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エネルギー問題を読み解く:水素とアンモニア: 未来のエネルギー「水素」

最近、注目を集めている「脱炭素」、「水素」、「アンモニア」について、実際よくわからない、なぜ注目されているの?といった方に向けて、簡単に紹介していきたいと思います。

水素はなぜ注目されているの?

化石燃料は炭素や硫黄、窒素などを含み、燃焼すると二酸化炭素(CO2亜酸化窒素(N2O)といった温室効果ガス、二酸化硫黄(SO2)などの硫黄酸化物(SOx(ソックス)といいます)や二酸化窒素(NO2)などの窒素酸化物(NOx(ノックス)といいます)といった大気汚染物質を発生させます。

ちなみに(可燃性)天然ガス(よくニュースで目にするLNG(液化天然ガス):​​​Liquefied Natural Gas)は主成分がメタン(CH4)で基本的には硫黄分を含まないため、石油や石炭といった他の化石燃料と比べるとクリーンなエネルギーです。

しかし天然ガスもやはり炭化水素(C:炭素とH:水素が結合したもの)なので、燃やすとCO2を生成してしまいます。

そこで燃やしてもこれらの温室効果ガスを発生させない水素が注目されました!

ここ最近で一気に知れ渡った水素ですが、実はかなり前からすでに燃料として使われています。

H-IIAロケットなどの液体燃料を使用するロケットではエンジンの燃料として液体水素、酸化剤(燃焼を補助する役割)として液体酸素を使っています!(LE-5Bエンジン、LE-7Aエンジンなど)

図5 LE-5Bエンジン

出典:三菱重工、LE-5B(H-IIA/H-IIBロケット用第2段エンジン)、https://www.mhi.com/jp/products/space/second_stage_engine_le-5a_le-5b.html

ニュースなどでよく聞くのは燃料電池ですが、燃料としての使用方法として水素をガソリンの代わりに使う水素エンジンもあります。

水素には色がある?

水素は何色でしょうか...

はい、その通り。

 

 

無色透明です。

しかし、最近ニュースや新聞ではグレー水素ブルー水素グリーン水素など色を付けた名前で呼ばれています。一体、これはどういうことでしょうか。

 

実はこれは水素の製造方法によって、分けて呼ぶために色付けして呼ばれています。水素には主に3つの製造方法があります。

図6  製造法による水素の色分け

出典:経済産業省 資源エネルギー庁HP、https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/suiso_tukurikata.html

このように製造方法によって〇〇水素と呼ばれています。(ターコイズ水素などもっと細かく分類されることもあります。)水素は燃やしても温室効果ガスが発生しないクリーンなエネルギーですが、製造方法によっては製造時に温室効果ガスを出してしまうのです。

グレー水素は石油やLNGなどの化石資源を使って作られます。水蒸気改質と呼ばれる方法で、メタン(CH4)と水蒸気(H2O)を反応させて、水素(H2)と二酸化炭素(CO2)を作ります。この二酸化炭素は大気中に排出されます。

ブルー水素グレー水素と同じ作り方ですが、その時に出た二酸化炭素をCCS、CCUSによって大気中に排出せずに作られた水素です。(「コラム:CCSとCCUS」をご覧ください。)

グリーン水素は再生可能エネルギー(風力、太陽光など)によって作った電気で水を電気分解して、作られた水素です。
このため、グリーン水素が一番理想的な水素製造方法と考えられています。
水素が本当の意味でクリーンエネルギーになるためには、ブルー水素やグリーン水素を作る必要があります。

CCSとCCUS

「CCS」と「CCUS」、この言葉を聞いたことがありますか?

CCSはCarbon Capture Strage

CCUSはCarbon Capture Utilization and Strageの略称です。

簡単に言うと、これらは石油から水素を作るときや火力発電所などで発生するCO2を取り出して、地下に貯蔵したり、何か別のことに活用してしまおう!!という手法です。

CCSは水蒸気改質で出てきた二酸化炭素を地中深くに流し込んで貯留させます。
一方でCCUSは古い油田などに流し込み、圧力で油田に残っている石油を押し出してしまい、流し込んだ二酸化炭素はそのまま貯留させるものです。他にもCO
2を原料として使って別のものを作るといったものなど、他の活用方法も考えられています。

[参考]

経済産業省 資源エネルギー庁、知っておきたいエネルギーの基礎用語 ~CO2を集めて埋めて役立てる「CCUS」: https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/
johoteikyo/ccus.html

水素をどう使うか

このようにどう水素を作るのかによって必ずしも環境にやさしいものとは言えなくなってしまいます。将来的には、ほとんどがグリーン水素になればよいですが、課題もまだまだ多くあります。

次に水素の使い方について説明していきます。水素というと燃料電池というイメージが強いですが、実は水素もガソリンのように燃やして使うこともできます!それぞれの使い方について、詳しく見ていきましょう。

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