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脳波判読のための基礎: 賦活法

刺激(賦活)に対する脳波の変化

 

正常な人でも、刺激によって脳波が変化します!どのように変化するのでしょう??

眩しい人のイラスト(女性)

安静閉眼状態の記録だけではわからない異常を発見するために、

脳波検査ではわざと刺激を与えて脳波を変化させ、異常波の誘発や脳波の変化を確認します。

※この刺激をわざと与えて「活性化させる」ことを賦活といいます!

 

 

●開閉眼

脳波を記録しいているときに、何回か開閉眼をしてもらいます。

閉眼状態で後頭部優位に出現していたα波は、開眼すると消失します。(α-blockingまたはα-attenuation) 

<病気>強い眠気で日中に起きていられなくなってしまうナルコプレシーという病気では、α波が消失せずに逆に明瞭になってきます。

 

●光刺激

患者に目をつぶってもらい、目から15~30cmはなれたところから光を点滅させます。

光駆動反応という、光の点滅に同期した波形後頭部優位に現れる反応が起きます。(例えば、光刺激を12Hzで行うと後頭部に12Hz前後の波形が現れてきます)

この光駆動反応は正常な人でも見られます。

<病気>光原性てんかんでは、この光刺激によって突発性異常波が誘発されます。

照明のイラスト「スポットライト」

 

 

●過呼吸

被験者に深呼吸を繰りかえしてもらい過換気状態にすることで、異常波の誘発を行います。

深呼吸を繰り返すと…

 二酸化炭素濃度 ⇒ 体がアルカリ性に傾く(呼吸性アルカローシス

二酸化炭素濃度が低下し呼吸性アルカローシスになると、脳血管は収縮してしまい、脳は虚血状態になります。

わざと脳を虚血状態にさせ、異常な波形を誘発させます。

正常の人では、脳波の周波数が低下します(徐派化)。

また、若年正常成人の一部や小児ではbuild-upという波形の振幅が増大し、徐派化する現象がおきます。

<病気>脳底部に異常血管網がみられるもやもや病では、いったん回復したbuild-upが再度出現します(re-build-up)

てんかんの発作の1つである欠伸(けっしん)発作では、広汎性の3Hz棘徐派複合波(spike & wave)が出現します。

↑3Hzのspike &wave

棘のような波形+3Hzほどの徐派がみられます

CC BY-SA 2.0   /   File:Spike-waves.png
アップロード者:Der Lange  /   Wikipedia