上の図は,一般的なオンライン実験実施の流れを簡略化して示したものです。
クラウドソーシングとは,仕事を発注したい人と仕事を受注したい人のマッチングが行われるプラットフォームです。クラウドソーシングには,仕事を受注したい人(=ワーカー)が多数登録しており,発注側は,金銭的報酬を支払うことで,音声の文字起こしやキャッチコピーの考案などといった様々なタスクをワーカーに外注することができます。代表的なプラットフォームとしては,Amazon Mechanical Turk (AMT) やYahoo! クラウドソーシング,ランサーズなどがあります。
多くのオンライン実験は,クラウドソーシングを介して実験の参加者を募集します。*
研究者は,まず,実験のための専用webページを準備します(Googleフォームなどの外部ツールが利用されることも多いです)。そして,クラウドソーシングサービス上で実験用ページのURLを記載したうえで,実験参加のタスクをワーカーに依頼します。後は目標人数のワーカーが集まるのを待ち,実験が完了したら実験用ページからデータをダウンロードするだけです。
まとめると,オンライン実験を実施するために研究者が行う必要のある作業は,大きく分けて「実験用webページの作成」と「クラウドソーシングでの発注」の2つとなります。
*大学等で募集した参加者にオンラインで参加してもらうこともあります。
ワーカーに対する報酬の支払いは,クラウドソーシングサービスが代わりに行ってくれます。
報酬の額については,利用予定のサービスで,「心理学」「実験」といったキーワードで過去のタスクを検索してみることで,大体の相場を知ることができます。仮に単価100円で参加者を1,000人集めるとすると,かかる費用は100×1,000=100,000円にプラットフォームの使用料が加算された額となります。この価格は,データ集めを代行してくれる調査会社の料金と比べると大幅に安いことが多いです。
一方で,極端に安い金額で調査を依頼することに対する批判も存在します。参加者への報酬額の設定には,倫理的問題が深く関わります。必ず指導教員や倫理審査委員会と相談の上,決定しましょう。
このページでは,オンライン実験の仕組みについて解説しました。次のページでは,オンライン実験実施のために必要な下準備を行っていきます。