ブリテン諸島やフランスといった西欧からピックアップするのは、冷戦の醸すディストピア的雰囲気を反映したSFや、現代思想の香りを織り込んだ作品です。
旧チェコスロヴァキアに生まれてチェコ語の小説を書き、プラハの春をはじめとする国内の不安定な政情に耐えかねてフランスに亡命すると執筆言語をフランス語に切り替えたミラン・クンデラ(1929年-)は「バイリンガル作家」の一人です。取り上げる『冗談』(1967年)はチェコ語作品ですが、推敲を重ねたフランス語版を決定版としたことを受け、フランスを含む「西欧」カテゴリに入れてみました。