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どうやって検査されてるの?: 生化学検査

日頃めったに覗くことのできない病院の検査室で「どうやって検査されているか?」を少しだけご紹介したいと思います☆

生化学検査

少々旧式ですが,これが病院での生化学検査に使われている機械です.

この分析器に,試薬と呼ばれる薬品をセットして使います.

 

試薬とは

血清(血液の成分)と反応させる薬品のこと.

現在使われている試薬の多くが酵素を使った反応を使用しています.

酵素の,①基質特異性 ②比較的穏やかな条件で反応が進む といった性質を利用して試薬は作られています.

ここに尿酸測定試薬の一例を示します.

黄色で印を付けたのが酵素の名前です.

ウリカーゼは尿酸と特異的に反応する酵素,ペルオキシダーゼは過酸化水素と反応する酵素です.

初めは無色だった溶液が,反応が進む事によって次第に青色になります.

色の変わる割合は測定する物質(この場合は尿酸)の濃度に比例します.

 

測定の原理

測定はランベルト・ベール (Lambert-Beer) の法則に従います.

少々難しく感じるかもしれませんが,溶液の色が濃い(=目的成分の濃度が大きい)ほど,通り抜ける光(=透過光)は少なくなる事はイメージできると思います.

吸光度= 光を吸収する度合い ですから,透過光が少ない= 吸光度が高い ことは分かりますね!

吸光度を測定する事のできる装置の事を分光光度計と言います.

実は,自動分析装置は大きな分光光度計になっています。.

つまり,血清と試薬を反応させて生じた吸光度の変化を測定する事で生体の成分の濃度を測定しているのです.

以下に詳しい反応の様子と,得られるデータを示します.

濃度既知の標準液の反応と,測定したい検体の吸光度変化量を比較することによってある物質の濃度を知ることができます.

例えば以下のような反応が得られたとします.

標準液の尿酸の濃度が4.2 mg/dLであるとき,九大太郎さんの吸光度変化量はその2倍になっているので8.4 mg/dLであることが分かります.

 


非常にざっくりとでしたが,基本的にはこのようにして生化学検査は行われています.

今回紹介した尿酸は上のグラフのような山形となりますが,項目によっては直線となるものもあります.

検査専攻の学生さんはそれぞれの反応の特性についてもきちんと勉強してくださいね☆

ふ〜ん、こんな風に検査しているのかぁ・・・

生化学検査の見学が終わった太郎さんは次に血液検査が行われている所に向かいました.