では、『h-index』とは何か、ということを最初にご説明します。
h-indexは、論文の被引用数に基づいて算出される、研究者の評価指標の一つです(h指数ともいいます)。
h-indexを考案したHirschは以下のように述べています。
A scientist has index h if h of his or her Np papers have at least h citations each and the other (Np - h) papers have ≦ h citations each.*1
つまり、
ある研究者が発表した論文のうち
「被引用数がh回以上である論文がh本以上あることを満たす最大の数値h」
がその研究者のh-indexになります。
例えば、、、
10回以上引用された論文が10本ある研究者の場合…h-index:10
となります。
*1 E. Hirsch. An index to quantify an individual’s scientific research out-put. Proc Natl Acad Sci, 102(46):16569–16572, 2005.
さて、他にも研究者の評価指標がある中で、h-indexを使うメリットとは一体何なのでしょう?
以下、二人の研究者の評価を例に考えてみましょう
>10回引用された論文が10本ある研究者A
>100回引用された論文が1本と、一度も引用されていない論文が9本ある研究者B
どちらも総被引用数は100で、総論文数は10、となります。
ですが、この二人の研究者に対して、同じ評価をするのは違う気がしますね…。
そこで、二人の研究者のh-indexを算出してみます。
>研究者A…h-index:10
>研究者B…h-index:1
数値を見ると分かると思いますが、発表論文数が多いだけ、被引用数が多い論文が一つあるだけでは、h-indexの数値は高くなりません。
被引用数の多い論文を多く発表している研究者のh-indexが高くなるのです。
つまり、
h-indexは研究の「質」と「量」の両方を考慮した指標なのです。
(従って、上の例では、被引用数の高い論文が一本だけのBより、一定の評価を受け続けているAの評価が高くなります。)
また、算出方法も複雑な計算式があるわけでなく、非常に簡単であることも、メリットの一つでしょう。
しかし、h-indexも良いところばかりではありません。
次のBoxで、h-indexの短所(注意点)について簡単にご説明します。
それでは、h-indexの短所(注意点)をお話しします。
いくつかありますが、特に以下3点に留意してください。
他にも、、、
・共著者情報が考慮されない
・分野間の比較ができない
(医学分野などでは高く、工学・数学など一部の分野では低い、という傾向があるため)
といった短所が挙げられます。
結局、研究者の評価指標(今回の場合h-index)は、どれも長所と短所を合わせ持っています。
なので、h-indexはどういう指標なのか、きちんと理解をしてから活用することが大切です。
それでは、次のページから、h-indexの調べかたについてご説明していきます。