研究を進めるため、研究室ではさまざまな仕事を行っています。
・実験 ...
もちろん実験内容は人によって異なりますが、PCR、電気泳動、ウェスタンブロッティング、免疫染色、などは多くの研究室で必須の実験です。
他にも、ES細胞やiPS細胞を扱う研究室があったり、マウスの行動解析をする研究室があったり、既存のデータベースを応用して解析をする研究室があったりと、実験手段・方法、研究アプローチは研究室によってさまざまです。
1時間おきに解析が必要とか、10分以内で操作して次のステップに進まないといけないとか、時間に追われる実験も多いです。
研究室では1分も無駄な時間はありません!
・データの解析 ...
得られたデータからグラフを作成、統計解析をしたり、取得した画像の編集をしたり、遺伝子やタンパク質のデータベースを参照したり、、、PCに向かって作業をすることも多いです。
・ミーティングの準備 ...
ジャーナルクラブやプログレスレポートといった、研究室のミーティングで使用するパワーポイントスライドやレジュメの作成をします。
実験の待ち時間なども上手く利用し、早めの準備を心がけましょう。
・論文の執筆、学会発表の準備 ...
研究者は研究成果を論文として発表しなければなりません。
各学術雑誌は、論文の書き方にルールがあります。字数の制限、載せられる図の数、参考文献の書き方、などです。
論文の投稿方法や、学会発表の準備について詳しく知りたい方には、以下のガイドがおススメです。
・研究費の申請、研究報告書の作成 ...
研究費を獲得してくるため、研究費の申請の書類を作成します。申請書には、これまでの研究内容、今後の研究計画、これまでの業績、などを書きます。
研究費が交付された場合は、定期的に報告書を作成し、研究の進捗状況について報告をします。
後述する科研費は毎年10月に申請をしますが、9月10月あたりは科研費に追われる先生方が多いです。。。
・実験申請書の作成 ...
遺伝子組換え実験や動物実験、ヒトゲノムの解析実験を行なう場合は、事前に申請書を提出して認可を受ける必要があります。申請書には、実験内容や実験計画を記述します。
実験終了後は、終了の報告書を作成・提出します。
・研究室の当番制の仕事 ...
共通で使用する試薬の作成や、掃除、ゴミ捨て、マウスの飼育ケージの交換など、
他のメンバーに迷惑のかからないよう、係りの仕事はきちんとこなしましょう!
研究室では、研究を進めるためのミーティングが開かれます。
・ジャーナルクラブ、論文抄読会 ...
研究に関する最新の論文を紹介し、その論文に対するディスカッションをします。
たいていの研究室では、週一回、1時間から2時間程度開かれます。
当番制で、担当のひとは紹介する論文を選び、レジュメを作成、発表では実験の目的や実験の方法、データを紹介していきます。
ディスカッションでは、データの分析(図表のデータから、本文で述べられている結論が出せるか)、選んだ方法は目的に合っているか、他に必要な実験は無いか、次にどういう実験に進むか予測したりします。批判的に物事を考えるための絶好の機会です。
また自分の研究と比較することで「他人の論文に要求することを自分はやっているか」など、自分の研究を進めるヒントも見つけられます。
・プログレスレポート、研究進捗報告会 ...
自身の研究で得られたデータを示し、研究の進み具合について報告・発表する場です。
研究の目的、実験内容、生データなども示しながら、現時点での研究内容をまとめます。研究状況について、PIや研究室のメンバーに把握してもらいます。
さらに今後の実験計画について話し合います。
ミーティングの名称は研究室によって異なり、カンファレンスやコロキウムと呼ぶ研究室もあります。
・勉強会 ...
ジャーナルクラブのほかにも、研究に関連することを勉強する勉強会が開かれたりします。
勉強会の内容は研究室によって異なりますが、教科書(多くは洋書のテキストです)を読んでいくことが多いです。
他の研究室と合同で行なう研究室もあります。
・セミナー ...
