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【Cuter企画】ブックレビューコレクション: 9 文学

図書館TA(Cuter)の発案で始まった「ブックレビューコレクション」について、提出されたレビューを掲載しています。

文学

九州大学附属図書館の請求記号を基にした、
日本十進分類法 9類 文学の本のブックレビュー一覧です。

ブックレビュー

  • レビュー

    Date2024-02-22

    Name百道どんこ

    環境の悪化が進み、徐々に崩壊していく世界。海に集積したゴミは島を形成して人々の暮らしを脅かす。ディストピアの中でも人間としての生活を抱えながら愛やつながりを求める人々は何を信じ、自然の強大な力をどのように解釈するのか。台湾原住民の文化や現代の環境問題を織り混ぜ描かれる「ヒトと自然」の本質にせまる異色のフィクション。
  • レビュー

    Date2024-01-19

    NameEcon

    「文字」で遊び尽くした、「奇書」の部類に属する映像化不可の短編集です。前代未聞の様々な仕掛けが張られ、円城塔作品らしく内容の難解さと面白さが表裏一体となっています。いつもと違う読書体験をしたい方におすすめです。
  • レビュー

    Date2024-01-11

    Nameいけ

    「多様性」といえば聞こえはいいが、それはすべてを掬い取っているのか。「多様性」から零れ落ちた存在からの視点にガツンとやられます。映画化もされてミーハー感は否めませんが、ストーリーは頭にこびりつき続けると思います。
  • レビュー

    Date2023-08-11

    Name棒人間

    アメリカを代表する作家アーネスト・ヘミングウェイの短編集「The short stories」より、「世界の首都」(邦題)をご紹介します。私たちは何かに対する「理想」を持ち、ある時その理想とはかけ離れた「現実」を知ることがあると思います。その時、理想という「幸せな」世界で生き続けたかったと悲嘆にくれるか、それでもなお現実を受け入れ前に進むか。これは、理想の世界に住むある少年の物語。
  • レビュー

    Date2023-11-16

    Name無機物

    省エネ主義・灰色の青春を送る高校生の折木奉太郎は、放課後の古典部の部室で、清楚で好奇心旺盛な千反田えるに出会い、自身と自身の「灰色」を見つめ直していく。身近なところに様々な「謎」を見つけ、それが「気になる」えると、それに(渋々ながらも)応える奉太郎のコンビネーションがたまらなく面白いです。『氷菓』を始めとする〈古典部シリーズ〉は必見。折木奉太郎の転機と挫折という視点で『氷菓』と『愚者のエンドロール』/折木奉太郎の一人称視点で描かれた『氷菓』と各登場人物の一人称視点で描かれる『クドリャフカの順番』を併せて読むのがおすすめです。
  • レビュー

    Date2023-08-03

    NameA. M.

    かの有名な画家,ゴッホ。世界的に有名な「ひまわり」や「アルルの女」を残した彼の人生は,自身の耳を切り,若くして亡くなるという壮絶なものです。この作品の中にあるのは,美術への深い造詣をもつ作者,原田マハによって描かれる,誰も知らないゴッホの真実。アート好きはもちろん,あまり触れてこなかった方にもおすすめなアート小説の最高傑作です。
  • レビュー

    Date2023-08-03

    NameA. M.

    「主人公,森宮優子は3人の父と2人の母を持つ女の子だ。」こう聞くとたいていの人は不幸なのではないかと想像してしまうでしょう。しかし彼女は不幸ではなく,底抜けに明るい。この本を最後まで読んだとき,誰かのことも自分のことも大切にしたくなるし、自分自身が人とのつながりの中で生きていることが幸せなのだと気づくことのできる,そんな作品です。
  • レビュー

    Date2023-08-03

    NameK. E.

    コロナ禍の最中に滞在先のカナダで乳がんが発覚し、言葉も上手く伝わらない中カナダで治療を終えるまでのノンフィクション作品です。海外と日本の医療に対する姿勢の違いは非常に興味深いです。ユーモアを交えた文章でとても読みやすく、絶望の中でも力強く生きる著者に心を打たれます。
  • レビュー

    Date2023-08-03

    NameT. R.

