不整脈の患者さんは動悸、息切れ、立ちくらみ、失神、胸痛を主訴として来院したり、またこれらの既往があったりします。そのため問診が大切となります。
また不整脈は心停止の大きな原因の一つであり、それによる心停止を未然に防ぐことが大事となります。
不整脈っぽい患者さんが来たら、病室に入ってくる時点でふらふらしてないか、顔色が悪くないかといったことに注意して観察しましょう。
心臓の刺激伝導系は洞結節→心房→房室結節→His束→右脚・左脚→Purukinje線維の順となっています。
正常では洞結節(ペースメーカー細胞)の興奮が心房を伝わり房室結節に到達します。
続いてHis束、右脚・左脚、Purukinje線維を経て心室筋に興奮が伝わります。正常では洞結節がペースメーカーとなり正常な心拍のリズムを形成します。
不整脈は刺激伝導系から心房筋、心室筋への興奮伝導の異常や興奮発生の異常などによって発生してきます。
不整脈(arrythmia)とはどんな疾患なのでしょうか?
不整脈という言葉からはそのまま”脈が不整になる疾患”というイメージが浮かびますが、実際には
①心臓の刺激生成の異常
②興奮伝道の異常
によって起こる病態をすべて含みます。
また不整脈には大きく分けて
①脈が速くなる頻脈性不整脈(tachyarrythmia)
②遅くなる徐脈性不整脈(brdyarrhythmia)
の2種類があります。
またすべての不整脈が異常所見という訳ではないことも覚えておいてください。
吸気時に脈が速くなる呼吸性不整脈は健常人でも認められますし、睡眠時には副交感神経が優位となり徐脈傾向になります。また訓練された運動選手は安静時でも心拍数が35~50回/分ということがしばしばあり、これをスポーツ心臓と呼んでいます。
上のボックスでは少し病態にまで踏み込んだ紹介をしましたが、
不整脈は「心拍数が正常(60以上100未満)かつ洞調律(規則正しい)」以外の拍動と考えてください。
簡単にいうと脈が速すぎたり、遅すぎたりリズムが飛んだりすることを言います。
不整脈の種類は大きく頻脈性不整脈と徐脈性不整脈に分けられると言いましたが、
頻脈:脈拍数≧100回/分
徐脈:脈拍数<60回/分
とされています。
P波は心房の興奮(収縮)。
QRS波は心室の興奮(収縮)。
PQ時間が心房から房室結節を経て心室へ興奮が伝わる時間。
RR間隔がリズムを現す
ということをざっくりとではありますが掴んだうえで次の波形判読の話に移っていきましょう!
患者さんの脈をとってみたら、脈拍数がおかしい…となれば心電図をとってみようという流れまではわかると思いますが、難しいのはその心電図の見方ですよね…。
ここでは簡単な心電図の見方を紹介してみたいと思います。(正常な心電図は上のボックスの中を見てみてください)
心電図の解析の方法の一つに最低限見るべきポイントをまとめた「5質問法」というゴロのようなものがあります。
「心臓の理解はPとQRSとその関係」
1.心…心拍数:つまり徐脈(<60/min)か頻脈(≧100/min)
2.理…リズム:リズムが整か不整か。つまりRRの間隔(心拍数)が一定か
3.P…P波があるか否か
4.QRS…QRS波の幅が広いか狭いか(0.12sec「小マス3マス」より短いか長いか) *基本的に 狭い→心房性不整脈 広い→心室性不整脈
5.その関係…PQ間隔はどうか?P波とQRS波の関係が1:1になっているかどうか