国際学会に参加して、英語力以外の部分で自分の未熟さを痛感しました。
確かに英語は重要です。流暢に話せれば議論もスムーズに進み、発表も自信を持って行うことができます。しかし、それ以上に圧倒的な違いを見せつけられたのは、(専門分野はもちろん)専門外の知識の深さでした。
ある研究者と話しているとき、その方はご自身の専門分野だけでなく、歴史、哲学など完全に他分野にまで話を広げていました。
一方の私はどうだったかと言いますと、研究についてはある程度話せるものの、そこから先の話になると途端に言葉に詰まりました。
例えば、ある現象を説明する際に、相手が「この考え方は○○世紀の哲学者○○の議論と似ていますね」とさらっと言いました。しかし、その哲学者の名前すら知らなかった私は、「そうなんですね」と返すのが精一杯でした。もし私がその哲学者の議論を知っていれば、より深い対話ができたはずなのに、その可能性を自ら閉ざしてしまったように感じました。
この経験を通して痛感したのは、「教養」の重要性です。工学を学ぶ者であっても、工学だけを学んでいればよいわけではないことを実感しました。学会から帰国した今、ただ論文を読み書きするのではなく、もっと広い視野で知識を吸収し、それを自分の中で繋げていくことを意識しようと思いました。
そのためには、本を読むことが大切であると思います。本を読むことで知識を蓄えるだけでなく、自分の頭で考える力が養われるからです。
九州大学附属図書館には膨大な蔵書があるので、普段の自分が選ばないような本を手にとってみて欲しいなと思います。
今回の学会は指導教員も一緒に行く研究室の友人もおらず一人での参加(ぼっち)が確定していたため、なんとかしなければならないと思い、積極的に行動することを意識しました。最初は不安もありましたが、思い切って話しかけた先生方に温かく迎えられ、たくさんの励ましの言葉をいただきました。「一人で海外に行き、初めての国際学会に挑戦するなんて本当にすごい!」という評価をいただけ、とても嬉しく思いました。最初は少し恥ずかしさもありましたが、こうしたポジティブな反応が大きな自信につながりました。
学会中は基本的に「ぼっち」状態で、セッションを一人で聴き、夜は観光地を訪れたり一人でご飯を食べたりするという形で過ごしました。
学会を通して困ったのは防犯面や食事面についてでした。
防犯面では、一人旅ということもあり、常に注意を払いました。例えば、カフェや飲食店では荷物を常に視界に入れるようにしたり、夜遅くの外出を控えたりしました。また、万が一財布をすられた場合に備え、現金を分散して持ち歩くなどの対策も行いました。
食事面では、一人で中華料理店に入ることが多かったのですが、中華料理は大人数でシェアするスタイルが一般的なため、基本的に大皿料理しかありませんでした。せっかく台湾に来たのだからと、いろいろな料理を試してみたかったのですが、結果として毎回食べきれないほどの量を注文してしまい、油っこい食事で胃もたれする日々が続きました。
発表に関しても、指導教員がいなかったため、心細さを感じる場面がありました。発表内容をギリギリまで修正しながらも、最終確認を誰かに相談できず、不安を抱えたまま臨むことになりました。そのため、精神的な負担は少なからずありました。
しかし、この経験を通じて、ぼっちでも積極的に行動すれば多くの学びや出会いがあることを実感し、今後の学会参加や一人旅などに対しても自信が持てるようになったと感じています。
台北は5回目くらいなので自分が行ったら絶対行くご飯屋さんをリストアップしておきます。
おすすめのお店
・鼎泰豊(チェーンで複数あるので調べてください)
・Shin Yeh Taiwanese Cuisine Nanxi Restaurant 欣葉台菜 南西店
もちろん台湾の料理が好きなのはそうなのですが、特に好きなのは台湾のお茶です。
台湾のウーロン茶の芳醇な香りが大好きなので、台湾に行くと必ずお茶を買います。
ただ、百貨店やお土産屋さんで売っているお茶は少し値段が高めに設定されていることが多いので、私はお茶の問屋をしているお店まで足を運んで購入しています。卸のお店では種類も豊富で、手頃な価格で質の良いお茶を手に入れることができます。
問屋に行くのはお得ではあるのですが、ちょっと上級者向けなので、初めて買う人は綺麗めなお茶屋さんに入って試飲させてもらってから自分の好きなお茶の種類を理解したり、お茶の淹れ方を学んでから行くといいかなと思います。
台湾のお茶には多くの種類があって、それぞれに独特の香りや味わいがあるので、ぜひ飲み比べて、その違いを楽しんでほしいです。
おすすめのお茶の店
・嶢陽茶行(チェーンで複数あるので調べてください)(普通のお茶屋さん)
・廣方圓茗茶(普通のお茶屋さん)
・林華泰茶行(問屋)
今回の学会では、当日のスケジュールが非常に遅れて届いたため、正しく登録されているかどうか心配でドキドキしていました。結局、スケジュールが届いたのは開催日の2日前。自分の名前を確認して、ようやくホッと安心した思い出があります。
なぜスケジュール確定が遅れたのか運営側に尋ねたところ、台湾と中国の国際情勢が影響していたとのことでした。今回の学会は国際会議で、多くの中国人研究者が参加する予定でした。しかし、国際情勢の影響で中国から台湾への入国が不透明な状態が続き、場合によっては一部のセッションが成り立たなくなる懸念があったそうです。そのため、運営側はギリギリまで情勢を注視してスケジュールを確定させる必要があったとのことです。
実際、私が参加したセッションでは、中国人の学生がビザを取得できなかったため、オンラインで発表を行っていました。このような状況を目の当たりにし、開催地によっては学問の自由や発表の機会が制約されることがあるのだと強く実感しました。
国際情勢が学問の場に与える影響について深く考えさせられる出来事でした。