動物を飼育するのにえさが必要なのと同様に、
細胞を育てるのにも栄養が必要となります。
その栄養を提供するのが培地です。
基本的な栄養素として、
アミノ酸、ビタミン、
ミネラル、ブドウ糖
などを含んでいます。
しかし、この豊富な栄養は細胞だけでなく、
微生物やカビの栄養にもなるので
細胞培養ではしばしばコンタミが問題となります。
培地は基本培地 + 増殖因子 + バッファー + (抗菌薬*)
によって完成します。
市販されている培地には増殖因子やバッファーが
含まれていないものもあるため
必要に応じて加える必要があります。
*抗菌薬・・・目的とする細胞の発育を妨げる微生物が
発生しないように加えられます。しかし、抗菌薬が
細胞に悪影響を及ぼす場合もあるため、
どうしても必要なときのみ加えられます。
培地は使用する細胞株に栄養素やそのバランスが
適しているものを使用することが必要です。
(細胞にも好き嫌いがあるんですね!)
細胞を入手した先へ問い合わせるか、
細胞・培地活用ハンドブックを参照して、
適切な培地を選びましょう。
細胞を増殖させるためには、
基本培地に増殖因子を加えなければなりません。
多細胞生物の体細胞は、
特定の増殖因子がないと増殖できません。
多くは仔ウシ血清(calf serum)、
ウシ胎仔血清(fetal calf serum, fetal bovine serum:FBS)
を用います。
保存安定性が良くないため、
培地の使用前に加えることが推奨されています。
しかし、細胞によっては血清を加えると
有害になることもあるため、
どのような増殖因子が必要であるかは
確認する必要があります。