共同研究者や、外部から講師の先生を招き、研究の話をしてもらう場です。
セミナーの多くは公開されており、九大医学部のセミナーの予定はこちら、生医研のセミナーの予定はこちらから、確認できます。
積極的に参加しましょう!
その他、研究室で開催される行事は、研究室ごとに様々です。
頻繁に飲み会をする研究室、
居室でたこ焼きパーティーをする研究室、
ラボ旅行をする研究室、
...
どんな行事があるかは、研究室の人に聞いてみましょう!
研究スタイルはPIの意向が反映され、研究室によって異なりますが、大まかに以下の3つに分類されます。
1、個人尊重型 ...
教授、准教授、助教などスタッフの先生がそれぞれ独立に研究を進めています。
学生もレベルに応じて個人個人のテーマがあり、研究を進めています。
2、チームプレイ型 ...
ひとつの大きなテーマを研究するため、スタッフの先生と学生が分担作業で研究を進めます。
教員のリーダーシップのもとに、それぞれが実験データを出すことにより、研究が進行します。
3、中間型 ...
1と2の中間型です。このスタイルをとる研究室が多いです。
「研究テーマ」は、研究室に入って最初に困ることの一つだと思います。
研究テーマの決定方法に関しても、PIの意向が強く反映されますが、ざっくりと以下の2つにまとめられます。
1、本人尊重型 ...
その人の “やりたいこと” を最も大切にし、研究テーマを決めます。
その人自身の興味をもとに、実行・実現可能性を考慮しながら、PI・先生方と話し合って最終的な研究テーマを決めます。
2、PI提示型 ...
PIやスタッフの先生が、研究室の状況を元に研究テーマを与えます。
「これをしなさい」と一方的にテーマを決められることもあれば、その人の興味が考慮されてテーマが与えられることもあります。
「論文って、どのタイミングで出すの?」
よくある疑問だと思います。
まず考えられるのが(特に学生の場合)、卒業・ラボを離れるタイミングです。卒業要件として論文の掲載が求められる場合もあるため、卒業に合わせて間に合うよう、実験を進め、論文を投稿します。
それ以外は、研究の進捗状況を見極めながら、個人個人の考え方によるところが大きいです。
ある程度インパクトの高い、有名なジャーナルに掲載することを目的とすれば、それだけ一報の論文に費やす労力・時間も長くなることが多く、論文を出すまでに時間がかかります。
一方、短い論文でもこまめに発表し、発表数を稼ぐこともあります。
「どの雑誌に論文を出すか」も、問題にあがります。
例えば、「アルツハイマー病と糖尿病の関係」について調べた論文を発表するとします。
「アルツハイマー病」だから神経系の雑誌(Nature Neuroscience、Neuron、Brain、The Journal of Neuroscience、など)に出せば、普段神経の研究をしている人に
「アルツハイマーが糖尿病と関係するのか!」
と思ってもらえるでしょう。
一方、普段糖尿病の研究をしている人の目には、留まりにくいかもしれません。
逆もしかりです。
総合的な雑誌(The Journal of Clinical Investigation、Nature Communications、Proceedings of the National Academy of Sciences、The EMBO Journal、など)に出せば、幅広い人の目に留まりやすいかもしれません。
『誰に読んでもらいたいか』をよく考えることが大切です。
参加する学会は、研究室の人が過去に参加したことのある学会に行くことが多いです。
しかし、学会にもいろいろあります。
日本分子生物学会年会、生化学会大会、日本癌学会学術総会、日本神経科学大会、などは大きな学会です。
日本分子生物学会年会の参加人数は、7000人を超えます(年によっては1万人を超えることも!)。
分野も多岐にわたるため、様々な発表を聞けたり、自分の発表も他分野の人に聞いてもらえる可能性が高いですが、人数が多いだけに、参加者の中に埋もれてしまうこともあります。
参加者の少ない学会や研究会(100人未満で開かれるようなことも多いです)は、発表総数は少ないですが、参加者同士が近いため、より密な議論が期待できたり、他所属機関の知り合いを作ることが容易と思われます。
研究室がどんな学会に参加しているか、聞いてみましょう。