絞首台からのレポート by ユリウス・フチーク著 ; 栗栖継訳所蔵場所・請求記号: 理系図2F文庫新書 岩波文庫/赤/775,芸工図3F書架|文庫 989/F51
ISBN: 4003277511
発行年: 1977.9
作者ユリウス・フチークは、第二次世界大戦中、ドイツ占領下のチェコスロヴァキアでジャーナリストとしてナチスに対する抵抗運動を行い、その結果拘束されました。数年間の拘置所生活では、度重なる拷問にも耐え、最終的には絞首刑に処されます。 この本は、そのような獄中生活の中、看守などの周囲の人々の支えを受けながら、手記形式で書き上げられたものです。 本を通して伝わってくるのは、彼は死ぬまで、共産主義が人類にとって最良の政治形態であり、ソ連がそれを実現してくれるということを信じていたことです。私がこの本に初めて出会ったのは、ソ連邦が崩壊し、共産主義の欠陥が明らかになりつつあった時期でした。そのような状況の中で、作者の勇気や信念に感銘を受けたと同時に、人間の信念とは何か、果たしてこの世に本当に信じられるものがあるのか、非常に複雑な気持ちになったことを覚えています。この本は、異常な時代を勇気と信念ともに生きた人間の姿と同時に、世界そのものを疑い、批判的に考えることの大切さを教えてくれました。若い世代にもぜひ視野を一歩広げるため、この本を手に取ってもらいたいと思います。