Alonラボは、研究室の目標を、沢山の論文を排出することではなくて、このように設定しているようです。
Alonラボは教育に力を入れ、学生を成長させようとしています。なんと学生思いなんでしょうか !
私自身も、教育システムは重要だと思います。自力では限界があります(私の能力の問題もありますが)。
ましてや最先端の研究室に入って、教育をしてもらえなければ最先端を併走できません。
九大にも教育熱心で、後進を育てようとされている先生方が沢山いらっしゃいます。その先生の講義は、やはり面白く、圧倒的です。
またこんなことを言っています。
学生のためになることは自分の成長にもなるのですね
Good scientific problemを選ぶには2つの軸で考えるそうです。
1.feasibility (実行可能性、現実可能性)
2.interest (重要性、重大性、興味)
この2つの軸を図にすると以下のようになります。
(727ページ,Fig.1 右)
横軸が1のfeasibilityで、縦軸が2のinterestですね。
研究者のステージによってどのような問題を選ぶべきか書かれています
1、学生:簡単ですぐにポジティブフィードバックが得られるような問題(右下)、次に取り掛かる問題はinterest軸を上がったところにあるような問題。
2、ポスドク:時間が限られているので、簡単であるが沢山の知識が必要な問題(右上)
3、PI(principal investigator):学生のころから一貫性のある問題で時間をかけて取り組むことのでき、小さなプロジェクトに分割することができるような、難しくて多くの知識が必要な問題(左上)
確かに、初心の時期から難しいテーマはできませんよね。最初は何も分かりませんし、実験のジの字も知らない状態ですから、比較的簡単に成果の出る課題が初心の時期に与えられるべきかと思います。そこからステップアップして、段々と難しい課題に取り組んでいくことが理想でしょうか。しかし、学生側からはどれが Easy か分からないと思うので、指導者の裁量次第?
よくある間違いは、
この考えから、Alon Lab ではこんな決まりがあるそうです。
研究室に入って、最初の3ヶ月は手を動かさない! 3ヶ月間は時間をかけて勉強、ディスカッションをし、実験計画を立てる。
早く実験を行なって、データを出して、論文を書かなければ!と焦りますよね。実際、私も焦っていました。
実験を始めるには、いろいろな申請を行なって承認を得なければならないことが殆どだと思います。承認は数ヶ月間下りず、その間何も出来ないことにかなりのフラストレーションを感じていました。
しかし、今考えると、この最初の数ヶ月間は Alon 先生が言うように、勉強したり計画を練ったりするのに最適な期間だったと思います。私は、自分の分野の基礎をこの期間に勉強しておけば・・・と後悔しています。実験が出来るようになった今、手を動かし最新の論文を読みつつ、テキストで基礎を勉強する時間も取らなければならないのは、結構大変です。早くこの essay に出会っていれば、何か変わっていたのかもしれません。
3ヶ月というのはむず痒い期間ですが、この期間の後には、よく練られた研究計画となって熟成しているはずです!