□上気道炎・急性気管支炎
□気管支喘息
□心不全
□過換気
□肺炎
□COPD(慢性閉塞性肺疾患)
□上気道狭窄や閉塞
□重症喘息
□重症肺炎やARDS
□気胸(特に緊張性気胸)
□肺塞栓
□心疾患(虚血性心疾患、心筋症、僧房弁膜症、心筋炎、心タンポナーデ)
□急性進行または重度な貧血
□神経筋疾患
□甲状腺クリーゼ
□敗血症やアシドーシス(腎不全、DKA)
□薬物中毒
□アナフィラキシー
発作性の呼吸困難、喘鳴、胸苦しさ、咳(夜間、早朝に多い)を認め、無症候期を挟んで反復している時には疑う。
問診の際には誘発因子、アレルゲンの暴露や感染兆候があるかなども確認する。
他疾患の鑑別のために胸部X線、心電図、血算、動脈血ガス検査などを行い、喘息症状が心肺疾患によらないことを確認し、スパイロメトリーによってPEF値、1秒率などの呼吸機能測定を行い重症度を判定する。
呼吸困難の患者さんが起座呼吸(起き上がって呼吸)、夜間発作性呼吸困難、労作時呼吸困難苦を訴えているときは心不全も疑う。
(既往に喘息やCOPDがある時は上記の症状があっても心不全との鑑別は難しくなる。)
既往歴に心不全、心筋梗塞、冠動脈疾患があればより心不全を疑う。
心不全の可能性を高める身体所見としてはⅢ音の聴取がある。またX線検査でうっ血像を認めると心不全の可能性は高くなる。
心不全を疑った時は呼吸困難に対して酸素投与、血圧に応じて降圧剤や利尿剤の投与を行う。
数秒単位で突然発症した呼吸困難や胸痛があり、頻脈、頻呼吸などを認める時に肺塞栓を疑う。
塞栓源の多くは下肢深部静脈血栓や骨盤内深部静脈血栓であり、下肢症状の確認も重要となる。
またⅡp亢進や頸静脈怒張など急性右心負荷所見を認めることもある。
肺塞栓を疑ったときは造影CT検査で肺塞栓の確定診断を行う。肺塞栓であれば、残存する深部静脈血栓症の評価と心エコーで右心負荷の有無を確認する。
治療としては二次血栓形成抑制を目的として使用する抗凝固療法や、積極的に血栓を溶解し血行動態の早期改善を目的とする血栓溶解療法、再塞栓予防を目的とした下大静脈フィルターなどが治療の中心となっている。
長期の喫煙歴を背景に起こる慢性の気道閉塞を主体とした疾患で、労作時息切れや慢性の咳嗽、喀痰がみられる。長期の喫煙歴は診断の可能性を高める上で最も重要なものである。発症は緩徐な進行性(咳・痰は早期から、息切れは進行してから見られる事が多い)で、時に急性憎悪が起こる。
COPDの診断のためには医療面接、身体所見とともに他疾患の除外のために胸部X線・CTが大切となる。X線は進行した気腫性病変の診断に有用で、横隔膜の平低化は最も信頼できる所見とされている。しかし画像だけではCOPDの診断はできず、スパイロメトリーによる気流閉塞(FEV1/FVCが70%未満)の検出が診断に必要である。
COPDは進行すると体重減少や食欲不振が出現する、また肺結核や悪性腫瘍の合併にも注意する。
軽症なら短時間作用型β2刺激薬や短時間作用型抗コリン薬の頓用を行う。症状が悪化すれば、長時間作用型抗コリン薬、長時間作用型β2刺激薬、テオフィリンを組み合わせる。吸入ステロイドは中等度以上の気流閉塞に効果がある。
急性増悪時には基本的に抗菌薬、気管支拡張薬、ステロイド薬にて治療を行う。
食後に具合が悪くなったという病歴での搬送、全身が経度に紅潮、血圧が低いのに末梢は温かいなどの所見があれば強く疑う。
*アナフィラキシーはIgEを介したⅠ型アレルギーでヒスタミンの過剰分泌による全身の毛細血管の拡張と透過性の亢進がおこる。これによって血圧低下、呼吸困難、喘鳴、意識消失、腹痛、下痢、蕁麻疹、皮膚の紅潮まどといった症状が起こる。
アナフィラキシーを疑った場合は、気道を確保し、呼吸、循環を安定させる。またラインを取り、細胞外液を全開で輸液する。その間にアドレナリンを準備し、アドレナリンを大腿外側広筋に筋注する。
*アドレナリンは大人では0.3mg(小児では0.01mg/kgで最大0.3mg)を1mgシリンジに吸引して、針を23Gで筋注する。症状発現から30分以内に投与できた場合には死亡率が圧倒的に低くなる。