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アーヴィング・ゴフマンの社会学〜ありふれた「コミュニケーション」を考える〜: 印象操作

アーヴィング・ゴフマンの社会学を通じ、我々にとってありふれた「コミュニケーション」について考える。

印象操作

私たちは様々な「役割」をもとにコミュニケーションを行っています。

自分と他者はそれぞれ、居合わせた場に応じた互いの「役割」を認識し、その「役割」に沿って振る舞います。

このとき、私たちは期待されている「役割」通りに相手に見えるよう、意識的無意識的に自分の振る舞いをコントロールしています。

ゴフマンはこれを「印象操作」と呼びました。

人間は皆、舞台上のパフォーマーである

家の中、学校の教室、仕事場、バイト先…私たちの生活の中には様々な場面があり、友人、家族、上司、同僚、恋人など、その中で出会う人間に応じた振る舞い方、「役割」が存在します。自分と他者は演技をするパフォーマーであり、相手のパフォーマンスをみるオーディエンスでもあります。

ゴフマンは人々が「役割」を演じる場を「表局域」と「裏局域」とに分類しました。

表局域」とは演劇の比喩でいえば「舞台上」、すなわち人が不特定数の人間に見られることを前提とし、その場にふさわしい演技をする空間のことを指します。

大学を例として挙げれば、授業中の教室を想像すればわかりやすいでしょう。教室内での授業は、教員は学生に教えるという教員の「役割」、学生は教員の授業を聞くあるいは質問をするという学生の「役割」を演じることで成り立っているといえます。授業中に関係のない話や行動、居眠りなどをしていれば、双方「表局域」での「役割」に反しており、大なり小なりの制裁を受けることとなります。それを防ぎ授業という場を成立させることが互いの共通認識としてある場合、教員と学生は互いに観察し、「役割」から逸脱した行動をとれば、それを改めるよう要請する(「私語をするな」「関係ない話をしないで授業を進めて」)か、その逸脱を見て見ぬふりをします。場を成立させる気がどちらか一方にでもなければ授業は成立せず、学級崩壊へと突き進みます。

               

裏局域」とは演劇の比喩でいえば「舞台裏」、「舞台上」でのパフォーマンスを降り、それに向けた準備するための空間のことを指します。

言い換えると、「表局域」における「役割」から解放され、パフォーマーがくつろげる空間ともいえます。

例としては、レストランにおける厨房や休憩室が挙げられます。この場合、店員にとって料理とサービスを提供する席やテーブルでの客に対する振る舞いが「表局域」となります。「裏局域」である厨房や休憩室ではサービス提供のために身だしなみを整え、料理を準備し、同時に他の店員と談笑します。この「裏局域」がなければ「表局域」でのパフォーマンスは成功しないかもしれません。「あの客最悪!」と愚痴をこぼせる場や相手がなければ、にこやかな笑顔でその客に対応することはできないでしょうから。ただしこの会話をその客に聞かれては致命傷です。当然のことながら、パフォーマーにとってのオーディエンスは2つの局域で別か、同じでもどちらかの局域において同じ「役割」を演じていることが前提となっています。

         

注意してほしいのは、「裏局域」においても人は演技をしないというわけではないという点です。前に述べたように、人々には生活する中で様々な「役割」を期待されています。それに応えようとして自分の言動をコントロールすることを、ゴフマンは「印象操作」と呼びました。

教員であれば学生に注意する、聞き取りやすく通る声で話す、寝ている学生にチョークを投げて起こす(?)、学生であれば教員の話をしっかりと聞く、黒板の内容をしっかりノートに書くなどが「印象操作」の例として挙げられるでしょう。極端なことをいえば、期待されている「役割」を演じきれば、教員免許がなくても教員として、学生証がなくても学生として、「表局域」である授業の場は成立してしまいます。いつぞや経歴詐称でワイドショーを騒がせた男性がそれまでばれなかったのは、メディア上でいかにも詐称した経歴にふさわしいと人々がイメージする「役割」を、見た目や声、言動を通じて演じていたからだと考えられます。

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松岡 智文
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本ガイドは図書館学習サポーター/図書館TA(Cuter)として勤務した際に作成したものです。

勤務期間 :2016年4月~2021年3月
当時の身分:大学院生(博士課程)
当時の所属:九州⼤学大学院地球社会統合科学府