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土木が分かる世界遺産の旅: 街の土木~パリ~

みなさんはどのくらい世界遺産を知っていますか?このページでは,あまりメジャーではないけどすごい技術が隠された世界遺産を紹介したいと思います!

参考図書

世界が注目する福岡の都市計画

世界の都市のモデル パリのセーヌ河岸(西暦1853~1870年)

最後はパリの都市計画です!(気づいたらほとんどフランスの旅になっていたのはご容赦ください)

2024年のオリンピック開催都市として注目を浴び,完成された都市景観で有名ですが,果たしてどのようにして作られたのでしょうか?

(引用:フランス観光開発機構 https://jp.france.fr/ja/paris/article/jo-paris-bienvenue-2024 2022/3/16閲覧)

①背景

19世紀半ばのパリは,今の洗練された街並みとはかけ離れたものでした。

そこら中に汚物やごみが転がり,疫病が蔓延するような,陰鬱で不衛生な街でした。

そこで,大統領のナポレオン3世とセーヌ県知事オスマンは,パリ大改造といわれる都市計画事業を敢行しました。

②事業内容

道路

オスマンの道路改革のキーワードは「直線化」「複雑化」「ショートカット」です。

まず,パリを縦横断できるよう,ど真ん中に大通りを建設します。

その際オスマンは,既存の区画や建物をほぼすべてぶっ壊して新しく区画整理するという大胆な政策をとりました。

(黒線が幹線道路,「パリ大改造」から引用・加筆)

これでパリのどの地点からでも,おおよその方角には縦横無尽に行けるようになりましたね。

さらに,大通りから派生するように碁盤目状の道路や,エトワール広場やバスティーユ広場からは放射状の道路を建設します。

道路網を複雑化することで,主要機関の間の道が短くなり,利便性が向上します。

直線的な道路で人や車も通りやすく,円滑な交通ができます。

(1873年のパリ,「図説 都市の世界史4」から引用・加筆)

そして,ショートカットですが,これは主要地点をダイレクトに結ぶ道路です。

上の図でも,確かに碁盤目に対して斜めに交差するような道が多いですね。

分かりやすい例でいくと,オペラ座ルーブル美術館を結ぶ道なんかはそうです。

ルーブル美術館からオペラ座に行くには,本来大通りを通っていかなければなりませんが,

ショートカット道路のおかげで,直接行くことができます。

このような改革のもと道路の機能性を向上させることで, 街の価値を上げていきました。

公園

緑地帯や大通り沿いの並木を設けることで,街に新鮮な空気と太陽を送り込み,伝染病を抑制しました。

特に大通りを挟むように公園を造り,それぞれの公園を人体の「肺」とみなすことで,大通りに新鮮な空気が流れ込むような都市構造を実現しました。

(1873年のパリ,「図説 都市の世界史4」から引用・加筆)

また,競馬場や狩猟場は施設周辺の地価上昇をもたらし,政府の財政も安定しました。

公共事業

公共事業で一番の課題は「下水」でした。市民の衛生・健康を左右するのはやはり水環境です。

改造前の下水は,都市部内のセーヌ川に垂れ流されていましたが,改造後は,下水集合管に集められたのち,郊外のセーヌ川下流に流されました。

     

(左:大改造前,右:大改造後  黒線が下水道網,赤線が道網の概略線,青線がセーヌ川,「パリ大改造」を引用・加筆)

 

生まれ変わったパリは,大改造から200年経った今でも,都市の教科書として魅力ある空間を提供しています。