最後までお読みいただき、ありがとうございました。線虫 C. elegansは、たった約1ミリの単純な生物ですが、アポトーシスや寿命、神経系の機能、RNA遺伝子など、生命科学において重要な発見が数多くなされてきました。さらには、GFPやRNAiように、線虫で用いられた(or 明らかになった)技術や現象が幅広い分野で応用されているなど、科学界に多大な影響をもたらしています。
線虫の一般的な認知度は、、、
このように、生命科学の世界においては「メジャーな」モデル生物の1つとされている線虫ですが、一般的な認知度は、残念なことに、マウスやショウジョウバエと比べると、まだまだ「マイナー」といったところです、、、(親戚の集まりなどで話をすると、「ん?」という反応をされることが多い、、、)。大変お恥ずかしい話なのですが、高校時代生物選択だった私でさえ、大学に入るまでは線虫については(存在すら)全く知りませんでした 。さらに、高校時代生物選択だった研究室の同期や後輩のほとんども、線虫については知らなかったそうです。そもそも、高校の生物の授業において線虫はほとんど取り上げられていないなぁ、、という感じがします。中央図書館4Fの教職課程コーナーにある生物の教科書を眺めてみると、線虫の研究について取り上げている教科書会社は、5社中1社のみでした。線虫研究の重要性についてもっと広めていくには(あるいは、将来の線虫研究を担う人材を育てるという点からも)、高校時代から積極的に扱って欲しいなぁ、、 というのが私の率直な意見です。
線虫について全く無知だった私が、なぜ線虫研究に?
そんな私がなぜ線虫の研究に興味を持ったかというと、「行動」と「遺伝子」を結びつける研究が行いやすいということです。私はもともと、「脳がどのように行動をコントロールしているのか?」について興味を持っていました。特に、そのしくみを遺伝子レベルで詳しく明らかにする研究を行いたいと考えていました。その中で、学部生時代の講義で線虫に出会い、このシンプルな生物を用いれば詳しく謎を解けるかもしれないと思い、現在線虫を用いて研究を続けています。線虫で発見された遺伝子や仕組みが必ずしもヒトなどで保存されているとは限りませんが、ヒトなどの複雑な生物での機能解明に繋がればいいなと願いながら日々研究を行っています。
読者の皆様が、線虫研究について少しでも知っていただけた(or 興味を持っていただけた)なら幸いです。
このガイドを執筆するにあたり、全体を通じて参考にした文献をリストアップします。
以下の本は、このガイドでは参考にしていませんが、モデル生物を用いた研究について触れるきっかけになる本をご紹介します。