体性を持つことがとても大事だと感じました。

ゼミ内での発表会は、大きなものは中間発表会と最終発表会前に1回ずつあり、発表会の事前練習として行われました。事前にどんな質問が来そうか話し合い、回答を事前に準備しておくことで、当日の質疑応答へのドキドキ感が減り、少し安心して臨むことができました。また、スライドの見やすさなどについても指摘し合い、提出前の最終調整を行いました。自分では気づかなかった所を教えてもらえるので、助かりました。

 

<読んだ文献の数>
実際に結果として分析し、用いたのは10文献でした(文献研究だったので)。
「はじめに」の部分や考察を執筆する際に使用した文献を含めると、引用した文献は全部で59件でした。テーマ決定に至るまでに読んだ文献も含めると、抜粋して読んだものも含めて70ぐらいは読んだのではないかなと思います。

 

<最終発表会について>
最終発表会は11月末に行われ、PowerPointのスライドを用いて発表しました。発表時間は、8分(発表5分、質疑応答3分)(アドバンスコースの場合は15分(発表10分、質疑応答5分))でした。発表会はスーツ着用で行われたので、普段とは違った雰囲気で少し緊張感がありました。

緊張感はありましたが、最終発表会前にゼミ内の発表会があり練習できたこと、質疑応答で聞かれそうなことをあらかじめ考えて準備できたこともあり、何とか乗り越えることができました。事前に発表原稿を考えておき、練習をして臨めば大丈夫だと思います。

※アドバンスコース(看護研究Ⅳ)
看護学専攻の卒業研究では、「看護研究Ⅲ」を全員履修します。それに加えて、大学院への進学を考えていたり、より深く学びたいと考えている人は、選択科目である「看護研究Ⅳ(アドバンスコース)」を履修することができます。履修単位は2単位で、海外文献を多く読むことや、倫理審査の認定講習を受講することなどが求められます。

ここがポイント

卒論を書いていて、最も苦労したところは、「テーマ設定」です。

 

興味のある分野がざっくりとしすぎていて、なかなかテーマを絞り込むことができず、たくさん文献を読んで、紆余曲折ありながらようやくテーマが決まる…。という感じでした。回り道したことが無駄になったわけではないですが、時間には限りがあるので、自分の興味関心を絞り込めていることはとても大切なことだと思います。

考え事をしている看護学生のイラスト
看護の場合は、4年生から研究室配属になると思いますが、3年生の時に講義や実習を受けていく中で、さらに言えば2年生のうちから、自分の興味が持てる分野を探しておくことをおすすめします。看護実習ではまとめのレポートを書くときに文献を使用すると思うので、その時に興味ある分野に関してついでに調べてみたり、実習や演習を通して気づいたことがあればまとめてみたりしてみると良いのではないでしょうか。

 

また、現在修士課程に進みましたが、学部時代の研究を修士に繋げられるようなものにしてもよかったなと思う気持ちもあります。今研究したい分野が学部時代のテーマと180度違うわけではないですが、もう少し近しい分野にしていれば現在の研究に生きたのではないかな、と。1年間の文献研究を通してあるテーマに詳しくなれるという機会は貴重だと思うので、もし修士課程に進みたいと考えている人がいれば、後々を見据えてテーマを何にするか考えてみてください。


*私がテーマ決定に至るまで
もともと妊産婦のメンタルヘルスに興味があって、産後うつ病の支援に関して文献を読み進めていました。その中で、ベビーマッサージが支援や予防の1つとして行われることを知りました。ベビーマッサージは様々な場所で行われていること、自宅でも気軽に行えることから興味を持ち、どのような効果があるのか分析したいと思い、テーマ決定に至りました。

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普段の生活との両立

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