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土木が分かる世界遺産の旅: 土の土木~古墳~

みなさんはどのくらい世界遺産を知っていますか?このページでは,あまりメジャーではないけどすごい技術が隠された世界遺産を紹介したいと思います!

参考図書

今宿の古墳

さて,今宿にある大塚古墳に遊びに行ってきました!大塚古墳は6世紀ごろに造られ,当時は周りに濠を築いてたみたいです。身近に歴史を感じられるのは,歴史の街福岡ならではですね。

建設当時の様子やどんなものが発掘されたかなどは,さいとぴあ図書館内の資料で知ることができます。気になったら是非調べてみてください。

世界遺産の日本代表!百舌鳥・古市古墳群(4世紀前半~6世紀後半)

次は日本の古墳を見学しましょう!

(注:世界遺産には「百舌鳥・古市古墳群」として登録されていますが,今回は全国の古墳全般の構造の説明をしたいと思います。)

(引用:堺市ホームページ https://www.city.sakai.lg.jp/smph/kanko/hakubutsukan/collection/mozukofungun/kofun.html 2022/1/23閲覧)

古代の土木では,特に「権力者のお墓」は重要で,その力を知らしめる指標のようなものでした(ピラミッドや始皇帝陵からも見て取れます)。

世界的に見ても古墳の規模は大きいですが,この規模の墓が災害の多い日本で1000年以上も形を保っているのは凄いことです。

ただ土を固めて積み上げただけじゃないの?」そんなことはありません!

その凄さの秘密を見てみましょう。

①土塊・土嚢積み技術

土と言えど,ただ湿らせてペタペタ固めてるだけでは,丈夫なものは造れません。

古墳の規模だと,上に土が盛られていくにつれ,下部への圧力(単位面積あたりに作用する力)がとても大きくなります。

(組体操のピラミッドをイメージすると分かりやすいですね)

そこで登場するのが土塊・土嚢(どのう)積み技術です。

土塊は土の塊で,草の根が張った状態のものを取り出しました。土嚢は,川でよく見る袋です。

当時はビニールはないので,草などで土嚢を作って土を詰めていました。

だいたい土嚢・土塊一つで25kgくらいの重さだったみたいです。

これらを積み重ねることで,ただ土を盛るより格段に丈夫になります。

その仕組みは,押しつぶされる土に対し,土嚢や草の根の張力がはたらき,崩壊を防ぐというものです。

上からの圧力により,土の粒子が外向きに逃げようとします。

しかし,土嚢や草の根に張力がはたらくことで土の動きが拘束され,崩壊を防ぐことができます。

土塊・土嚢(どのう)積み技術が広まったことで,古墳の巨大化に繋がったと考えられています。

 

②敷粗朶(しきそだ)・敷葉工法

続いては敷粗朶・敷葉工法です。敷粗朶は木の枝を敷き詰める,敷葉は枝葉や草を敷き詰めるという意味です。

土塊・土嚢積み技術で上からの圧力問題は解決されましたが,もう少し課題があります。

例えば,地震や台風で横向きの力がはたらいた時や,表面の風化でのり面が崩れたりひび割れたりする時です。

そこでうってつけなのが,あらゆる材料の中でも繊維方向の強度が特に強い木材や枝葉です。

また,植物が持つ表面のザラザラや凹凸は,しっかり土の粒子を掴むフックの役割を果たします。

土の中に枝や葉を入れることで,つなぎの役割を果たし,土のずれやひびを抑制してくれます。

    

この技術は,短繊維補強という形で,現代でも地盤やコンクリートに応用されています。

短繊維を地盤やコンクリートに混入させることで,より粘り強く強固なものとなり,私たちの安心安全な生活を支えています。

再生PET短繊維「リプロファイバー・バベル」 引用:東亜建設工業 https://www.toa-const.co.jp/company/release/2004/040224.html

先人の知恵が時を超え形を変えて私たちを守ってくれています。