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サステナブルファッションのすすめ: サステナビリティ(持続可能性)

ファッションのサステナビリティとは?現状の理解と今後の選択のためのガイドです。

サステナビリティ(持続可能性)

1. サステナビリティ?

ファッションに関しての話に入る前に、「サステナビリティ」って何?という方のために少し整理してみます。もうわかってるよ!という方は次のセクションに進んでくださいね。

サステナビリティはとても簡単にいうと、「今の生活はずっと続けることができないよね?」というイメージからきています。現在の私たち [1] の生活スタイルは地球上の限りある資源や地球の可変のエコシステムに依存しているにもかかわらず、それらがまるで無限で、不変であるかのように錯覚しています。有限な地球を顧みることなく資源の利用や自然の改変を続けた結果、今や私たちは自らの生存・繁栄のために必要なシステムを自分たちで壊し始めてしまっているというのが現状です。私が好きなイメージを用いると、現在の人間たちの生活スタイルを維持していくためには、地球は1.75個必要であると言われており [2] 、地球のキャパシティを大きく超過してしまっていることがわかります。そこで、これではちょっとまずいから、みんなで「サステナブルな」システムを考えようよというのが現在のサステナビリティの議論です。


2. 有限の地球?

有限の地球のイメージをもう少し具体的にしましょう。ストックホルム・レジリアンスセンター [3] は、人間の繁栄のために必要な9つの条件について、それらが今どの程度(私たち人間にとって)安全な状態に保たれているかを調査しています。詳しく知りたい方はプラネタリー・バウンダリー(planetary boundaries)で動画や書籍を参照していただきたいのですが、ここで注目したいのは、人類の繁栄のために必要だとされる条件のいくつかは既に危ない(または怪しい)状況になってきているということが多くの科学者から認められつつあるということです。

(ストックホルム・レジリアンスセンター [3] より)


3. 目標としてのサステナビリティ

このような状況を受けて、様々なレベルで世界中でサステナブルな、つまり持続可能な社会を目指そうという流れが起こっています。中でも最も有名なものが世界共通の目標として2015年に国連で採択されたSDGs(Sustainable Development Goals: 持続可能な開発目標)ですね。

SDGsの17のターゲットを見ても分かるように、最近では「サステナビリティ」は、自然環境に関する問題に加えて貧困やジェンダー平等など現代の社会的な問題も広く含めて「バランスの取れたより良い社会」を目指すための概念として用いられるようになってきています。

コラム:サステナビリティの歴史[4]

サステナビリティ(sustainability)は持続可能性と訳されますが、もともとは林業や漁業など自然資源の管理のための概念で、永続的に資源を手に入れるために、自然がそれらを作り出す範囲内でしか消費をしてはならないという考え方です。戦後の工業化の進展や人口の増加で資源利用が激増し(Cf. great acceleration)、1970年代になると環境問題が深刻化するなかで地球規模でその概念の必要性が指摘されるようになりました。1972年にローマクラブが出した「成長の限界」では、地球規模で自然の再生産スピードを超えた資源利用がなされていることが指摘され、世界に大きな影響を与えました。1987年の「環境と開発に関する世界委員会(ブルントラント委員会)」で公表された「Our common Future」ではその中心的概念として「持続可能な開発(sustainable develoment)」が取り上げられ、「将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発」と定義されました。


では、ファッションはこのサステナビリティとどう関わっているのでしょうか?次のセクションで説明します!

注釈

[1]  ここでは日本に住む人々や、それと同等のエネルギー物質資源を消費する生活を送っている人々を想定。

[2] Footprintnetwork.org. n.d. Ecological Footprint. [online] Available at: <https://www.footprintnetwork.org/our-work/ecological-footprint/> [Accessed 22 March 2022].

[3] Stockholm Resilience Centre. n.d. Planetary boundaries. [online] Available at: <https://www.stockholmresilience.org/research/planetary-boundaries.html> [Accessed 11 March 2022]. Cf. Jarzebski, M., 2020. プラネタリー・バウンダリー:地球システムにおける9つの限界を再考すべきか - 東京カレッジ. [online] 東京カレッジ - 東京大学. Available at: <https://www.tc.u-tokyo.ac.jp/weblog/2563/> [Accessed 11 March 2022].

[4] Cf. 農林水産省. n.d. SDGsとは:農林水産省. [online] Available at: <https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/about_sdgs.html> [Accessed 22 February 2022].