冷戦期は共産主義圏であった旧東側諸国では、共産党の独裁政権や検閲の下で、このような言語を絶する環境とどう向き合うかが一つのテーマとなっていました。
ただし、事態を徹頭徹尾深刻に描くだけではありませんでした。例えば『あまりにも騒がしい孤独』で検閲をテーマにしたボフミル・フラバル(1914-1997年)は単なる告発に終わらず、状況を笑い飛ばすユーモアも兼ね備えていた作家です。
この地域の20世紀以降の文学については、奥彩子[ほか]編『東欧の想像力: 現代東欧文学ガイド』(松籟社、2016年)が網羅的に紹介しています。オーストリアや旧東ドイツ、少数民族や移民の作品も扱っています。