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土木が分かる世界遺産の旅: 水の土木~都江堰~

みなさんはどのくらい世界遺産を知っていますか?このページでは,あまりメジャーではないけどすごい技術が隠された世界遺産を紹介したいと思います!

参考図書

福岡も負けてない!山田堰

なんと,都江堰に似た施設が福岡にもあるんです。それが「山田堰」。日本三大暴れ川にも数えられる筑後川から,今も人々を守り続けています。

(写真:朝倉市HP  2021/1/19閲覧)

超万能水利施設!都江堰(紀元前256~251年)

(写真:広島県と四川省友好の窓 https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/hiro-shisen1-top/hiroi-shisen33-13.html 2022/1/19閲覧)

上の写真は都江堰の様子です。ぱっと見はどこにでもありそうな川ですね。

そんな都江堰の凄さは,機械も電力もない時代に,自然の力だけで治水・利水ができるという点です。

都江堰の概略図はこんな感じです。

すごくざっくりと構造を説明すると,上から流れる川が岷江,そして川を二分する部分が「魚嘴(ぎょし)」です。カーブの内側の川は岷江の本流に繋がます。もう一つはというと,「宝瓶口(ほうへいこう)」によってさらに大きく二つに分けられ,一つは本流に戻る流れです。この流れと本流には「飛沙堰(ひさえん)」という竹かごの壁があり,水位が低い時は本流に水が流れるのを防いでいます。もう一つは都市に繋げることで灌漑に利用されます。

さて,従来のこの地域では,水害に悩まされ続けていました。

雨季では洪水が多発し,逆に乾季では雨も降らず水不足になります。

都江堰の構造は,これらの問題を一気に解決してくれます。

では,雨季と乾季でどんな風に働くのか見てみましょう!

乾季(流量が少ない時)

この都江堰はカーブ軌道の上に作られています。

基本的には,外向きの遠心力がはたらくため,カーブ上の川の流れは外側のほうが早いです。

ここで,流れる水の量は,水の流れの速さに比例するという法則があります。

つまり,都市に繋がる外側の流れにより多くの水が流れるため,効率良く都市に水を供給できます。

これで乾季の水不足問題は解決です。

雨季(流量が多い時)

次は,洪水などに悩まされる雨季の対策です。

ここでのキーマンは飛沙堰宝瓶口です。

宝瓶口は,川を本流と都に分ける役割の他に,流れの勢いを殺す役割を担ってます。

激流が外側の水路にやってくると,まず宝瓶口にぶち当たり,流れの勢いが弱まります。

本来であれば,行き場を失った川は溢れ出し,洪水を引き起こしてしまうところですが,すぐとなりに本流へつながる水路があるので,飛沙堰を飛び越えて本流へと流れでます。

     

   (右:飛沙堰の断面図)

さらにすごいところは,宝瓶口で詰まった大量の土砂も一緒に流していってくれます。水質は都市を維持する上で非常に重要なことですが,水質管理に関しても,当時の水準ではかなり高かったともいわれています。

こんな感じで,水量調節,水質管理をほとんど全部自然の力でできる構造になっています。

これが秦の始皇帝より前の時代なんだから,さすが中国4000年の歴史。。圧巻の技術力です。