    すべてが政府によって管理された全体主義社会を描いた、オーウェルの代表作です。センター試験に出題されたことで知った人も多いかもしれません。オーウェルは当時のソ連を念頭に置いてこの作品を書いたようですが、皆が自分からスマホ(という名の盗撮・盗聴・位置特定可能な機械)を持ち歩き、ネット上にはフェイクニュースがあふれている現代にも通じるものがあるように思えてなりません。
  • レビュー

    Date2023-08-03

    NameJ. B.

    誰もが失いたくないものを持っていて、それを守るためにやりたくないことまでする。中国の東野圭吾と呼ばれる紫金陳のサスペンス小説は、あなたをこの夏の暑さを忘れさせてくれるだろう!
  • レビュー

    Date2023-08-03

    NameJ. B.

    いつか宇宙人に発見されたら、人類は何に直面するのか? アジア人で初めてヒューゴー賞最優秀長編小説賞を受賞した作家の作品『三体』は、地球人類文明と三体文明との間の情報交換、生死を賭けた闘い、そして宇宙における両文明の興亡を、科学的原理に基づいて描いている。 人間の本質や人々の利害の争いを細やかに描いたこの作品は、SFに少し苦手な人でも魅了されるのではないだろう。
  • レビュー

    Date2022-10-27

    Nameセブン21

    1945年8月6日。一発の原子爆弾が、広島に投下された。降り注いだ黒い雨は、生き残った者の運命まで狂わせてゆく。 今年の夏も、77年前の惨劇に、そして平和に、本書を通じて思いを巡らしたい。
  • レビュー

    Date2023-01-31

    Name匿名

    気軽に読めるSFコメディ。銀河に広がる壮大な世界観の中、どんな星のどんな生命体にも通ずる皮肉の効いた語り口でくだらない笑いをお届けする。世界の全てを笑い飛ばしたい時に。
  • レビュー

    Date2023-01-09

    Name棒人間

    今から900年ほどの昔、梁山泊に集まった漢たちが繰り広げる、波乱万丈の物語。 中国四大奇書の一つ「水滸伝」を、日本人作家の北方謙三さんが独自にリメイクした作品です。 「志」のために戦う漢たちの姿を、ぜひご覧ください。ちなみに、私の推しは王進先生です。
  • レビュー

    Date2022-01-11

    Nameえいくん

    この物語は研究者にとってはもはやホラーでは? 研究者にとって、研究成果を出して学術誌(特に有名なものではNature, Science, Cellなど)に論文を載せることは研究人生を続けるために必須であり、人生をも左右しかねないほどの重要性を持っていることは研究者を目指す人ならば誰でも知っているはず。論文になるほどの発見の裏側には血のにじむような研究者たちの日々の努力、苦しみ、葛藤、そしてEureka! ━ 大きな達成感があります。 「論文を出す」ということの重要性は、研究者にとって絶対に越えてはならない一線である捏造や改ざんなどの研究不正が残念ながら未だ絶えないことが表しているのではないでしょうか。もちろん、研究不正が発覚すれば本人には厳罰がくだり、周囲にも多大な影響があります。そのため研究者は自身で不正を行わないだけでなく、不正に加担しない、そして不正を疑われた場合に無実を証明できる必要があります。 生物系の研究室でアカデミアでの成功を目指して日々奮闘する人々をリアルな世界観で描いたこの作品では、一つのデータの「齟齬」が次々と周囲の人々を巻き込み、データの真偽のみにとどまらない大きな騒動へと発展していきます。ポスドクであるカレンとクロエ、そして研究室の責任者であるトムという3人の別々の視点で進んでいくこの物語は、研究者としてあるべき姿を読者へ問いかけます。 学術誌EMBO Journalの編集長を務めた著者ペルニール・ロースの描くアカデミアの姿はあまりにもリアルで、アカデミアでの成功を目指す研究者たちが絶えず感じている緊張感や達成感を詳細に表現しています。同じアカデミアを目指す一人として、ただのフィクションでは済まされない実感がありました。研究を行う人すべてに通じるものがあると思うので、ぜひ読んでみてください。
  • レビュー

