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九大の建築学科(Ⅴ群)ってどんなとこ?: 5.就活はどんな感じ?

九大の建築学科がどんなところなのか、6年間通ってみて知ったことや感じたことを学生目線で解説します!建築学科の1,2年生や高校生、建築に興味のある他学部の皆さんに見てもらいたいガイドです。

就活について

いよいよここからは就活についてです。

就活は年々早まってきており、学部卒であれば3年の夏のはじめ大学院卒であれば修士1年の夏のはじめ(早い人であれば春)から動き始めることになります!

私自身が、大学院に進学予定だったため、学部での就活を経験しておらず、大学院での就活がメインとなってしまうことを、ご了承ください。

 

学部卒の人の場合

4年生で卒業予定の人に関しては、3年生で就活を行うことになりますが、周りで就活していた人の話を聞くとかなり大変だという印象を持ちました。その理由として、周りで就活している人が少なく情報を得づらい(先輩や同級生から)、シンプルに授業が忙しい(座学、演習どちらも)

といったことが挙げられます。

そのため、学部で就職する人は少数で、私の身近な人で学部で卒業した人は

・建築と関係ない業界に行く人(銀行、建設以外の公務員等)

・インテリア、施工管理等、大学院ほどの専門的な知識は必要とせず、2年間で経験を積みたい人

・もう勉強したくないという人

がいました。

よく聞く言葉かもしれませんが、就活は情報戦だということは事実だと私は思っているので、もし学部で就職したいけどまわりに頼れる人がいないという方は、大学・学生有志の就活団体を活用してみてください!

 

大学院卒の人の場合

大学院修士2年生で卒業する予定の人に関しては、修士1年生の夏(大学院に入ってすぐ)に就活が始まることになります。私が就活をして感じた大学院で就活するメリットを挙げたいと思います。

 

・就活の幅が広がる

→建築業界の場合は、大学院生がほぼ全てを占めている職種というものもあり、大学院に行くことで建築業界のほぼすべての職種につけるようになると思います。大学院にいく=建築業界で働く、と思われる人もいるかもしれませんが、身の回りにも建築と全く関係ない業界に行く人が多くいて、選択肢が狭まるということは全くないと感じました。

 

・先輩、OBOGの話を聞きやすい

→研究室に所属していることで、自ずと先輩やOBOGから話を聞いたり、アドバイス、ES添削、面接練習を受けることができます!建築業界以外でも、先輩経由でその業界に就職予定の先輩とつないでもらうこともできるので、これは大きなメリットだと思います!

 

・時間的・精神的余裕ができる

→授業が多く、周りに就活している人が少ないという学部での就活と違い、大学院は就活する人が周りに多く、授業の数も少ないので余裕はあると思います。就活のイベントは平日にあるものも多いので、時間に融通が利くのは大学院生のメリットだと思います。

建築からはどのようなところに就職する?

ここでは九大の建築学科(人間環境学府)を卒業した人が、どのような業界に進んでいくのか、建築業界をメインで説明しています!

私は建築業界をメインで就活をしたので他業界については簡単な説明になっています。

 

まずは建築業界の職種についてです。

建設業界と呼ばれることも多いですが、建設には土木も含むため、今回は建築業界で統一して説明していきます。建築業界は、就職者の内、建築学科を卒業した人の割合が非常に高い業界で、卒業後建築の専門家として働くことになります。

一言で建築業界と言っても職種は様々あり、まずは一般的な職種について説明します。以下に挙げる職種以外にも、様々な職種がありますが、ここでは九大の建築から卒業する人の主な職種を挙げています。

 

・設計

建築業界の中でも、一番建築っぽいといえば、やはり設計ではないでしょうか!ただし、設計者も建物の何を設計するかで分かれており、それぞれの設計者が協力して一つの建物のを設計していきます。

意匠設計者建物の内観や外観を設計します。意匠は人間で言うと見た目(皮膚)に例えられ、建物の外観が決まります。研究室の中でも意匠系の研究室の人が行く場合が多いです!

