マイコプラズマ感染は細胞培養でのコンタミにおいて非常に問題視されていて、
細胞培養を扱っている書籍には必ずといっていいほど記述されています!
マイコプラズマは小型で細胞壁を持たない細菌です。
マイコプラズマは濾過滅菌で使用される0.22 μmフィルターを通り抜けてしまいます。
つまり、濾過滅菌はマイコプラズマを完全に除去することは出来ないということです。
ところで、細胞培養においてコンタミする細菌は他にもたくさんあるのに、
どうしてマイコプラズマだけ問題視されているのでしょうか??
その理由は、感染(コンタミしたかどうか)の分かりにくさと、細胞への目に見えない影響にあります。
通常の細菌や真菌のコンタミ
・汚染を目視することができる
(たいてい白い浮遊物が見られたり、顕微鏡にて菌糸などが観察される)
・培養細胞が死に至ることが多い
コンタミの発見は容易である
マイコプラズマのコンタミ
・顕微鏡を用いても小さすぎて目視することができない
・培養細胞と共存する(培養細胞は死に至らない)
コンタミの発生を見逃しやすい
ん?培養細胞と共存できるならそこまで気にしなくてもいいのでは・・・?
と思う人もいるかなと思います。では何が問題なのでしょうか??
マイコプラズマのコンタミによる影響として次のようなものが報告されています。
・マイコプラズマが培地の栄養を消費することによる培養細胞の成長阻害
・マイコプラズマの直接の作用による代謝経路への影響
・遺伝子発現への影響
これらの影響は、ぱっと見た目に変化が出るわけではないので、
実験に何らかの影響を与えていても気づかず実験を進めてしまうことになります。
そのため、細胞を用いた実験結果の正しい評価のためには、
マイコプラズマのコンタミがないことを確認しなくてはいけません。