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遺伝子配列の検索や比較に役立つwebツール・ソフト: ④遺伝子配列を編集したいとき

研究室配属などでこれから研究を始める方の助けになるガイドです

EnzymeX

 EnzymeXはPCにダウンロードすることで使用できるフリーソフトです。開発当時博士課程に在籍していた2人の学生によって作成されました。主に、遺伝子の配列情報から制限酵素サイトを探したり、可視化するために用います。

 

 

 制限酵素は主にプラスミド作成時に用いられます。「プラスミド」とは、遺伝子組み換えに多く用いられる、人工的な改変をなされた染色体外のDNAのことです。例えば、遺伝子配列を組み込んだプラスミドを細胞に導入することで、特定の遺伝子を発現させることができます。生命科学系の論文では必ずといってもいいくらいの確率でプラスミドが使用されており、さらに、そのプラスミドの入手方法なども記載されています(購入または譲渡など)。


 目的の遺伝子をプラスミドに組み込むためには、まずプラスミドを切断し、遺伝子を挿入する箇所を作製しなければなりません。ここで用いられるのが「制限酵素」です。

 制限酵素は、細菌や古細菌が有している外来DNAを切断するための酵素で、中には特定の塩基配列(4~8bp)を認識して切断するものがあります。これらの制限酵素が機能した時に、末端がどのように切断されるのかも先人たちの研究によって明らかになっています。

 制限酵素を用いるメリットは、切断末端が酵素依存的になることです。言い換えると、使用した制限酵素特異的な切断末端を作り出すことができます。これは、同じ制限酵素でプラスミドを切断しておけば、切断末端が相補鎖を補うようにして遺伝子を挿入することができます。さらに発展として、2種類の制限酵素で遺伝子を挿入する領域を作った場合、遺伝子挿入の向きも一意になるため、非常に有用です。

 

 以上のように、生命科学系の実験では制限酵素は必須であると言えますが、その配列を可視化してくれるのがEnzymeXというソフトです。

 まずはじめに、調べたい配列を枠内にペーストします。

 

 すると、ペーストした配列内に存在する制限酵素サイトが左欄にハイライトされます。

 上部タブの「Restriction Map」をクリックすると、配列内に存在する制限酵素サイトを可視化することができます。

 さらに、使用したい制限酵素を選択し、下部の「Digest Reaction」欄にドラッグ&ドロップすることで、実際に選択した制限酵素で切断するとどういった断片ができるか簡単に調べることができます。