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エネルギー問題を読み解く:水素とアンモニア: 地球温暖化

最近、注目を集めている「脱炭素」、「水素」、「アンモニア」について、実際よくわからない、なぜ注目されているの?といった方に向けて、簡単に紹介していきたいと思います。

地球温暖化とは?

地球温暖化とは、
過剰に放出された温室効果ガスが熱を吸収し、大気を暖め気温が上昇している現象のことを言います。
ここで温室効果ガスといえば、二酸化炭素(CO
2)が有名ですが、そのほかにもメタンや亜酸化窒素(一酸化二窒素)などもあります。

少し詳しく説明すると(図2)、地球には太陽からの太陽光によって熱が送られます。
すると太陽光によって地表は暖められ、地表からまた宇宙空間に熱放射として熱を出します。
この時、二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスは熱を吸収し、地球に留めます。
この吸収と熱放射のバランスで大気温が変わります。


図2 地球温暖化のメカニズム

出典:気象庁HP、https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/chishiki_ondanka/p03.html

地球の平均気温は約14℃ですが、温室効果ガスが全くなければ―19℃といわれています。そのため人間が地球上で生きるために温室効果ガスはある程度は存在しているべきものです。しかし、近年の産業発展に伴う化石燃料の消費などで温室効果ガスが過剰に出され、これらが吸収して留める熱が多くなってしまったことで問題が起きています。

次に温室効果ガスについて詳しく説明します。

温室効果ガス

前に書いた通り、温室効果ガスは有名な二酸化炭素だけでなく、メタンや亜酸化窒素なども大きな影響を持っています。加えて、地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential:二酸化炭素を基準にして、ほかの温室効果ガスがどれだけ温暖化する能力があるか表した数字)を見ると、メタンは25、亜酸化窒素は約300と二酸化炭素の何倍もの温室効果を持っています。しかし温室効果ガス別の地球温暖化への影響の割合は二酸化炭素が約76%、メタンは約14%、亜酸化窒素は約8%となっており、それだけ二酸化炭素の排出量が群を抜いて多いということが分かります。温室効果への影響の大きさで見てみると二酸化炭素は約3割、その他は約1割で、一番大きなものは水蒸気の 約6割です。水蒸気は人間によって直接的にコントロールすることは難しく、気温が上がれば上がるほど大気中の水蒸気の量は増えていきます。
つまり二酸化炭素が増えて、気温が上がれば、水蒸気も増え、更に気温が上がるといったサイクルができてしまいます。
こうしてみてみると、それだけ二酸化炭素を削減することの効果は大きいことがわかります。

次に二酸化炭素以外の温室効果ガスについて説明します。

メタン(CH4の排出はあらゆるものから起こります。

有名なものでは牛のゲップに含まれるというところから、脱牛肉運動をしている人も増えています。フランスなどヨーロッパやアメリカで活発な印象ですが、日本でも大豆を使った代替肉が広まってきています。

農業やエネルギー利用、製造によって多く排出されています。

そのほか、生物の死骸からも排出されます。時々、陸に打ち上げられたクジラが膨らむ、爆発するといったニュースがありますが、これはメタンガスが体内で発生しているためです。

 

世界のメタン放出量は過去20年間に10%近く増加 主要発生源 は、農業及び廃棄物管理、化石燃料の生産と消費に関する部門の人間活動|2020年度|国立環境研究所
図3 メタンの排出と吸収

出典:国立研究開発法人 国立環境研究所、「世界のメタン放出量は過去20年間に10%近く増加主要発生源は、農業及び廃棄物管理、化石燃料の生産と消費に関する部門の人間活動」、https://www.nies.go.jp/whatsnew/20200806/20200806.html

一方でメタンは燃料として使えることから、エネルギーとしてうまく利用する技術も開発されています。福岡市などでは微生物を使って下水処理をしており、その微生物の死骸等が集まった汚泥から出るメタンガスを集めて、発電や水素を作ったりもしています!!
[参考]
福岡市水素リーダー都市プロジェクト
国土交通省、「下水道における水素製造・利用の取組」

昨今、硫黄分を(ほとんど)含まず二酸化炭素排出量当たりのエネルギーが大きいことからも注目されているLNG(Liquefied Natural Gas: 液化天然ガス)ですが、LNGは主成分がメタンで、燃焼するときにうまく燃えなかったメタンがそのまま排気ガスとして出てきてしまうことも技術的な課題とされています(メタンスリップ)。

最近では、大気中から二酸化炭素を取り出して、水素と化学反応させて人工的にメタンを作って、燃料として使用するメタネーションという技術を使ったカーボンリサイクルメタンもカーボンニュートラルを実現する燃料の一つとして、注目されています。
CO
2 + 2H2 → CH4(メタン) + O2 →(燃料として使えば)CO2 + 2H2O

 

亜酸化窒素(N2O)は別名「一酸化二窒素」、「笑気ガス」とも呼ばれ医療用の吸入麻酔薬としても使われています。発生源は様々ですが、人間の活動によるものでは農業、エネルギーが原因です。化石燃料の燃焼、硝酸の製造時や窒素肥料の使用などにより、亜酸化窒素は排出されます。

 

世界の一酸化二窒素(N2O)収支 2020年版を公開|2020年度|国立環境研究所
図4 亜酸化窒素の排出源

出典:国立研究開発法人 国立環境研究所、「世界の一酸化二窒素(N2O)収支 2020年版を公開」:https://www.nies.go.jp/whatsnew/20201005/20201005.html

亜酸化窒素や窒素酸化物(NOx)は燃料に含まれる窒素(N)が燃焼時に空気中の酸素(O)と結合して、排出されます(fuel NOx) しかし、燃料に窒素が含まれていなくても燃焼の際に発生します。一般的なエンジン(ディーゼルエンジンなど)では空気を取り込み燃料と混ぜて燃焼させますが、空気にはもちろん窒素が含まれていますので、燃焼時に高温で酸素と反応してNOxが発生します(thermal NOx)
またN2OとNOやNO2の発生割合は、高温で燃焼するほど亜酸化窒素(N2O)が少なくなるといわれています。

[参考]
環境省「STOP THE 温暖化 2008」、https://www.ldoceonline.com/jp/
経済産業省 資源エネルギー庁HP、https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/
すぐに生かせる環境情報、https://sugu-kan.com/world_source_of_methane

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それでは、このガイドの本題である水素についてお話しします!

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