最後のセクションでは、これからも次の世代の人たちもファッションを楽しむことができるように、消費者としてできることを紹介します。基本的には「いいものを長く着よう!」という言葉に尽きます!!
ポイント1: 生産を適量にする
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まずは、供給過多の状況を改善することが重要です。現行の生産・消費・廃棄のサイクルを維持しながら、素材や原料を変えるだけの変革でなんとかしようという動きもありますが、この異常な供給量を保ったままで問題が解決すると考えるのは些か無理があるように私は感じます。今既に製造されてしまった服ができるだけ長い間利用されるような流れを作ることが重要です。
ポイント2:よりよく作られたものを選ぶ
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新しい衣類を買う時には、利益至上主義のファッション産業による問題の改善に寄与したいと考えるならば、環境や人権に配慮した製品を選ぶことが重要です。例えば、オーガニックコットンは現在コットン市場全体のわずか0.9%ほどですが、通常の栽培方法と比べて化学薬品の使用量や水の消費を大幅に削減することができますし、労働者の健康も守ることができます [1]。フェアトレード認証の製品を買うことで、工場の労働者たちに適切な賃金と労働環境が与えられていることに対して消費者が価値をおいていることの意思表示をすることができます。
少しずつでも、購買時の選択基準に環境や人権が含まれる人が増えると、企業側もそれらを考慮せずにはいられないようになってくるはずです。最初はちょっと考えるのが面倒だなと思ったりもするかもしれませんが、今後ここに書いているようなことを一緒に意識して行動してくれる仲間が増えたらいいなと私は願っています。
コラム:私の実践 ①欲しいものは古着屋さんで! 毎年ちょっとずつ服の好みが変化する私ですが、今季はこんな感じの雰囲気の服が欲しいなというイメージがついたら、古着屋さんを巡ってみることにしています。前述のように、衣類は生産の段階における環境的・社会的負荷が大きいため、リユースを活用することで大きな変化が見込めます。古着屋さんで服を買うと、「今季はもう欲しい服買ったし!」という抑止力?が働いて、街で素敵な服を見かけても落ち着いていられます。メルカリなどのサービスもリユース品の利用のために有効ですが、試着ができないことがネックですね。既によく知ったサイズの商品などを買うにはよいと思います。 ②ダーニング 捨ててしまうきっかけの一つに「穴が開いた」というのがありますね?最近私は「ダーニング(darning)」という手法をみつけたのですが、なかなか簡単で応用も効いて楽しいです。右の写真は自宅のスリッパの踵部分が破けたので修理してみたものです。修理するとなんとなく自己肯定感も上がるので、研究や発表で自尊心が喪失した人にもおすすめです。本屋さんの手芸コーナーにはビギナー向けのダーニングの本などもありますので是非! ③黒染め 実はこれはまだ試したことがないのですが、服を捨ててしまうきっかけのもう一つに「変色」というのがあります。服の染め替えのサービスなんかも実はいろいろあるらしいので、今後利用してみたいなと思っています。
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ここまで読んでいただきありがとうございました!
ちょっと憂鬱になってしまうような情報も出してきましたがいかがでしたでしょうか…?私自身ファッションとサステナビリティの問題が利益追求重視の世の中の縮図のようになっていて、しんどいなと思ったところから書き始めたこのガイドですが、少しでもみなさまの学びになったり面白いなと思っていただけたりしたら幸いです。サステナビリティを学ぶ上では現実を目の当たりにして心がしんどくなったり落ち込んだりしがちなので、仲間を見つけたり息抜きをしたりしながら末長く付き合っていきましょうね!(勧誘)
ファッションに関しても、SNSでは毎日新しい流行が発信されていますし、街で見かけた安くて可愛い服や靴をついつい買ってしまうこともありますが、少しずつ頑張ってみんなで一緒にこの異常なサイクルを乗り越えて「良いものを長く着る」文化に移行していけたらいいなと思います。
それでは、お付き合いありがとうございました!
これからのファッションをサステナブルへ: Sustainable Fashion | 環境省 (2021)
(※エラーのように見えますが「You Tubeで見る」を押すと普通に見れます)
[1] Textile Exchange, 2020. Organic Cotton Market Report 2020. [online] Available at: <https://store.textileexchange.org/product/2020-organic-cotton-market-report/> [Accessed 23 March 2022].