Skip to Main Content

★バイオ研究室ってどんなところ?: 研究室にはどんな部屋や設備があるの?

研究室にはどんな人がいて、どんなものがあって、何をしているのか、一般的なことを紹介します。 研究室選びの参考にもしてください!

研究室の設備

研究室には、研究を進めるための部屋や設備がいろいろあります。

 


・実験室  …

実験台(ベンチ)があります。各自のベンチやスペースが与えられ、ピペット操作など基本的にそのスペースで実験をすることになります。

実験台の脇には遠心機や、オートクレーブや、実験に必要な機器が置かれます。また実験に使う消耗品(ピペット、チューブなど)のダンポールが多数積み上げられていたりします。

バイオ研究室には、数多くの冷蔵庫フリーザーがあります。4℃、-30℃(または-20℃)、-80℃と温度が分けられ、薬品や試料にあった温度で保存します。さらに低温で保存する必要のある試料は、液体窒素タンク中で保存します。


    

       遠心機           オートクレーブ                            フリーザー          液体窒素タンク

実験室は物で溢れ、たいていごちゃごちゃとした空間になっています。

 


・細胞培養室  …

細胞をクリーンに扱うための部屋です。

無菌操作を行なうためのクリーンベンチ細胞を培養しておくCO2インキュベーター細胞観察に必要な顕微鏡などが設置してあります。

                          クリーンベンチ

 


・動物飼育室  …

マウスなどの実験動物を飼育するための飼育ケージ・ラックが置かれています。

実験動物は、病原体による感染症防止等の観点から、固有の病原体を保有していない状態SPF、Specific Pathogen Free)が求められる場合があります。SPFの動物飼育室では、気圧により空気の流れを作り、汚染空気が入らないような措置がとられています。また入室の際は、手指の消毒、作業用つなぎ・長靴などクリーンな着衣の装着、エアシャワーなどが求められます。

特にSPFの必要がない場合は、conventionalと呼ばれます。

なお、自宅でハムスターなどの齧歯類を飼育している人は、マウスの飼育室への入室が禁止されます。

 


・暗室  …

暗所での作業が必要な装置、たとえば蛍光顕微鏡などが置かれています。

 


・試薬スペース  …

研究に必要な試薬電子天秤pHメーターなどがあります。

危険な薬品を扱う際はドラフト(危険物質・有害物質が広がらないよう、封じ込め機能と排気機能を持った作業空間のこと)の中で作業をします。

                

       電子天秤               pHメーター                ドラフト

試薬の中には、鍵のかかる棚で保管することが義務付けられている試薬もあり、きちんと施錠して保管しています。

また毎回の使用量を記録しておく必要のある試薬もあります。研究室での説明をしっかりと聞いてください!

 


・洗浄スペース  …

流し台のほか、使ったガラス器具の洗浄機や乾燥機が置いてあったり、超純水製造装置が置いてあったりします。

実験で使用した廃液は適切に処理し、実験器具は溜め込まず洗浄を心がけ、次に使う人に迷惑のかからないようにしましょう!

 


・デスクベイ  …

いわゆる“事務机”がまとめられた居室です。各自のPCを置き、データの解析や、文献を読んだりします。

研究室によっては、ベンチの一部をデスク代わりにしていたり、ベンチの脇にデスクを設置したりする研究室もあります。


実験施設の「バイオセーフティーレベル」

バイオセーフティーレベル(Bio Safety Lebel、BSL)は、病原体を取り扱う際の安全性にもとづく実験室の格付けのことです。

BSL1BSL2BSL3BSL4、の4段階に区分されます。

以前は「物理的封じ込め(Physical containment)」と呼ばれており、今でもP1P2P3P4と呼ばれることがあります。

BSL1(P1)およびBSL2(P2)は基本実験室で、実験中の扉や窓の閉鎖、関係者以外の立ち入り禁止、などが求められます。

ヒト動物に病気を起こす可能性の低い微生物、病気を起こすが重大な災害を起こす可能性が低い微生物、を扱えます。

多くの研究室が、BSL1やBSL2の実験室を備えています。

 

BSL3(P3)は封じ込め実験室とも呼ばれ、防護衣の着用や、排気方法の規制があります。

ヒトに感染すると重篤な疾患を起こすが、他の個体への伝播の可能性は低い微生物を扱えます。

 

BSL4(P4)は高度封じ込め実験室とも呼ばれ、厳格な設備基準が求められます。

ヒトや動物に感染すると重篤な疾患を起こし、他の個体への感染が起こりやすい微生物を扱えます。

日本では国立感染症研究所と、理化学研究所 筑波地区に設置されています。

 

BSLについて詳しくはこちらhttp://www.assre.jp/pdf/tech/tech9-1.pdf

広まりつつある「オープンラボ」

オープンラボは、研究室間の壁や仕切りをなくし、1つの大きな部屋に複数の研究室の研究者が存在するスタイルのことです。

研究者同士に広い交流を持たせ、情報交換を盛んにすることが狙いです。

2003年にアメリカ・スタンフォード大学で導入されて以来、欧米ではオープンラボが主流になってきています。

大学「オープンラボ」普及へ 研究室、壁を外し交流を(2014年8月11日、日本経済新聞

 九大ではまだ広まっていないかな...

国が違えば、研究室も違う

日本の研究室は比較的物静かで、フリーザーの稼働音だけが響く...、という研究室が多いと思います。

一方、海外の研究室などでは(特にPIが陽気な人だと)、実験室にスピーカーが設置してあり、音楽が流れていたりするそうです。

「音楽の趣味が合わない!(`ヘ´#)」と言って揉めることもあるとかないとか。