jsPsychとは,心理学実験を実施する目的に特化したJavaScriptのライブラリです(de Leeuw, 2015)。
jsPsychには,心理学実験を行うために必要なプラグインやそれぞれのプラグインを使ったサンプルプログラムが含まれています。jsPsychのプラグインは,心理学実験によく使われる機能(例えば,参加者にリッカート式のアンケートを呈示し,回答を記録する)を簡単に使えるようにあらかじめ挙動をプログラムしたものです。ユーザーは,実験プログラム(HTMLファイル)の中で使いたいプラグインを宣言し,必要な変数を指定するだけで簡単にブラウザ上で動く心理学実験を作成することができます。
人を対象とした調査を行う分野の学部生・院生の方が最も慣れ親しんでいるのはGoogleフォームだと思います。
簡単なアンケート調査程度であれば,Googleフォームは手軽で素晴らしいツールです。しかし,反応時間を測定したい時や,ランダム化* が必要な時には,jsPsychに軍配が上がります。また,慣れてくるとGUIベースのGoogleフォームよりも,コードベースのjsPsychの方が素早くプログラムを作成できるようになります。
* Googleフォームでは誕生月などを利用した疑似的なランダム化しかできません(2024年3月時点)。もっとも,jsPsychのランダム化も疑似乱数を使用したものなので,疑似的と言えば疑似的ですが...。
jsPsychはこちらのサイトの "direct link" をクリックするとダウンロードすることができます。
jsPsychをダウンロードしないで利用する方法もありますが(参考: 黒木先生によるチュートリアル),この方法だとライブラリの編集ができないなどの制約があります。
以下がダウンロード・解凍したjsPsychの中身です(バージョン7.3.2)。
distフォルダには,各プラグインのJavaScriptファイル(.js)やスタイルシート(.css)が入っています。
プラグインやスタイルシートを変更したい場合以外はこのフォルダは使用しません。
examplesフォルダには,各プラグインを使ったサンプルプログラム(HTMLファイル)が入っています。
これらを参考にして,目的の実験プログラムを作成していくことになります。
実験プログラム作成には,HTMLファイルを編集するためのテキストエディタが必要です。
メモ帳などでの編集も可能ですが使い勝手が悪いので,特にこだわりが無ければマイクロソフト社のVisual Studio Code(VSCode)をおすすめします。
このページでは,実験プログラム作成のための準備について説明しました。
次のページでは,実験プログラムの構造を理解し,演習としてアンケート調査を作成していきます。