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救急外来で出くわす症候別疾患: 発熱

頻度の高い疾患

□感冒

□咽頭炎

□胃腸炎

□肺炎

□尿路感染症

□胆嚢炎・胆管炎

□薬剤熱

(不明熱で頻度の高いもの)

□成人Still病

□血管炎症候群

□結核

□伝染性単核球症

□感染性心内膜炎

□悪性リンパ腫

□薬剤熱

見逃すとまずい疾患

□敗血症

□細菌性髄膜炎

□好中球減少者の発熱

□毒素性ショックの症候群

□結核

□急性レトロウイルス症候群

□血管炎症候群

□悪性リンパ腫

□薬物中毒、薬物離脱

□悪性症候群

□急性腎不全

□甲状腺クリーゼ

肺炎

上気道症状に加えて、発熱、喀痰、呼吸困難の症状があり、胸部の診察でcrackleを聴取したら肺炎を疑う。

*他にも肺炎の可能性があがる所見として呼吸回数の増加(>25回/分)、脈拍の増加(>100回/分)、打診での濁音、呼吸音減弱、気管支呼吸音聴取、rhonchi聴取などがある。

肺炎を疑った場合は肺炎診断確定のために最低限、喀痰検査、胸部X線写真を行う。

加えて血液培養を含む血液検査、尿中抗原検査も検討する。

肺炎を疑った時はA-DROPSやCRB-65などのスコアリングを行い、自宅療養、抗菌薬の処方、入院治療など治療適応の判断に役立てる。

特に重症患者では第3世代セフェム系抗菌薬など比較的広域スペクトラムの薬剤による点滴治療で導入し、培養や感受性の結果が得られた段階でより狭いスペクトラムの薬剤による治療継続を考える。

感染性心内膜炎

持続する発熱とともに全身倦怠感、神経学的異常、呼吸苦、筋骨格系症状、食欲不振・体重減少などの症状がある場合には必ず一度は鑑別にあげるべき疾患。

特徴的な病歴・所見としては「抗菌薬内服にて一時的に改善するが中止後再燃する発熱」、「発熱と急性〜亜急性発症の多発関節痛・筋痛」「発熱と急性腎不全の合併」「脳梗塞・頭蓋内出血とともに発熱している」「発熱と急な心不全を呈している」などがある。

また発症リスク因子として歯科処置後、泌尿器科的処置、中心静脈カテーテル挿入後など、菌血症を起こしやすい背景を有する場合は積極的に鑑別に挙げる。

感染性心内膜炎ではないかと疑った場合は、塞栓症状として体表に点状出血、爪下線状出血、Janeway 病変、Osler結節などがないかを注意深く診察する。

また心雑音が出現していないかどうか、連日聴診を行う必要がある。

(新規心雑音は基本的に弁破壊に伴う雑音を呈するため、僧房弁閉鎖不全による心尖部の汎収縮期雑音、僧房弁逸脱に伴う収縮中期クリック、大動脈弁閉鎖不全の拡張期灌水性雑音などを意識して聴取する。)

感染性心内膜炎の診断確定のために血液培養、心エコー、採血などを行う。

治療は抗菌薬治療と手術療法がメインとなる。

抗菌薬治療は検出された菌種に応じて適切な抗菌薬を選択し、4〜6週間の治療を行う。弁破壊が進行して心不全悪化をもたらす場合や巨大な疣贅を認める場合には緊急弁置換術・弁形成術などを考慮する。

細菌性髄膜炎

発熱を伴った頭痛を認め、体動で増悪しているときに疑う。

髄膜炎を疑った時は、項部硬直、Kernig sign、Brudzinski sign、Jolt accentuationといった身体診察を行う。ただこれらが陰性であったとしても髄膜炎が否定できるわけではないことに注意する。

 

髄膜炎を疑った場合は頭部CTなどで頭蓋内病変の除外後に髄液検査を行う。また血液培養を取り、脳炎が疑われるときは頭部MRI、脳波の検査まで行う。

 

細菌性髄膜炎疑いなら培養提出後、直ちに抗菌薬投与を開始する。

作成者

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小池 研太朗
連絡先:
本ガイドは図書館学習サポーターとして勤務した際に作成したものです。

勤務期間 :2014年5月~2015年11月
当時の身分:学部5~6年生
当時の所属:九州大学医学部医学科