Skip to Main Content

★素粒子理論に至る道: 物理学の地図

現代物理学を一眺め

現代物理学の拡がり

一口に物理学といっても,その守備範囲はかなり広いものです.教科書に出てくる滑車の運動や,ボールを落とす作業ばかりが物理学ではありません.ここで一枚の画像を見てみましょう.

Fig.1 物理学の世界地図
(固体量子(研究室公認VTuber) [@QM_phys_kyoto], 2021.01.17, 「物理学の世界地図 固体量子版」.Retrieved from https://twitter.com/qm_phys_kyoto/status/1350744798152568833?lang=ga

この「世界地図」はとあるVtuberが作成されたものです.おそらく理系の人でも聞き馴染みがあるのは真ん中の黄色いエリアに含まれる項目ぐらいではないかと思います.物理学にあまり馴染みの無い人にとっては何やら仰々しい言葉の並ぶ,カラフルなポスターにしか見えないかもしれません.慌てず落ち着いて,じっくり見てみましょう.例えば左下の灰色のエリアに目を向ければ,標準模型超弦理論ハイパー核ブラックホールなどなんともカッコ良い言葉が並んでいます(贔屓目かもしれません).反対に右上の青いエリアに注目してみましょう.スピングラスマルチフェロイクスなどといったカッコ良い言葉に紛れて,電池カーボンナノチューブといった聞き馴染みのある単語達もいます.

物理学は実に多種多様な学問です.素粒子のような極小スケールの世界から,金属や液晶のような日常のスケール,惑星や宇宙のような巨大なスケールに至るまで,ありとあらゆる場所に物理学は隠れています.物理学という字面からはとても高尚な学問の印象をうけるかもしれません.しかし,こうして地図を眺めてみると,実は物理学というのは私たちのすぐ身近にある学問であることに気づくはずです.次頁からは代表的な分野についてそれぞれ掘り下げてみましょう.

Column1:物理×YouTube

この地図はVtuberの固体量子(こたいりょうこ)さんから拝借したものです.近年のYouTubeの隆盛に伴い,物理学の方でも積極的にアウトリーチをされている方々がいらっしゃいます.ここで,個人的におすすめのチャンネルを2つご紹介します.

1. 固体量子-こたいりょうこ-
超電導に代表されるような物質の現象を扱う物性物理学をターゲットに研究紹介などを行っているチャンネルです.元々京都大学固体量子物性研究室の非公式VTuberとして活動を開始し,現在ではアバターの固体量子(こたいりょうこ)も研究室メンバーの一員となっているそう.学術系VTuberの先駆けとも言える存在です.現在は定期投稿を休止されていますが,Twitterでは積極的に学術的内容を発信されています.

2. 予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」
その名の通り,大学で習う物理学や数学をわかりやすく発信しているチャンネルです.元々,力学や微積分学などの典型的な科目を取り扱っていましたが,最近は学術対談などで最先端の研究の現場を発信するなど活動の幅を広げています.バラエティとしてみるもよし,大学での理工系科目の参考にするもよしと言った稀有なチャンネルです.Twitterはこちら