町で見かける現代の橋は,アーチ橋ばかりではありません。「アーチ状じゃないのになんでポキっと壊れないの?」
①鉄橋
鉄は圧縮の力にも引っ張られる力にも強いです。
②鉄筋コンクリート橋
上側では圧縮に強いコンクリート,下側では引張に強い鉄筋が踏ん張っています。
次は古代のロマン,ローマ帝国時代の世界遺産を見てみましょう!
(引用:ポン・デュ・ガール公式 http://pontdugard.com/jp/pondeyugaru/zhuo-yue-sitaqiao-noli-shi 2022/1/19閲覧)
こちらの写真は,ローマ帝国が残した遺産,ガール橋ことポン・デュ・ガールです。
いやぁ,美しいですね。石造りのアーチが西洋の文明を感じさせます。
ところで,なんでアーチの形状なのでしょうか。
美しさに秘められたアーチのしくみを探ってみましょう!
①ローマ時代以前の橋
文明の中で橋というものは必然的に生まれます。
遥か昔から橋は存在していましたが,ローマ時代以前の橋は木や石,土などをそのままの形で組み立てるにとどまっていました。
構造上,橋には曲げの力が加わりますので,下縁側が引っ張られ,上縁側が圧縮されます。
特に石や土は引っ張られる力には弱いので,橋の下側はパキっと割れてしまい,機能を失ってしまいます。
そのため,橋を支える柱の間は短くする必要があり,大規模な橋は作れませんでした。
②アーチ橋の秘密
さて,時代はローマ帝国の全盛期に移ります。
ローマでは,道や水道などのインフラを充実させる政策をとっており,
遠いところから水道を引くため,山や谷を越えて橋を架ける必要がありました。
そこでアーチ橋が使われるのですが,この工法は,課題である「曲げの力」を無力化できるんです。
アーチ部分は,石を図のように並べます。石と石が接している面には,垂直抗力と摩擦力がはたらきます(重力は省略しています)。
石と石の間の摩擦力はかなり小さいとすると,一つの石では主に垂直抗力同士が押し合っている状態です。
つまり,上から力が加わっても,それぞれの石は潰される(圧縮)力しか作用しません。
石は圧縮に対する力は強いので,非常に強固な橋となります。
大規模な架橋を実現し,当時の都市機能を支えたガール橋は,知恵と芸術の最高傑作と言えるでしょう。