    Date2021-08-30

    Nameタロー

    物語の主人公5人は、環境こそ全く違うが、それぞれ不安や悩みを抱えている。そんな彼ら・彼女らは偶然か必然か、街の静かな図書館を訪れます。図書室でのある本との出会いが、主人公たちの心を動かす・・・ 本作は2021年本屋大賞で2位に選ばれた作品です。本作の登場人物は、特別な能力に恵まれたわけでも、過酷な人生を歩んでいるわけでもない、いわゆる「普通の」人々ばかりです。もちろん大きな社会の中でみれば目立った存在でもないのですが、彼らにも彼らなりの不安や悩みを抱えています。将来、環境、自分の価値、それはもちろん私たちも抱えうる、あるいはすでに抱えている問題なのかもしれません。でもそこから抜け出すには、きっと莫大なエネルギーや時間やお金が必要で、最初の一歩を踏み出すのが億劫だと、大半の人は諦めた「気になって」います。 一方で、何かに悩んだ時、ほんのちょっとでも行動したことはありますか?「散歩にでかけた」「料理に挑戦した」「友達と語り合った」「本屋に行ってみた」。こんなもんでもいいんだ、大きなことに挑戦しなくても、ほんの少しでも自分の意思で動き出したことに価値があるんだ、そんなことをこの本は教えてくれます。動き出しさえすれば、後は運命のタイミングを掴むだけ。運命のタイミングの掴み方の、ほんのちょっとのコツを、5人の主人公と図書室が導いてくれます。小さな一歩を踏み出そうとしている方、是非一度本作品を手にとってみてください!
  • レビュー

    Date2021-08-30

    Nameごりごりドーナッツ

    「人の『優しさ・思いやり』とは何だろうか?」__あなたは考えたことがあるだろうか? この物語の主人公、チャーリー・ゴードンは生まれつき知的障がいを持っている。ある日、大学教授から、「頭が良くなる手術を受けないか」と打診される。彼は、そんな夢のような話に飛びつき、手術を受けることに。その後、彼の知能は、みるみる向上していく。それと同時に、彼は、これまで自分が受けていた扱いや偏見などを知ることになる…。 物語は、(治療の記録のために記している)主人公の日記を基に展開されており、記されている文章の書き方(語彙、使用文字など)から、彼の知能がますます向上していく様を追跡できるのは、見どころの1つである。さらに、タイトルにある「アルジャーノン」は、彼とほぼ同時期に手術を受けたマウスの名前で、なぜ「アルジャーノンに花束を」なのか、最後まで読むとその意味が分かってくるだろう。 様々な出来事や人の出会い、そして「別れ」を通じて、彼はどう感じ、どのように彼の「こころ」は変化するのか?死ぬ前に一度は読んでおきたい不朽の名作。
  • レビュー

    Date2022-07-06

    Name匿名

    ”ママ、あなたはどこにいても、誰にでも、何にでも、醜さと悪を見いだした。狂っていたの、それとも見えすぎていた?” 私が一番好きな短編「苦しみの殿堂」の中の一文です。短い文ですが、ルシア・ベルリンの文章がどういうものなのか伝わると思います。この一文に惹かれた人に、とにかくぜひ読んでもらいたいです。
  • レビュー

    Date2022-07-06

    NameHS

    航空機時代の黎明期、19世紀前葉に生きたパイロットのある経験がドラマティックに記述されている。その中で、自然の雄大さ、人々の営み、自分のちっぽけさ、勇敢さ、決断といった感情の移り変わりを追体験できる。大抵の物は難なく手に入る便利な時代にあって、日常の喧騒か解放される夏休みにこそ、読んでみる価値がある作品だと思う。
  • レビュー

