九大図書館にあるおすすめ本紹介します！（2017年）: 【第9回】 さまざまな受賞作品

・本屋大賞（2015年）
・日本医療小説大賞（2015年）
囚われ、岩塩鉱の奴隷となった戦士ヴァン。ある日岩塩鉱が山犬に襲われ、周りの奴隷が謎の病で死んでいく。なぜか一人生き残ったヴァンは逃げ出し、途中で出会った幼子ユナと旅に出る。一方、医術師ホッサルは謎の病の原因究明のため、ヴァンを探す。
冒険小説であり、医療小説でもあり、生命の神秘が感じられます。細かい描写で、物語の中に引き込まれること間違いなしです。

・直木賞（2005年下半期）
・本格ミステリ大賞（2006年）
・「本格ミステリ・ベスト10」「このミステリーがすごい! 」「週刊文春ミステリベスト10」1位（2005年）
・エドガー賞ノミネート（2012年）※アメリカ。日本人で2人目
映画にもなって誰もが知るベストセラー、実は文学賞も総ナメでした。東野圭吾はこれまで5回連続で直木賞にノミネートされ、6回目のこの作品でついに受賞したので、きっと本人にとっても思い入れのある作品でしょう。研究者人生の王道を歩む湯川先生と、研究の道を諦めざるを得なかった容疑者Xの対比も見どころです。

・芥川賞（2017年上半期）
1時間もあれば読破できる短編作品ですが、綺麗な自然風景の描写と友人となる男の増していく不気味さとの対比に、どっと疲れてしまうくらい活字に吸い込まれてゆきます。東日本大震災で友人はどうなってしまったのか、安否を探る主人公は友人がどういう人物なのか知ることとなりますが…。なんと福岡県出身の作家さんです。是非一読を。

・芥川賞（2003年下半期）
高校生の頃の、埃臭い教室や、なんだかやるせない心情、繊細な人間関係が思い出されます。もう15年も前の作品だなんて、出版当時に読んだので衝撃的でした。背中を蹴りたい衝動にかられてしまう程に恋をしているが、それに気付かない主人公のちょっと屈折した心が描かれています。高校時代を思い出して、ちょっとセンチメンタルな気分になってしまうかも。

・芥川賞（1952年下半期）
松本清張と言えば、「点と線」「黒皮の手帖」などなど、枚挙に暇がありません。社会派サスペンスの大家ですが、作家人生の始まりは、意外にも芥川賞でした。舞台は小倉。軍医として赴任していた森鴎外と絡めた短編小説です。

・日本医療小説大賞（2014年）
藁をもすがる思いで診察に来た末期がん患者と、治療の余地はないとストレートに告げるがん治療拠点病院の若い外科医。
著者は大阪大学医学部を卒業した医師かつ大学教授。患者と医師それぞれの視点から「悪い医者とは？」を考えさせられます。

・山本周五郎賞（1995年）
精神病棟の患者のそれぞれの人生と、精神病棟での生活が患者目線で書かれています。次から次にストーリーが展開するので、どんどん読み進めることができる本です。しかも、舞台が九州なので方言交じりのセリフにどことなく親近感も湧いてくるはず。精神科医である作者が描く閉鎖病棟、是非読んでみてください。

・大宅壮一ノンフィクション賞（2010年）
筋萎縮性側索硬化症（ALS）を発症した母親の介護を始めることで、娘の有美子におきる日常・心模様の変化が綴られています。また、ALS患者についてのみでは無く、介護者目線で家族の変化、周囲の人々の変化、社会の変化について書かれているので、要介護者が身内にいることがどういう変化をもたらすのか知ることができます。介護者の苦悩、患者さんの苦悩のどちらにも心を打たれます。医療人として、一度は読んで考えてみるべきです。

・日本医学ジャーナリスト協会賞特別賞（2017年）
認知症の患者は今や65歳以上の4人に1人、平均寿命まで生きると夫婦のどちらかは認知症であるといわれています。そんな中「認知症は不便であるけれど不幸ではない」と当事者たちが声を上げ始めました。海外の事例を含め、若い患者たちを中心に発信する活動をまとめたルポ。

・開高健ノンフィクション賞（2013年）
児童虐待で親が逮捕されるというニュース、時折聞きますよね。親から殺されるという最悪の事態を免れ、無事保護された子どもは果たして「運がよかった」といえるのでしょうか？虐待してきた親を殺害した20代の青年は裁判で「虐待死させられた子どもの方がずっとうらやましい」と言ったそうです。この本は「あいち小児保健医療総合センター」での取材を元に、5人の被虐待児の再生と、彼らに寄り添う医師や里親たちの姿を記録したノンフィクション。

・講談社エッセイ賞（2011年）
38歳でステージ1の乳がんがみつかり、乳腺全摘出＆乳房再建までの闘病生活をつづったもの。といっても子どものころから不定愁訴のオンパレードで常に体調が悪かったのに、がん治療を始めてからは嘘のような健康体になってしまったという、むしろ面白おかしい闘病記。
入院生活のエピソードなど、病院関係者にはぜひ読んで欲しいです。

・講談社ノンフィクション賞（1994年）
人びとはいま、どこで、なにを食べているのか、あるいは食べられないのか‐そう思って著者は旅に出ます。紛争地になった村で今なお一人暮らす老婆の食事…、ソマリアの住人の食事と駐在米軍の食事…。
四半世紀前とはいえ、世界にはこんな食生活を送る人がいるのかと考えさせられます。

・新書大賞（2008年）
・サントリー学芸賞<社会・風俗部門>（2007年）
生命とは何か？この壮大な問いに真正面から向き合ったのが本書です。様々な科学者が哲学でも文学でもなく、科学の言葉でこの問いに答えようとしてきました。前半では彼らのドラマを分かりやすく描き、後半は筆者自身が自らの研究から生命とは何か？という問いに答えています。生命とは？？

・柴田錬三郎賞（1998年）
さあ、あなたもエベレストに登った気分になってみましょう。某テレビ番組で芸人が登山をする姿が大人気な今日この頃ですが、本書を読むことで山登りの恐ろしさ、過酷さ、そしてその魅力が堪能できます。
「なぜ山に登るのか」と問われて「そこに山があるからだ」と答えた登山家、ジョージ・マロニーの謎を追い、エベレスト登頂を目指す二人の男の物語です。
「山になんて興味がない」、そんな人にこそ読んでほしい一冊です。

・講談社エッセイ賞（2017年）
2007年から2016年まで雑誌に連載されていたエッセイをまとめたもので、アイドル時代の話、家族の話、秘密の恋の話など、等身大のキョンキョンを知ることができます。こんな風に年を重ねていけたらと思える本です。