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★知ってる?HPVワクチンのこと~子宮頸がんとHPVワクチン~: HPVワクチンとは?

HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)と子宮頸がんについてのお話です。

HPVワクチン

HPVワクチンは、現在2価4価9価の3種類があります(2024年6月現在)。
「価」はワクチンに含まれる予防可能なHPV型の種類を意味します。2価ワクチンでは2種類、4価ワクチンでは4種類、9価ワクチンでは9種類のHPV型を予防することができます。


2価ワクチン(サーバリックス)では、HPV16型と18型を予防することができます。子宮頸がんの約65%(他の型にも同時に感染している混合感染を含めると約67%)がこの2つの型からの感染によると言われており、HPVワクチンを打つことで子宮頸がんの約60〜70%を予防することができると言えます。

4価ワクチン(ガーダシル)では、HPV16型と18型に加えて、尖圭コンジローマの原因となる6型と11型を予防することができます。
*尖圭コンジローマ:HPV6型・11型への感染によって、外陰部や会陰、肛門周辺などに先の尖った無痛性のイボが見られる病気。主に性交渉によって感染する。

さらに、9価ワクチン(シルガード)では、4価ワクチンで予防できる4つの型に加えて、31型、33型、45型、52型、58型の感染も防ぐため、子宮頸がんの原因の80~90%を防ぐことができると言われています。9価ワクチンは、少し前まで公費負担の対象外で、自費で打つには3回で約10万円とかなりの高額でした。しかし、2023年4月より公費で接種可能となり、キャッチアップ接種の対象ともなっています。

<HPVワクチンの種類と特徴> 引用:病気がみえる vol.10 産科,第4版 

商品名 サーバリックス® ガーダシル® シルガード®9
2価 4価 9価
予防可能な型 HPV 16/18 HPV 6/11/16/18 HPV 6/11/16/18/31/33/45/52/58
対象年齢 10歳以上 9歳以上 9歳以上
回数 3回 3回 2回または3回


HPV感染後では効果がないため、推奨接種年齢は、初回性交前の10~14歳とされています(公費での接種の対象年齢は、小学校6年生~高校1年生の女子となっています)。既にハイリスクHPVに感染してしまっている場合、ワクチンによって治療されることはないためです。

しかし、HPVワクチンに含まれる全ての型に感染している可能性は低いとされるため、感染していないHPV型による疾患予防のためにワクチンを接種する意義はあります。そのため、性行為の経験がある場合も、ワクチン接種を検討することは望ましいと考えられます。

男性のHPVワクチン接種

これまでの流れから、HPV=子宮頸がんというイメージを持たれた方も多いと思いますが、実は、HPVによって引き起こされるのは子宮頸がんだけではありません。

HPVは、子宮頸がん以外に、腟がん外陰がん肛門がん陰茎がん中咽頭がんなどの発生に関わっていると考えられています。その他、子宮頸がん以外にも尖圭コンジローマという性感染症の原因にもなります。
肛門がん、陰茎がん、中咽頭がんは男性も罹りうるがんです。また、尖圭コンジローマも男性が罹る可能性がある病気です。

HPVワクチン=「子宮頸がんワクチン」と呼ばれることもあり、女性だけが接種するもののように思われるかもしれません。しかし、男性もHPVワクチンを接種することができ、上述したような病気への感染を防ぐことができます。さらにパートナーへのHPV感染を防ぐこともできるため、男性がHPVワクチンを接種する意義は十分にあります。

しかしながら、現時点(2024年6月)の日本では、HPVワクチンを公費で接種できる定期接種の対象は女性に限られており、男性が接種したい場合は自費になってしまいます。日本では4価ワクチン(ガーダシル)のみが男性への接種として承認されています。病院や施設によっても異なりますが、1回あたり約1万5千円~2万円かかるため、3回接種すると、4万5千円~6万円かかる計算になります。なかなかの高額で、安易に接種を勧めにくいのが現状です……。

それでもなお、接種に行きたい!と思ってくださった方は、予防・パートナーへの感染予防のためにぜひ接種に行きましょう!

予防注射を受ける人のイラスト(女性・マスクあり) 予防注射を受ける人のイラスト(マスクあり)