    Date2022-10-26

    Nameけんさきいかのようなもの

    「夏休みだし,名作文学にでも手を出してみるか」と思って本を開いてはみたものの,全然わからなくて積読にしてしまった…。そんな経験,もしかしたら皆さんにもあるかもしれません。私には幾度となくあります。 この本では古今東西様々な作品を例に名作文学の一味違った読み方を紹介しています。この本を読書の地図にして,今年の夏は名作文学に手を出してみませんか?
  • レビュー

    Date2022-10-26

    Name匿名

    大学で知り合った人たちとは今も関係が続いていますが、あの時の関係性やあの時一緒に過ごした時間は、もう手に入らない特別なものでした。 伊坂幸太郎「砂漠」は、麻雀で知り合った5人の学生生活が淡々と描かれますが、読み進めていくと何となく違和感を持ちます。最後、違和感の正体に気付いたときには、二度と戻らない短すぎる大学生活を彼らと一緒に過ごした気持ちになります。一見するとよくあるキラキラした青春小説に見えますが、どことなく謎めいていて暗い雰囲気を持った特別な青春小説です。
  • レビュー

    Date2022-10-26

    Name匿名

    SF初挑戦の方におススメ!短くて読みやすいです!
  • レビュー

    Date2021-08-04

    Name匿名希望

    1995年3月20日に発生した地下鉄サリン事件について、現在大学生のみなさんの中に、詳しく知る人はほとんどいないだろうと思います。『アンダーグラウンド』は、作家の村上春樹が地下鉄サリン事件の被害者・関係者に行ったインタビューによって構成されたノンフィクション作品です。約60人分という圧倒的なインタビュー数は、今となっては、当時の状況を知り、または思い出すための貴重な記録になっています。 事件が発生した時、私は高校2年生で、ニュースやワイドショーでの報道が事件直後だけでなく、数か月にわたって続く異様な雰囲気だったことを覚えています。その後大学生になってから、1997年に出版されたこの本を読みました。同じ場所・同じ時間に居合わせた人々の普通の日常が一瞬で変わる。その瞬間に、もし自分が居合わせたらどのように行動しただろうと読後しばらく考え続けましたし、四半世紀が経った今も、頭の片隅で考え続けている気がします。 新型コロナウイルスによって、すべての人たちの日常が一変した今、改めて読み返したくなりました。
  • レビュー

    Date2021-08-16

    Name匿名希望

    少女時代をプラハのソビエト学校で過ごした著者が、30年後にかつての級友たちを訪ねた記録を小説のように書いた作品です。大人になり、立場や主義が異なっていったことで相容れなくなってしまった関係、変わらぬ強い友情があっても世界情勢に引き裂かれていく関係、どんな関係も不変ではないから読んでいて切なくなるのかもしれません。 否応なしに社会情勢に巻き込まれ、大人になることで変化していく関係性が描かれた本作は、誰にとっても普遍的な物語であると思います。大人になろうとしている大学生の皆さんに、そして大人になってしまった方にもぜひ読んでいただきたいです。
  • レビュー

    Date2021-08-31

    Name匿名希望

    N大建築学科1年:西之園萌絵と助教授犀川創平が遭遇した、両手両足の切断されたウェディングドレスの死体と、ヘリコプタの中の死体。天才工学博士:真架田四季の研究所で起こった殺人事件に挑む、2人の推理が見所です。果たして「F」の指すものとは…?同作者による「四季 春」から「四季 冬」を読むと、本編では語られなかったあれやこれが分かります。
  • レビュー

    Date2022-10-19

    NameElla

    America, 1922. Fitzgerald gave a exact description of the bright and dark side of the "golden age".
  • レビュー

    Date2022-09-08

    Name匿名

    個人的No.1ファンタジー小説です! 王獣(おうじゅう)と闘蛇(とうだ)という架空の生き物とそれに関わる人々、そして国の思惑などが複雑に絡み合う環境の中で主人公のエリンは生きていきます。 小説内の食べ物のレシピ本(バルサの食卓)が出版されるほど緻密な設定も魅力です。

Info

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