設備設計者→建物の電気設備、空調設備、衛生設備等の設計を行います。設備は人間で言うと血液・臓器に例えられ、建物の機能が決まります。研究室の中でも環境系の学生が行くことが多いです。

構造設計者→建物の柱、梁、屋根などの構造に関わる設計を行います。構造は人間で言うと骨や筋肉に例えられ、建物の災害等に対する強さが決まります。

 

・施工管理

建物を設計したら、次は実際に現場で建設を行います。現場では、様々な専門技能を持つ技術者(分かりやすい例で言えば鳶職など)が大勢集まります。施工管理は、その大勢の技術者たちを現場でまとめ上げて、安全・品質・納期・予算・環境を守りながら現場監督として建物を作り上げていきます。施工管理には、建物本体を管理する建築施工管理と、設備を管理する設備施工管理があります。

 

次に建築業界に含まれる業態について説明します。業態に関しても複数の業態で経営している企業も多いので、おおよその分類であることを念頭に置いて読んでください。

・ゼネコン

あまり聞き馴染みのない言葉かもしれませんが、general contractor(ゼネラル・コントラクター)の略で日本語では総合建設業者と呼ばれます。contractor(コントラクター)=請負者という意味で、日本語の建設業者=constructor(コンストラクター)であるため、日本語と英語を混同しやすく、ゼネコン=general constructor(ゼネラル・コンストラクター)と勘違いされることが多いので気を付けてください。

ゼネコンの仕事を一言でいうと、お客さんに直接依頼された大規模建築物を設計から建設まですべて一貫して行う会社です!

扱う建築物は皆さんに馴染みのあるシンボル的な建物が多く、もちろん九大伊都キャンパスの建設もゼネコンによるものです。国家プロジェクト級の建築・土木もゼネコンが関わっていないものはないと言って良いです。主な職種としては、設計者と施工管理があります。

・アトリエ系設計事務所

アトリエ系設計事務所は建物の設計をメインで行う会社です。設計の中でも意匠(デザイン)を主に扱っており、設計した建築物の実際の建設はゼネコンがするというパターンも多いです。また、設計する建築物も、住宅等の小規模なものから、オフィス等の大規模なものまで多岐に渡ります。アトリエ系設計事務所の特徴は、設計事務所の中でも少数精鋭で、有名な建築家の人が自分の事務所として経営している場合が多いです。得意とする建物の種類も規模も知名度もバラバラで、少数精鋭だからこそできる建築を行っているといった印象です。序盤に書いたビフォーアフターの匠もこのアトリエ系設計事務所に属している場合が多いです!

・組織設計事務所

組織設計事務所も建物の設計をメインで行う会社です。こちらも設計のみを行っていますが、意匠だけでなく、建物の構造や設備についても設計をしていることが多いです。「組織」と頭につくのは、設計事務所の中でも全国規模で会社としての規模が大きく、社員数も多いためです。アトリエ系よりも抱えている案件の数が多く、大規模建築物を設計するため、様々な種類の経験を積むことができます。

・ディスプレイ

建物の設計を行う点では設計事務所と同じですが、ディスプレイ業界は主に建物の内装を設計の対象としています。常設のホテル、飲食店の内装設計の他、東京〇〇ショー等のイベントスペースのデザインも行います。ディスプレイは空間をつくる業種というイメージです。

・ハウスメーカー

一般消費者に向けて住宅を販売している会社です。消費者との距離が近く、宣伝も積極的に行っているので、皆さんも記憶に残るCMソングがあるのではないでしょうか。ハウスメーカーの職種としては営業、設計者、施工管理があり、お客さんとより近い距離で家づくりができる楽しさがあると思います。

・インフラ

インフラ業界は幅が広く、鉄道、バス、電力、ガス等が主に挙げられ、公共性の高い社会基盤を維持・発展する仕事を行います。これらの会社には建築職が設けられている場合が多く、建築出身者は主に、会社の所有する建物の設計・管理等を行います。

・ディベロッパー

所有する土地に建物を建て、街づくりを行う会社です。有名なショッピングモールやアウトレットとかはこのディベロッパーが運営していることが多いです!職種としては、営業等の文系職と建物の設計があります。

 

次に建築業界以外の他業界で、建築学科から就職する人が多い(自分の周りで多かった)業種を紹介します。

こちらはかなりふわっとした説明なので、興味のある分野があれば調べてみてください。

・インテリア

建物の家具等を扱う業種です。みなさんの街にある有名な家具屋もこの業種に属します。インテリアの販売、設計などを行います。

・コンサル

学年で毎年数名はこの業界に行く人がいます。一言で言えば、コンサルは顧客の経営課題等を調査・解決する仕事と言えますが、どのような問題を扱うかは非常に多岐にわたります。

・シンクタンク

シンクタンクには毎年1,2人が行っているイメージです。ある事柄の調査を仕事とする業界ですが、研究としての側面が大きいです。

公務員(地方・国家)

こちらも学年に数人いるイメージです。地方自治体や国の建設系の職種として働いている人が多いです。