ここもまた少しアドバンスな知識です。まずは右の内容を押さえて下さい
高AG性代謝性アシドーシスも他の酸塩基平衡異常を合併していることがあります。
△AG=実測AGー正常AG
補正HCO3-=実測HCO3-+△AG とすると
補正HCO3-は”AG上昇を起こすことがなかった場合のHCO3-の値”と言え、高AG性代謝性アシドーシスのみの場合なら補正HCO3-=正常HCO3-=24となる。
補正HCO3-<24の場合 HCO3-を低下させる要因他に存在すると言え、正常AG性(高Cl性)代謝性アシドーシスの合併があると考えられる。
補正HCO3->24の場合 HCO3-を増加させる要因が他に存在すると考えられ、代謝性アルカローシスの合併が考えられる。
アニオンギャップ(AG)は
AG=[Na+]ー[Cl-]ー[HCO3-]で求められる。(正常値は12±2)
これは体液中の陽イオンと陰イオンの濃度は電気的中性を保つために等しいという事実を基に作られた式である。
通常測定されない陽イオン(Na+以外)をUC,通常測定されない陰イオン(Cl-,HCO3-以外)をUAとすると
[Na+]+UC=[Cl-]+[HCO3-]+UA という式が成り立つ。
これを変形すると
[Na+]ー[Cl-]ー[HCO3-]=UAーUC となる。
すなわちAGを測定することでUAの増加の有無を推定することが出来、これは代謝性アシドーシスの鑑別に有用である。
不揮発性酸が増加、すなわちUAが増加にすると高AG性代謝性アシドーシスを呈する。高AG性代謝性アシドーシスを呈する疾患としてはケトアシドーシス、乳酸アシドーシス、薬物中毒、尿毒症などがある。
HCO3-が喪失されUAはそのままにClが増加すると、正常AG性(高Cl性)代謝性アシドーシスを呈する。
正常AG性代謝性アシドーシスとしては尿細管性アシドーシス、下痢、副腎不全などがある。