ここでは脳波検査で診断される病気の中で、
代表的な「てんかん」について説明していきます!
てんかんとは??
てんかんは、脳神経細胞の過剰な興奮によって、突然の脳機能の亢進 or 抑制 (てんかん発作)を繰り返す疾患です。
てんかんは
1)脳の一部の発作か全体の発作か
2)意識障害を伴うか伴わないか によって、下のように発作型の分類が行われています。
●全般発作
・欠伸発作(短時間の意識消失)
・ミオクローヌス発作(手足や身体が一瞬ビクッとなる)
・強直発作(手足が突っ張り身体が硬くなる)
・間代発作(けいれんを起こす)
・脱力発作(全身の筋肉の緊張が消失し倒れてしまう)
・強直間代発作
●部分発作
・単純部分発作(意識障害を伴わない)
・複雑部分発作(意識障害を伴う)
この発作型を明らかにすることは、てんかんの診断に重要なだけでなく、薬物選択にも不可欠です!
てんかんの脳波判定に重要なのは、
基礎律動に対して「突発波」と呼ばれる突然で一過性に出現する脳波活動です。
棘波 鋭波
その突発波の中でも、特に棘波(spike)、鋭波(sharp wave)はてんかんの診断評価に重要とされています。
棘波の持続時間は 20~70ミリ秒、鋭波は 70~200ミリ秒で、ともに鋭いピークです。(境界を80ミリ秒としている施設もあるようです。)
棘波と鋭波は、個々の神経細胞の過剰興奮と多数の細胞の興奮の過剰な同期を反映しています。
・棘波・鋭波のあとに徐波が続くことがありますが(棘徐波複合・鋭徐波複合)、この徐波は過剰な興奮を抑えるための抑制の過程を反映しているとされています。
・棘波・鋭波が単独で発生する場合はてんかんの焦点範囲は狭く、棘徐波複合・鋭徐波複合が形成される場合はてんかんの焦点範囲が広範囲に及んでいるそうです!
【判読における注意】
・てんかんの発作がないときには、棘波・鋭波は必ずしもみつかるとは限りません!
・棘波・鋭波は、形状が似ている合成波や、アーチファクトと誤診しないようにしなければいけません!
●てんかん脳波の特徴
てんかんはその種類によって、脳波にも特徴があります!(国試にでるかも…)
・欠伸発作…3Hz棘徐波複合
・ミオクローヌス発作…多棘徐波複合(棘波が2つ以上続いて徐波につながる。or 棘波が2つ以上続く。)
・強直発作、間代発作…棘徐波複合
またてんかん以外の脳の疾患でも以下のような特徴があります(国試にでるかも…)
・肝性脳炎…三相波(1~2Hzの陰性波→高振幅な陽性波→陰性波)
・クロイツフェルト ヤコブ病…周期性同期生放電(1Hzほどの周期で鋭波が~3相続く)
例)West 症候群の脳波
1歳未満の子どもに起こるてんかんで、短い発作が繰り返し起こり、精神運動発達の停止が症状として上げられます。
脳波は、高振幅な棘波と徐波が不規則(hypsarrhythmia)に出現します。
CC 表示-継承 3.0 / File:Hypsarrhythmia.png
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