こんにちは。医学系学府博士課程3年の従野雅義(よりのまさよし)です。
専門は生命科学で、肝臓の再生医療に関わる基礎研究(特に線維芽細胞から肝細胞への運命転換機序の解明)をしています。
私は主に2通りの方法で論文を探しています。
・能動的に論文を探す
1つ目は能動的に論文を探す場合です。ある遺伝子に興味が湧いたときや、実験の詳しい手法が知りたいときなど、「キーワードで検索がかけられる」ときには、PubMedやGoogle Scholarで論文を探します。
詳しい検索演算子についてはこちらのガイドをご覧ください
・受動的に論文情報を仕入れる
2つ目は、自分から検索をかけずに情報を得る場合です。私は、よく読む雑誌(NatureやCellおよびその姉妹紙など)のアカウントをTwitterでフォローしています。時差があるので大抵夜中にはなりますが、新たに論文が出版されると、論文の簡単な紹介文の載ったツイートが流れてきます。その中から、自分の研究内容に関わるものや面白そうだと思ったものに"いいね"をしておき、後からその論文にすぐアクセスできるようにしています。
また、Google Scholarのアラート機能を使って、自分の興味のあるwordに関連する論文が出版された際に通知を受け取るということもやっています。私は、肝臓を中心とした再生医療や基礎研究を行っていますので、"iPS"や"hepatocyte"、"reprogramming"といった単語を登録しています。2, 3日に1度はメールが届くので、その中で自分が読みたいものを選択して詳しく読み込むようにしています。
修士1年生の時に、九大図書館が主催の「Mendeleyの使用法講座」を受けて以来、Mendeleyを使って文献管理をしています。修士論文執筆の際に、参考文献の引用にとても役立ちました。どのjournalのスタイルを用いるか選択できる点がいいと思います。
左欄の「論文の探し方」で見つけた興味のある論文について、まずはAbstractを読んで著者らが主張したいことを把握します。それから、より詳しく先行研究についてまとめられているIntroductionに目を通します。ここで重要なのは、①これまでに何が明らかにされているのか?、②この論文では何を明らかにしたのか?です。論文として出版されるということは何かしら新しい発見が含まれているはずです。
分野のバックグラウンドについてある程度理解できたらResultsに進みます。Materials and Methods(マテメソ)が重要だ、という人もかなり多いですし、分野によってはマテメソを理解できないと本文を読み込めない場合もあるかと思いますが、私の場合は、先にFigure(図)とResultsの本文を読み進めます。実験手法や解析法が分からない場合のみ、マテメソで調べるというスタンスです。分子生物学分野だと対象の生物や臓器などが異なっても、基本となる研究法はほとんど同じなので、この方法で意外と読み進めることができます。
最後にDiscussionを読んで、この実験で明らかにされたこと・これからの課題などについて学びます。この一連の作業を行うことで、自身が取り組んでいる実験についても、今後どういった実験を組んでいけばいいのか考察する力が身についていくと思っています。
・最近行った実験についてまとめる時間を作る
学年が上がっていくにつれて自分の興味も増え、自然と実験テーマが増えたりすると思います。実験テーマが増えて同時並行で進めていくと、どうしても混乱してしまうときがあります(この細胞どの実験に使う予定だったっけ、、、?みたいな)。私は頭の中を整理するために、ある程度の期間でそれぞれの実験の進捗状況をスライドにまとめるようにしています。
・先のことまで見通して実験スケジュールを組む
根詰めて実験ばかり行うのも非常に重要なことですが、たまには休息も必要です。例えば、正月やお盆などそこそこ長期で帰省する前に、時間経過とともに進行する実験を仕込んでおけば帰ってきてから解析するだけで良くなります。完全に実験を止めてしまうと立ち上げるまでに少し時間を要してしまうので、数日後、数週間後の予定も考えながら実験を組んでいくようにしています。
・一人で考え込まない
実験がうまくいかなかったり、予想通りの結果が出ないことなんてしょっちゅうあります。うまくいかなかった原因について考察したり、調べてみたりしてもどうしてもダメな時もあります。そんな時は、研究室のメンバーや友達などに気軽に相談してみましょう。自分では見つけられなかった問題点や解決策が何気無い会話からポロッと出てくることがあります。また、逆に困っている後輩(先輩でも)がいたら積極的に声かけしてみましょう。自分が役に立てるかもしれません。