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はじめてのGIS: 地形と地質

目 次

GISとは

GISがどういったものか,実に簡単に紹介したいと思います。

・土地利用の分析

GISを使って土地利用の変遷について調べてみましょう。

地形と地質

地形と地質の分布を比較して,その関係について考察してみましょう。

社会・経済

国勢調査の結果をもとに,人口の分布とその密度を見てみましょう。

・GISを使うためには?

実際にGISを使うために必要なソフトウェアについて簡単に紹介します。

地質と地形の関わり

 GISは人文地理や自然地理といった地理学と大きな関わりを持って育ってきた情報システムです。このページでは自然地理の簡単な例として地形と地質の分布と関わりについて,少し考察してみたいと思います。


<地形分類図>

 こちらは,先ほどと同じ地域の地形分類図を示したものです。本来はもっと多くの種類に分類されているのですが簡便のために大まかな分類を用いています。そのため埋め立て地,自然堤防や砂州などはその他に含まれています。

 前ページの土地利用と比較するとずっと境界が明瞭ですっきりした図になりました。分類項目の数が少ないというのもありますが,本来地形というものは雨や風といった自然の営力を受け,長い時間をかけて変化していくものです。それに対して,人間活動の結果をあらわす土地利用などは変化がずっと激しいものと言えるでしょう。

 さて,わかりやすく説明するために河川を中心に地形を話していきたいと思います(実際の河川より強調して表示しています)。河口に注目すると「その他」に分類される地形が広がっています。このあたりが海に面していることからおそらく海浜や埋め立て地が広がっているものと考えられます。

 (周囲が空白のため周りが海か何かと思われるかもしれません。が,実際は西から北にかけては海が広がっていますが,南や東は陸地でつながっています。)

 その周りには上流からの堆積物により形成された低地が広く分布していることが確認できます。さらに上流へさかのぼっていくと扇状地が,最終的に山地が広がっており典型的な河川地形の構造をしています。

 一方で加也山の北西を見てみると低地はほとんど広がっておらず丘陵地と丘陵地をつなぐ橋のような形でその他が広がっています。これらの地形は堆積作用により砂州などが発達し,陸続きになったものと考えられます。


<地質分類図>

 次は地質の分布を見てみましょう。表層地質というのは地表近くの土の層の状態を示しているもので,その年代と土層を構成している岩石により分類しています。こちらのデータも,もともとはとても細かく分類されていますが今回は簡単に説明するためにざっくりと4つ分類しました。そしてその内1つはほとんどといっていいほど分布していないので実質3つの分類になります。

 (凡例の言葉を簡単に説明すると第四紀堆積層は地質年代的に最も若い地層で,更新世(250万年前)以降に堆積作用により形成された地層のことをいいます。旧成紀(古第三紀)は6,550万年前から2,303万年前の年代であり,変成岩や深成岩はその地層を形成している代表的な岩石の種類を示しています。)

 ざっくりとした分類のおかげでずいぶんと見やすいと思いますが,はてこれからどんなことがわかるのでしょう?河川の周りには第四紀堆積層が広がっており,その周りを覆うように深成岩が分布しています。また,南東のほうでは変成岩が深成岩に入り込むような形で分布しています。地形のときにお話しましたが,やはり地層も長い時間をかけて形成されていくものであり,このように小さいスケールで見るのは少し難しいようです。

 ところでこの地質の境界,地形の境界と似ている気がしませんか?分かりやすいように色を変えた地形図が次の図になります。


<地形分類図(ざっくりと2つに分類してみました)>

 ざっくりと2種類に分けてみました。丘陵地,山地の標高や傾斜が大きいグループと,低地や埋め立て地など堆積作用により地形が形成されたグループです。さて、どうでしょう?地質の境界とかなり似ている気がしませんか?実際に地質は地形の成り立ちに大きく影響を与えることが知られています。

 このページではGISを使って地形と地質の分布を簡単に調べてみました。今回は分布図から視覚的にわかることについて説明しましたが,GISを使うことで第四紀層においてどれだけ低地が分布しているかなどを定量的に計測したり,各地形の空間的関係について統計的に分析することが可能です。